工業統計調査
平成14年速報
平成15年9月24日(水)
経済産業政策局調査統計部
はじめに

経済産業省は、我が国工業の実態を明らかにするため、毎年、全国の製造事業所を対象に工業統計調査を実施し、その結果を「工業統計表」として公表しています。
平成14年工業統計調査は、平成14年12月31日現在で実施した工業統計調査結果の主要項目について、産業別、従業者規模別、都道府県別に集計したものです。
工業統計表は、「産業編」、「品目編」、「市区町村編」、「工業地区編」、「用地・用水編」及び「企業統計編」の各編からなっており、今後、順次公表することとしております。これらの統計表が広く各方面で活用され、我が国工業の実態の解明と今後の発展に貢献できれば幸いです。
工業統計調査の実施に当たり、多大の御協力を頂きました全国の製造事業所の方々、調査に従事された工業統計調査員、工業統計調査指導員、市区町村及び都道府県の関係の方々に対し、深く感謝申し上げます。
また、今後の工業統計調査のより一層の充実、改善のため、御意見を頂ければ幸いに存じます。
平成14年工業統計速報(要旨)
平成15年9月24日(水)
経済産業政策局調査統計部
- 出荷額、付加価値額は2年連続の減少、従業者数は11年連続の減少 -
本速報(概況)は、平成14年12月31日現在で実施した工業統計調査結果のうち、従業者10人以上の製造事業所についてとりまとめたものである。
速報のポイント
- <全体の動向>
-
- 出荷額は、輸送機械の3年連続増、ゴム製品の5年ぶりの増を除き、その他の全産業で減少
- 付加価値額は、2年連続100兆円を下回る
- 従業者数は、11年連続の減少
- 有形固定資産取得額は3年ぶりの減少
- 事業所数、従業者数は全県で減少
- 出荷額は、39県で減少、8県で増加
- 出荷額の多い県は、愛知、神奈川、静岡、大阪、埼玉
- 30県で機械産業が1位産業(輸送機械が12県、電子部品・デバイスが7県、一般機械が6県)
- <トピックス>
-
1.事業所の開業・廃業・継続状況(従業者10人以上の事業所)
- 平成14年の製造事業所数のうち継続事業所は92.5%
- 開業等の割合は1.1%、廃業等の割合は4.0%
- 継続事業所のうち、出荷額前年比がプラスの事業所割合は 38.4%
-
2.我が国製造業の産業集中度の推移と地域別の特徴(従業者4人以上の事業所)
- ハーフィンダール指数(HI)でみる我が国製造業の地域別集中度は、高度成長期前半には産業の特定地域への集中、高度成長期後半には分散の動き、その後はなだらかな分散傾向
- 産業別では、出版・印刷、輸送機械の地域別集中度が高い
- 出荷額でみると、近年は政令市等での減少大、町村は横ばい傾向で推移
- 産業別では、町村は食料品、印刷・同関連業、化学、輸送機械等で増加傾向
1. 我が国の工業の概要(従業者10人以上の事業所)
- 事業所数(14万6512事業所)は、前年比▲4.8%と減少。
- 従業者数(745万人)は、同▲4.4%と、平成4年以降11年連続の減少。
- 出荷額(260兆円)は、輸送機械とゴム製品が増加したが同▲4.3%と2年連続減少。
- 付加価値額(93兆円)は、輸送機械、石油・石炭製品等が増加したが同▲2.6%の減少、2年連続100兆円を下回る。
2. 産業別の状況(従業者10人以上の事業所)
- (1)事業所数
-
- 全産業で減少、減少寄与が大きいのは、衣服・その他の繊維製品、一般機械、電気機 械、金属製品、食料品、窯業・土石製品、木材・木製品など。
- 事業所数は、食料品、一般機械、金属製品、プラスチック製品、窯業・土石製品の順に多く、上位5産業で全体の48.5%を占める。
- (2)従業者数
-
- 11年連続の減少。輸送機械と非鉄金属を除く、情報通信機械、一般機械、電気機 械、電子部品・デバイス、衣服・その他の繊維製品、窯業・土石製品、金属製品で減少。
- 従業者数は、食料品、一般機械、輸送機械、電気機械、金属製品の順に多く、上位5産業で全体の51.1%を占める。
- (3)出荷額
-
- 輸送機械、ゴム製品を除く全産業で減少。
- 出荷額は、輸送機械、一般機械、化学、食料品、電気機械の順に多く、上位5産業で全体の51.4%を占める。
産業別出荷額の前年比(従業者10人以上の事業所)産業別出荷額の構成比(従業者10人以上の事業所)
- 1事業所当たり出荷額は、17.7億円、前年比0.5%の増加。産業別では8産業で増加したが、情報通信機械、精密機械、一般機械などの16産業で減少。
1事業所当たり出荷額の推移(従業者10人以上の事業所)
- (4)付加価値額
-
- 輸送機械、石油・石炭製品、その他の製造業、ゴム製品の4産業で増加、一般機械、情報通信機械、電気機械、窯業・土石製品、化学 工業、金属製品、電子部品・デバイスなど20産業で減少。
- 付付加価値額は、輸送機械、化学、一般機械、食料品、電気機械の順に多く、上位5産業で全体の52.8%を占める。
- 従業者1人当たり付加価値額は、製造業平均1242万円、前年比2.0%の増加。
従業者1人当たり付加価値額の推移(従業者10人以上の事業所)
- (5)有形固定資産取得額(従業者30人以上の事業所)
-
- 取得額は9.5兆円、前年比▲19.0%減。
- 産業別にみると、電子部品・デバイス、一般機械、情報通信機械、電気機械、化学工業など、輸送機械と飲料・たばこ・飼料を除く全 産業で減少。
- (6)リース契約額・支払額(従業者30人以上の事業所)
-
- リース契約額は1兆 417億円、前年比5.7%の増加。
- 産業別にみると、 電子部品・デバイス、化学、窯業・土石製品、輸送機械、非鉄金属、鉄鋼など10産業で増加、情報通信機械、金属製品、一般機械など14産業で減少。
- リース支払額は1兆3353億円、同▲0.2%の減少。
- 産業別にみると、情報通信機械、一般機械、精密機械、化学、パルプ・紙・紙加工品な ど15産業で減少、電子部品・デバイス、食料品、非鉄金属など9産業で増加。
3. 都道府県別の状況(従業者10人以上の事業所)
都道府県別、事業所数、従業者数、出荷額、付加価値額の状況
(従業者10人以上の事業所について)
- (1) 事業所数、従業者数とも、全県で減少。
-
- 事業所数の減少率が大きいのは、徳島、高知、大阪、東京、長野、鹿児島、鳥取、佐賀。
- 従業者数の減少率が大きいのは、神奈川、高知、東京、千葉、大阪、徳島、長野、鹿児島。
- (2) 出荷額は、39県で減少、8県で増加。
-
- 出荷額の減少率が大きいのは、長野、東京、佐賀、京都、神奈川、秋田、熊本、長崎。
- 増加した県は、山形、栃木、山口、岡山、愛知など。
- 機械産業が30県において出荷額第1位産業、多いのは輸送機械の12県と電子部品・デバイスの7県。
都道府県別出荷額の前年比(従業者10人以上の事業所)
- (3) 付加価値額は、35県で減少、12県で増加。
-
- 付加価値額の減少率が大きいのは、長野、沖縄、佐賀、鳥取、広島など。
- 増加した県は、長崎、三重、栃木、山口、静岡、愛知など。
トピックス
1. 事業所の開業・廃業・継続状況の状況(従業者10人以上の事業所)
- (1) 開業等、廃業等の割合、継続事業所
-
- 平成14年の 事業所数(14万6512事業所)のうち、継続事業所は92.5%。
- 開業等の事業所数は1603事業所、開業等の割合は1.1%(対前年ポイント差▲0.2)。
開業等の割合が高い産業は、石油・石炭製品、電子部品・デバイス、情報通信機械など。 - 廃業等の事業所数は6110事業所、廃業等の割合は4.0%(対前年ポイント差0.2)。 廃業等の割合が高い産業は、情報通信機械、電子部品・デバイス、衣服・その他の繊維製品。
産業中分類別、従業者規模別の開業等、廃業等の割合(従業者10人以上の事業所)
- (1) 継続事業所の出荷額前年比
-
- 継続事業所の うち、出荷額前年比プラス事業所の割合は38%(前年43%)。
- 出荷額前年比 プラス事業所の割合が前年を上回ったのは、衣服・その他の繊維製品、化学、繊維、電子部品・デバイスなどの7産業。
- 出荷額前年比 プラス事業所の割合の高い産業は、輸送機械、食料品、化学、石油・石炭製品など。
産業別、従業者規模別、出荷額前年比プラスの割合(従業者10人以上の事業所)
2. 我が国製造業の産業集 中度の推移と地域別の特徴(従業者4人以上の事業所)
- 我が国製造業 は、高度成長期前半には産業の特定地域への集中、高度成長期後半には 分散の動き、その後はなだらかな分散傾向。
ハーフィンダール指数でみる我が国製造業の地域集中度(従業者4人以上の事業所)
- 産業別の集中度をみると、
- ・全期間を通じて出版・印刷・同関連産業が高い値。
- ・精密機械は急速に地域への分散化が進行。
- ・最終組み立て事業所の周辺に部品供給を行う事業所が立地している輸送機械のみ、集中度が高まる傾向
産業別の集中度の推移
- 「飲食料品」は、生活、地域密着型産業であり、50年代にやや集中傾向を強めたものの、事業所数や従業者数でみると、目立った集中傾向はみられず、全国に広く分布。
- 「出版・印刷」は、他の産業に比べてHIが高いのが特徴。これは、需要地である大都市に集中していることによる。特に出荷額にはその傾向がみられる。事業所数、従業者数については、中小規模の事業所がそれぞれの需要地周辺に立地していることを表していると考えられ、出荷額程はHI高くない。
- 「電気機械」と「輸送機械」は、大企業とその下請け企業が周辺地区に立地しているという面で似ている。しかし、集中度を計算すると両者は大きく異なっている。「電気機械」は、高度成長期には、産業集中度が非常に高く、事業所の集中度が60年代まで高水準を維持していた。しかし、その後、工場の移転などを経て全国への分散が急速に進んでいったことが伺われる。一方で、「輸送機械」の製造拠点は、容易に移動することができず、集中度指数はそれほど大きな変化は示していない。しかし、90年代以降の企業、事業所の再編などを経て、事業所の集中度は若干ではあるが、高まる傾向にある。また、出荷額は、最終的な組み立てラインが立地する地域に集中する傾向があるため、事業所数や従業者数よりも集中度が高くなっている。
地域別にみた製造業の動向
- 政令市等は、10年前の平成4年比で出荷額は▲39.0%減と約4割の減少。
- 市部は同▲16.7%減、町村部は同▲1.7%の減。
政令市等、市、町村別出荷額構成比及び出荷額推移
市区町村別の出荷額
- 平成14年の市区町村別出荷額は、豊田市、大阪市、横浜市、川崎市、名古屋市の順。
- 出荷額の増減(対4年比)は、大阪市、名古屋市、川崎市、横浜市など政令市等での減少が大。
- 一方、豊田市、市原市、田原町、磐田市など平成4年を上回る市区町村もみられる。
平成14年出荷額上位5市区町村の推移
平成14年出荷額上位市区町村
産業中分類別にみた政令市等、市、町村別の出荷額
- 繊維、衣服・その他の繊維製品、家具・装備品、なめし革・同製品・毛皮、窯業・土石製品等は政令市等、市、町村とも出荷額は低下傾向。
- 食料品、印刷、化学、輸送機械等は、政令市等での低下が大、町村では上昇傾向。
繊維工業の出荷額推移
衣服・その他の繊維製品の出荷額推移
食料品の出荷額推移
印刷・同関連業の出荷額推移
ダウンロード
平成14年工業統計速報データ
- データは、マイクロソフトEXCEL(5.0/95)形式です。圧縮ファイルは同データの「ZIP圧縮形式」です。
- 下記ファイルについて、平成10年の前年比については時系列を考慮したもので計算しています。
- また、平成14年において、日本標準産業分類の改訂が行われたため、前年比については平成13年の分類を組み替えて計算しています。日本標準産業分類の改訂内容(製造業関係)についてはこちらからご覧ください。
- もしファイルが正常に開けない場合は「ファイル容量」をご確認願います。
統計表 | Microsoft Excel(5.0/95形式) ファイル名(ファイル容量) |
---|---|
従業者4人以上の事業所の統計表 | h14s-04n.xls(XLS/852KB) |
従業者10人以上の事業所の統計表 | h14s-10n.xls(XLS/152KB) |
上記2ファイルの圧縮形式(ZIP圧縮形式) | h14skogy.zip(ZIP/150KB) |
平成14年工業統計速報 要旨、概況文のダウンロード
- 数値表はについては上記エクセルファイルをご活用ください。
- 要旨、本文(利用上の注意、概況文、トピックス)は「PDF形式」です。
- 要旨(h14s-ys.pdf)(PDF/120KB)
- 本文(利用注、概況文、トピックス)(h14s-hb.pdf) (PDF/1,140KB)
10月18日は統計の日です
統計調査にご協力お願いいたします。