経済産業省
文字サイズ変更

商工業実態基本調査

中小企業の自己資本比率-平成11年6月30日公表-


(注) 自己資本比率は、企業が借り入れた資本と自己調達した資本を比較したもので、財務の安定性を示す。通常、大企業の場合は金融機関などからの借入や社債発行のほか株式発行による資金調達が可能であるが、中小企業の場合は金融機関などからの借入に依存せざるを得ないことから、大企業に比べて自己資本比率は一般的に低くなる。

 自己資本(株主資本ともいう。)を総資本(総資産)で除した自己資本比率を見てみよう。なお、中小企業は多種多様な企業から構成され、平均値だけでは中小企業の財務の実態を明らかにできないので、自己資本比率の分布について見てみよう。

ページのトップへ戻る

  •  製造企業における自己資本比率は、中小企業が24.9%、大企業が40.3%となった。この結果、中小企業が大企業を下回り規模間格差は▲15.4ポイントとなった。
  •  製造企業における中小企業の自己資本比率をみると、自己資本比率が高いのは、化学工業の35.3%、飲料・たばこ・飼料製造業の29.9%、石油製品・石炭製品製造業の28.1%、ゴム製品製造業の27.4%、精密機械器具製造業の27.3%、一般機械器具製造業の26.3%となった。他方、自己資本比率が低いのは、なめし革・同製品・毛皮製造業の18.6%、木材・木製品製造業の19.1%などとなった。この結果、自己資本比率が最も高い化学工業と最も低いなめし革・同製品・毛皮製造業との業種間格差は16.7ポイントとなった。
  •  製造企業における自己資本比率の規模間格差をみると、中小企業が大企業を下回っているのは、その他の製造業の▲30.1ポイント、衣服・その他の繊維製品製造業の▲27.6ポイント、家具・装備品製造業の▲24.4ポイント、輸送用機械器具製造業の▲21.1ポイントなどとなった。他方、中小企業が大企業を上回っているのは、石油製品・石炭製品製造業の12.0ポイントのみとなった。

製造企業における自己資本比率(法人企業)

  •  次に、製造企業における自己資本比率の分布を見てみよう。次の図は、中小企業と大企業の企業数をそれぞれ100とした構成比(百分比)で表したものである。これによると、中小企業においては、自己資本比率がマイナス(バランスシート上の資産総額が負債総額を下回っている状態)の企業が17.4%、プラス(資産総額が負債総額を上回っている状態)の企業が82.6%となり、ほぼ6分の1の企業がバランスシート上債務超過の状態となった。他方、大企業ではマイナスの企業が3.8%、プラスの企業が96.2%となり、バランスシート上の債務超過の状態にある企業は極わずかとなった。
  •  プラスとなった企業をみると、中小企業では比率5~10%及び10~15%の8.7%の企業をピークに30%までの範囲にほぼ半数の企業が存在している。他方、大企業では比率10~15%の8.2%の企業をピークになだらかに散在し、自己資本の厚みが見られる。

製造企業における自己資本比率の分布(法人企業)

ページのトップへ戻る

  •  卸売企業における自己資本比率は、中小企業が18.8%、大企業が22.6%となった。この結果、中小企業が大企業を下回り規模間格差は▲3.8ポイントとなった。
  •  卸売企業における中小企業の自己資本比率をみると、自己資本比率が高いのは、繊維・衣服等卸売業の21.1%、その他の卸売業の19.6%となった。他方、自己資本比率が最も低いのは、各種商品卸売業の16.0%となった。この結果、自己資本比率が最も高い繊維・衣服等卸売業と最も低い各種商品卸売業との業種間格差は5.1ポイントとなった。
  •  卸売企業における自己資本比率の規模間格差をみると、中小企業が大企業を上回っているのは、各種商品卸売業の4.5ポイントのみで、他の業種はすべて中小企業が大企業を下回っている。中でも、機械器具卸売業の▲13.4ポイントが際立っている。

卸売企業における自己資本比率(法人企業)

  •  次に、卸売企業における自己資本比率の分布を見てみよう。次の図は、中小企業と大企業の企業数をそれぞれ100とした構成比(百分比)で表したものである。これによると、中小企業においては、自己資本比率がマイナス(バランスシート上の資産総額が負債総額を下回っている状態)の企業が15.2%、プラス(資産総額が負債総額を上回っている状態)の企業が84.8%となり、ほぼ7分の1の企業がバランスシート上債務超過の状態となった。他方、大企業ではマイナスの企業が5.1%、プラスの企業が94.9%となり、バランスシート上の債務超過の状態にある企業は極わずかとなった。
  •  プラスとなった企業をみると、中小企業では比率5~10%の10.5%の企業をピークに0~30%までに半数の企業が存在している。他方、大企業では比率5~10%の14.3%の企業をピークに0~20%までに半数の企業が散在するなど、中小企業より低い方に偏在している。

卸売企業における自己資本比率の分布(法人企業)

ページのトップへ戻る

  •  小売企業における自己資本比率は、中小企業が16.0%、大企業が21.9%となった。この結果、中小企業が大企業を下回り規模間格差は▲5.9ポイントとなった。
  •  小売企業における中小企業の自己資本比率をみると、自己資本比率が高いのは、各種商品小売業の22.2%、家具・じゅう器・家庭用機械器具小売業の18.6%などとなった。他方、自己資本比率が最も低いのは、その他の小売業の15.3%となった。この結果、自己資本比率が最も高い各種商品小売業と最も低いその他の小売業との業種間格差は6.9ポイントとなった。
  •  小売企業における自己資本比率の規模間格差をみると、中小企業が大企業を上回っているのは、自動車・自転車小売業の4.0ポイントのみで、他はすべての業種で中小企業が大企業を下回っている。中でも、家具・じゅう器・家庭用機械器具小売業の▲13.1ポイント、織物・衣服・身の回り品小売業の▲11.1ポイントが大きい。

小売企業における自己資本比率(法人企業)

  •  次に、小売企業における自己資本比率の分布を見てみよう。次の図は、中小企業と大企業の企業数をそれぞれ100とした構成比(百分比)で表したものである。これによると、中小企業においては、自己資本比率がマイナス(バランスシート上の資産総額が負債総額を下回っている状態)の企業が18.1%、プラス(資産総額が負債総額を上回っている状態)の企業が81.9%となり、ほぼ2割弱の企業がバランスシート上債務超過の状態となった。他方、大企業ではマイナスの企業が11.4%、プラスの企業が88.6%となり、ほぼ1割の企業がバランスシート上債務超過の状況となった。
  •  プラスとなった企業をみると、中小企業では比率25~30%の8.7%の企業をピークに0~30%までに半数の企業が散在している。他方、大企業では比率0~5%及び5~10%の11.7%の企業をピークに0~25%までに半数の企業が散在するなど、中小企業よりやや低い方に偏在している。

小売企業における自己資本比率の分布(法人企業)

ページのトップへ戻る

最終更新日:2007.10.1
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.