経済産業省
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商工業実態基本調査

中小企業の情報化-平成11年6月30日公表-


 近年の企業における情報化の進展は、情報機器の機能向上や通信網の発達などを背景に、事務処理の合理化・省力化を目的とするものから、情報ネットワークを中心とした高度な情報化に移っている。こうした情報化の進展は、新たな規模間格差や企業間格差を生じ、今後、ますます拡大するものと懸念されている。ここでは、中小企業におけるパソコン、コンピュータ・ネットワーク及び情報システムの取り組み状況を見てみよう。

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製造企業
・製造企業においてパソコンを利用している企業の割合は、中小企業が29.1%、大企業が94.2%となり、大企業との規模間格差は▲65.1ポイントとなった。
・中小企業におけるパソコンを利用している割合を業種別にみると、石油製品・石炭製品製造業の62.6%が最も高く、次いで化学工業で61.2%の順となっているものの、他方5業種で利用割合が20%を下回るなど業種間に格差がみられた。大企業においては総じて90%を超えており、大企業においてはパソコンの利用が浸透している。
・さらに法人・個人別にみると、個人企業では利用割合が9.2%と低い利用割合に止まっているが、法人企業では50.1%と過半数の企業がパソコンを利用している。
・また、従業者1人当たりのパソコン台数は法人企業では0.28台(約4人に1台)、個人企業では0.05台(約20人に1台)となった。これを業種別にみると、法人企業では石油・石炭製品製造業の0.62台が最も高く、次いで電気機械器具製造業の0.43台の順となった。個人企業では出版・印刷・同関連産業の0.20台が最も高いが、他の業種はすべて0.10台未満となった。

製造企業におけるパソコンの利用状況

卸売企業
・卸売企業においてパソコンを利用している企業の割合は中小企業が43.3%、大企業が92.9%となり、大企業との規模間格差は▲49.6ポイントとなった。
・中小企業におけるパソコンを利用している企業の割合を業種別にみると、各種商品卸売業の61.9%が最も高く、次いで機械器具卸売業の57.4%の順となった。他方利用割合が低いのは飲食料品卸売業の36.7%、建築材料、鉱物・金属材料等卸売業の37.8%などで業種間格差は最大で25.2ポイントとなった。
・次に規模間格差を業種別にみると、飲食料品卸売業の▲55.6ポイント、建築材料、鉱物・金属材料卸売業の▲54.2ポイントなどが大きい。他方、規模間格差が小さいのは機械器具卸売業の▲36.4ポイント、各種商品卸売業の▲36.8ポイントなどとなった。
・さらに法人・個人別でみると、法人企業の利用割合が56.2%で、業種別にみてもすべての業種において過半数を超えており、卸売企業の法人においては情報化の整備が比較的進んでいる。一方、個人企業の利用割合は16.7%となった。
・また、従業者1人当たりのパソコン台数は法人では0.26台(約4人に1台)、個人企業では0.08台とほぼ製造企業と同様となった。これを業種別にみると、法人企業では各種商品卸売業が0.61台で最も高く、次いで機械器具卸売業の0.37台の順となった。個人企業では機械器具卸売業、その他の卸売業が0.1台を上回っている他の業種は低い台数となった。

卸売企業におけるパソコンの利用状況

小売企業
・小売企業においてパソコンを利用している企業の割合は中小企業が19.9%、大企業が86.0%となり、大企業との規模間格差は▲66.1ポイントとなった。
・中小企業におけるパソコンを利用している企業の割合を業種別にみると、各種商品小売業の43.7%が最も高く、次いで自動車・自転車小売業の32.8%の順となった。他方利用割合が低いのは織物・衣服・身の回り品小売業の13.9%、飲食料品小売業の14.4%などで業種間格差は最大で29.8ポイントとなった。
・次に規模間格差を業種別にみると、織物・衣服・身の回り品小売業の▲74.5ポイントが最も大きく、次いでその他の小売業の▲65.7ポイントの順となった。他方、規模間格差が小さいのは各種商品小売業の▲40.3ポイント、自動車・自転車小売業の▲54.7ポイントなどとなった。
・さらに法人・個人別では法人企業の利用している割合が46.7%、個人企業が11.0%となった。
・また、従業者1人当たりのパソコン台数は法人企業では0.13台(約8人に1台)、個人企業では0.05台と製造企業、卸売企業に比べて低くなった。これを業種別にみると、法人企業では飲食料品小売業が0.09台で最も低いが、他の業種では0.1~0.2台となった。個人企業では各種商品小売業の0.14台が最も高く、逆に最も低いのは飲食料品小売業の0.03台となった。

小売企業におけるパソコンの利用状況

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製造企業
・製造企業におけるネットワークの利用割合は中小企業が7.7%、大企業が85.9%となり、大企業との規模間格差は▲78.2ポイントとなった。
・中小企業でネットワーク利用割合が高いのは、化学工業の24.4ポイント、石油製品・石炭製品製造業の22.7%などとなった。利用しているネットワークの種類としては、企業内ネットワークを70.8%の企業が利用しており、次いで特定企業間ネットワークの34.5%、オープンネットワークの22.8%の順となった。規模間で比較すると、大企業では企業内ネットワークの利用割合が高く、中小企業ではインターネット等のオープンネットワークの利用割合が高い。

製造企業における情報ネットワークの利用状況

卸売企業
・卸売企業におけるネットワークの利用割合は中小企業が14.4%と製造企業や小売企業に比べて高い利用割合となったが、大企業が77.6%となり、大企業との規模間格差は▲63.2ポイントとなった。
・中小企業における利用割合を業種別にみると、機械器具卸売業の22.1%が最も高く、次いで各種商品卸売業の19.9%の順となった。他方利用割合が低いのは飲食料品卸売業の10.5%、建築材料・鉱物・金属材料卸売業の10.9%などで業種間の格差は小さい。利用しているネットワークの種類としては、製造企業と同様に企業内ネットワークが66.6%、企業間ネットワークが41.3%、オープンネットワークの16.4%の順となった。規模間で比較すると製造企業同様企業内ネットワークは大企業が高く、オープンネットワークは中小企業が高い。

卸売企業における情報ネットワークの利用状況

小売企業
・小売企業におけるネットワークの利用割合は中小企業が7.6%、大企業が51.5%となり、大企業との規模間格差は▲43.9ポイントとなった。
・中小企業の利用割合を業種別にみると、各種商品小売業が18.8%で最も高く、次いで家具・じゅう器・家庭用機械器具小売業の11.2%、自動車・自転車小売業の11.0%の順となった。利用しているネットワークの種類としては、企業間ネットワークを利用している企業の割合が54.6%、企業内ネットワークを利用している企業の割合が50.4%、オープンネットワークを利用している企業の割合が15.2%の順となり、製造企業、卸売企業とは異なったネットワークの利用をしている。規模間の比較では中小企業における企業間ネットワークの利用が大企業より上回っている点が特徴となっている。

小売企業における情報ネットワークの利用状況

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製造企業
・製造企業における情報システムの利用割合は、中小企業が9.8%、大企業が76.3%となり、大企業との規模間格差は▲66.5ポイントとなった。
・中小企業における利用割合を業種別にみると、電気機械器具製造業の22.7%が最も高く、次いで一般機械器具製造業の20.3%、化学工業の15.6%の順となっている。また、利用している情報システムとしては65.3%の企業がCAD/CAMを、25.9%の企業がPOS/EOSを利用している。また、利用している情報システムの種類では、全般的にCAD/CAMの利用割合が高いものの、食料品製造業、飲料・たばこ・飼料製造業では商業事業者とのネットワークとしてPOS/EOSの利用が多いことがわかる。規模間で比較してみるとEDIについては大企業が多く利用しているが、CALSについてはまだ利用している企業は少ない。しかしながら業種によっては中小企業においても徐々に利用が進んでいることがうかがえる。

製造企業における情報システムの利用状況

卸売企業
・卸売企業における情報システムの利用割合は中小企業が12.4%、大企業が66.6%となり、大企業との規模間格差は▲54.2ポイントとなった。
・中小企業において情報システムの利用割合を業種別にみると、機械器具卸売業の16.6%が最も高く、次いでその他の卸売業の14.2%の順となっており、最も低い建築材料、鉱物・金属材料卸売業でも10.0%となり、卸売企業についてはネットワークの利用状況同様業種間の格差が小さい。また、企業が利用している情報システムの種類としては、68.4%の企業がPOS/EOSを、19.0%の企業がEDIを利用している。規模間の比較ではEDIの利用割合については格差があるものの、それ以外の情報システムについては利用割合に大きな差はみられない。

卸売企業における情報システムの利用状況

小売企業
・小売企業における情報システムの利用割合は中小企業が10.5%、大企業が53.5%となり、大企業との規模間格差は▲43.0%となった。
・中小企業において情報システムの利用割合をみると、各種商品小売業の19.4%が最も高く、次いで家具・じゅう器・家庭用機械器具小売業の13.2%の順となった。また企業が利用している情報システムの種類としては、89.1%の企業がPOS/EOSを利用しており製造企業や卸売企業より高くなっているものの、他の情報システムの利用割合は製造企業や卸売企業より低い。規模間の比較ではPOS/EOSも含めて情報システムの種類ごとの格差は比較的小さい。

小売企業における情報システムの利用状況

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最終更新日:2007.10.1
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