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2020年のグローバル出荷指数は、前年比マイナス10.5%と2年連続の低下。国内拠点及び海外拠点からの出荷ともに2年連続で低下に寄与。 2021年5月25日

経済解析室では、製造業のグローバル展開を踏まえ、日系製造業の国内外の拠点全体での出荷の動向を一元的に捉える観点から、国内拠点からの出荷(国内出荷)と日系企業の海外拠点からの出荷(海外出荷)の動きを比較可能な形で指標化し、合算した「グローバル出荷指数」を試算し、公表しています。この度、2020年の数値がまとまりましたので、概略をご紹介していきます。

グローバル出荷指数は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大幅な低下

まず、日系製造業の国内拠点からの出荷と日系企業の海外拠点からの出荷を合算したグローバル出荷指数は、2020年は指数値91.2、前年比マイナス10.5%と2年連続の低下となりました。日系製造業の国内外合わせた活動は、2018年に指数値104.4と2015年基準での最高値を記録しましたが、それ以降は右肩下がりの傾向で推移し、2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大幅な低下となりました。

グローバル出荷の内訳をみると、海外出荷指数(日系企業の海外拠点からの出荷)は、指数値94.9、前年比マイナス10.3%と2年連続の低下となりました。

また、国内出荷指数(日系製造業の国内拠点からの出荷)は、指数値89.6、前年比マイナス10.6%と2年連続の低下となりました。このうち、国内向けは前年比マイナス9.8%の低下だったのに対し、輸出向けは前年比マイナス13.3%の低下となり、輸出向けの方が大幅に低下していました(上表参照)。

2020年は世界的に新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、海外出荷指数や国内出荷指数が大幅に低下しています。

海外出荷、国内出荷ともにグローバル出荷の低下に寄与したが、国内出荷の低下の影響が大きい

グローバル出荷指数の前年比マイナス10.5%低下に対する影響度(寄与)をみると、国内出荷(日系製造業の国内拠点からの出荷)がマイナス7.2%ポイント、海外出荷(日系企業の海外拠点からの出荷)がマイナス3.4%ポイントとともに低下に寄与しています。

2019年以降、国内出荷・海外出荷ともに低下していましたが、2020年は世界的な新型コロナウイルス感染症拡大により国内出荷・海外出荷ともに大幅に低下しています。

海外出荷は、輸送機械工業、汎用・生産用・業務用機械工業等が低下

2020年の海外出荷指数(日系企業の海外拠点からの出荷)の動きをみると、輸送機械工業は指数値90.2で前年比マイナス15.9%と2年連続の低下、汎用・生産用・業務用機械工業は指数値98.0で前年比マイナス9.0%と2年連続の低下、電気機械工業は指数値98.9で前年比マイナス4.2%と3年連続の低下、それ以外の業種計も低下となりました。一方、化学工業は指数値110.8で前年比3.0%と7年連続の上昇となりました。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で多くの業種が低下となりました。多くの業種が2020年下半期に上昇しましたが、化学工業以外の業種は前年比マイナスとなっています。

このように2020年は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行が、世界各地の企業の生産・販売に多大な影響を及ぼしましたが、この先どのような動きとなるのか、注視したいと考えます。

北米、ASEAN4の現地法人からの出荷は低調、一方、中国(含香港)は上昇

日系企業の海外拠点からの出荷を当該拠点が立地する地域別に指数化した地域別海外出荷指数をみると、北米指数の2020年は前年比マイナス19.2%と2年ぶりの低下、ASEAN4(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン)指数は同マイナス16.4%と2年連続の低下となりました。一方、中国(含香港)指数は前年比6.4と2年ぶりの上昇となりました。

2020年は感染症拡大が生産・販売に多大な影響を及ぼしましたが、中国(含香港)は感染症拡大の影響から比較的早期に回復したため、中国(含香港)指数は上昇したと考えられます。

国内出荷は、輸送機械を始めすべての業種で低調

2020年の国内出荷指数(日系製造業の国内拠点からの出荷)の動きをみると、輸送機械工業は指数値87.2で前年比マイナス18.4%低下、汎用・生産用・業務用機械工業は指数値92.3で前年比マイナス11.1%低下、化学工業は指数値95.4で前年比マイナス8.0%低下、電気機械工業は指数値90.2で前年比マイナス5.8%低下、それ以外の業種計も低下となりました。

輸送機械工業が新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きく出た結果となりました。

出荷海外比率は継続して上昇、海外市場比率、逆輸入比率は前年より低下

グローバル出荷指数を用いて、「出荷海外比率」、「海外市場比率」、「逆輸入比率」の3つの指標も試算しています。これら3つの指標は、「グローバル化比率」と呼び、製造業のグローバル化の指標としております。

このうち、日系製造業のグローバル出荷全体(日系製造業の国内外の拠点全体での出荷)に占める海外出荷(日系企業の海外拠点からの出荷)の比率である「出荷海外比率」は継続して上昇しており、2020年の比率は32.6%と最高値(2015年基準)を更新しました。しかし2020年に関しては、日系企業の海外拠点からの出荷に勢いがあった訳ではなく、国内出荷の減少から相対的に海外出荷の割合が大きくなった結果でした。

グローバル出荷全体のうち、日本市場以外の海外市場向けに出荷されたものの比率である「海外市場比率」は43.2%と2年連続の低下、日本の輸入に占める日系企業の海外拠点から日本向けに出荷された割合を示す「逆輸入比率」は25.3%と2年ぶりの低下となりました。

以上のように、2020年の日系製造業のグローバル出荷は、国内出荷・海外出荷ともに低下することにより、前年比マイナス10.5%と2年連続で低下しましたが、特に2020年は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により大幅な減少となりました。

世界ではまだまだ新型コロナウイルス感染症が拡大していますが、徐々に経済活動再開の動きもみられています。今後の動向も注意深くみていきたいと考えます。

ミニ経済分析「グローバル出荷指数 2020年(2015年基準)」のページ
グローバル出荷指数のページ

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