- 統計
- 外資系企業動向調査
- 結果の概要
- 第32回 調査結果(1997年度実績)-平成12年3月刊行-
- 日本における事業活動の評価-平成11年7月6日公表-
外資系企業動向調査
日本における事業活動の評価-平成11年7月6日公表-
- 事業の拡大・多角化は急減、現状維持、事業再編・縮小や撤退が増加
- コスト面では、税と人件費の負担感が強く、また、インフラの整備では通信インフラの要望が強い
- 対日投資のための各種支援策については一応の評価を受けており、見直しを求められている課題への対応も進んでいる
事業の拡大・多角化は急減、現状維持、事業再編・縮小や撤退が増加
- 企業の将来計画を尋ねたところ、「事業の拡大」(38.1%)及び「多角化を図る」(2 .9%)の合計は、2年前(第30回)調査時の計81.0%に比べ大幅に低下し、代わって 「現状維持」が51.9%(30回調査では15.1%)と高くなった。外資系企業にあっても最近の日本経済の状況のなかでは厳しい経営を余儀なくされているということができる。一方、割合は少ないが「事業の再編・縮小」や「撤退」を考えている企業もあり、この割合は2年前に比べて増加している。業種別ではわずかながら非製造業の方比率が上昇してきており、非製造業では参入・退出が激しく競争が厳しくなってきていることがうかがえる(第3-(3)-1-1、2図)。
- 参入時期別にみると、1995~97年度に設立された比較的新しい企業では拡大意欲が強く52.6%の企業が「事業の拡大」又は「多角化を図る」と回答している。また、業種別では、非製造業の方が高い(製造業で39.0%、非製造業で42.0%)(第3-(3)-1-1、3図)。
- 「事業の拡大」及び「多角化を図る」と回答した企業に対して、想定する進出地域を尋ねたところ、工場、研究所については関東が圧倒的多数を占めているが、支店・営業所については近畿を検討するところも多かった(第3-(3)-1-4~6図)。具体的な地域では、工場では神奈川県、次いで大阪府の順で、研究所では神奈川県、次いで東京都、支店・営業所では大阪府、次いで東京都の順であった。地域を選定する要因としては、工場では「希望面積の確保」が最も多く(35.4%)、以下「事業コストが安い」、「下請・関連企業の集積」、「賃工場・オフィスがある」の順であった。研究所では「事業コストが安い」(26.7%)が最も多く、以下「賃工場・オフィスがある」、「人材確保が容易」、「交通の利便性」の順で、支店・営業所では「市場の魅力」(75.4%)、以下「交通の利便性」、「人材確保が容易」、「賃工場・オフィスがある」の順であった。(第3-(3)-1-7~9図)。









コスト面では、税と人件費の負担感が強く、また、インフラの整備では通信インフラの要望が強い
- 事業活動を行う上での問題点を尋ねたところ「税率の高さ」(69.8%)、「ビジネスコストの高さ」(61.7%)が高く、他に「品質に対する顧客の要求」(48.9%)、「人材確保が困難」(40.0%)、「流通経路の煩雑さ」(33.9%)などであった。なお、税率については、本調査実施後の99年4月法人課税の実効税率が46.36%から40.87%へと国際水準並みに引き下げられており、今後の対日投資促進につながるものと期待される(第3-(3)-2-1図)。
- 「ビジネスコストの高さ」と回答した企業に、最も負担を感じているコストを尋ねたところ、「賃金」と回答した企業が55.9%にのぼり、特に製造業では66.3%の企業から指摘されている。このことは、未だに人件費が国際比較でかなり割高なものと映っており、経費を圧迫していることがうかがえる。なお、不動産関連費用については、近年の地価下落により割安感が出始めた感さえあるにもかかわらず、37.2%と相変わらずの結果となり、外資系企業にとって未だ負担と感じるレベルにあるといえる(第3-(3)-2-2図)。
- 「インフラの未整備」と回答した企業に必要なインフラについて尋ねたところ、「通信インフラ」が最も多く43.0%で、次いで「新幹線、港湾、高速道路」(14.0%)、「ハブ空港」(10.3%)の順となっており、通信インフラ整備の重要性がうかがわれる(第3-(3)-2-3図)。



対日投資のための各種支援策については一応の評価を受けており、見直しを求められている課題への対応も進んでいる
- 公的機関による低利融資の必要性について尋ねたところ、「現在のまま継続する」と「必要ない」とする回答がほぼ同数(それぞれ44.1%、46.2%)であったが「拡充を要望する」も9.6%あった。外資系企業の参入初期段階における支援制度の必要性について尋ねたところ、「現在のまま継続する」との回答が多く(52.6%)、「拡充を要望する」が9.1%、「必要ない」とする回答が38.4%あった(第3-(3)-3-1、2図)。
- 国内制度の見直しを求める項目としては、「法人税率の軽減」(79.4%)が圧倒的に高く、次いで「個人所得税の軽減」(43.9%)、「会計の国際基準への調和」(32.9%)の順であった。これに対して「規制緩和」は4.6%とそれほど多くなかった。見直しを求める項目として上位にきている項目には、法人課税のように既に改善された項目もあり、また、現在、制度の見直しが進んでいるものも多い(第3-(3)-3-3図)。



最終更新日:2007.10.1