- 政策について
- 政策一覧
- 経済産業
- 技術革新の促進・環境整備
- 産業技術政策全般/イノベーション政策
- 産業技術メールマガジン
- 産業技術メールマガジン/技術のおもて側、生活のうら側 第101号
産業技術メールマガジン/技術のおもて側、生活のうら側 第101号
◆技術のおもて側、生活のうら側 2016年11月24日 第101号
こんにちは。ご愛読いただき、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支える産業技術を身近に感じていただければ幸いです。
北海道の冬のインフラを支え続けるどさんこ企業
北海道の空の玄関口、千歳空港。大雪などの厳しい気象条件にも関わらず、真冬においても、何時間、何日間も閉鎖されていることはめったにない。
千歳空港は、札幌に比べて雪の少ない太平洋側に近い千歳市に位置するものの、降雪日数は12月から3月で各月20日以上、年降雪量の合計も2メートルを超える。
大型の旅客機にとっては、滑走路に雪が2センチメートル積もっているだけで、離発着ができなくなるという。このため、滑走路は常に迅速に除雪を行わなければならない。
千歳空港は、3000メートルの滑走路を2本有する、24時間運用の空港である。面積は約700ヘクタールにおよび。このため、除雪に係る時間を短縮し、航空機の定時運行を至上命題として掲げ、これまでも除雪体制の強化に取り組んできた。
今回紹介する企業は、昭和14年創業の札幌市に本社を置く、(株)協和機械製作所である。
同社は、空港や高速道路などで活躍する大型高性能除雪車を製造するメーカーである。
同社が製造する空港用高性能除雪車のうち大型のものは、除雪幅約6メートルのプラウ除雪車と掃雪幅約6メートルの牽引式スイーパ除雪車をトレーラーで連結し、全長が24メートルにもなる。
滑走路や誘導路の雪をプラウで横方向に除排雪し、除雪した後をスイーパで雪を掃きよけて舗装面を露出させ、さらに車両の最後部から強風を舗装面に押し当ててきれいにする。千歳空港の滑走路の除雪には、同社の大型除雪車を12台使用しているという。
千歳空港の滑走路の全幅は約60メートルあるが、12台の除雪車を横に並べ、中央を先頭にV字型に配置して、時速40キロメートルで一方向に一気に除雪する。滑走路一本を除雪する時間はたったの20分。除雪後の路面状態のチェックにかかる時間10分を合わせても、約30分で除雪が完了する。
同社は除雪車を製造販売するだけでなく、空港での除雪作業が常に完全に行われるよう、24時間体制で部品の交換やメンテナンスに対応できるよう体制を整えるなど、アフターサービスにも力を入れている。
同社の高性能除雪車は、北海道全域の空港はもちろん、成田空港や東北・北陸・山陰地方の空港でも採用されている。また、福島県以北の高速道路などでも利用されている。このため、各地の様々な雪質に対応できるよう、プラウのカーブ角を変えたり、シャーピンがなくても道路面からの衝撃に対応できるシャーピンレス装置の開発などを行ってきた。
まさに長年にわたり、北国の冬のインフラを支え続けている企業である。
気候変動の影響で、これまでにない大雪に見舞われたり、積雪のほとんどなかった地域でもまとまった積雪が観測されるなど、ますます対応すべき課題が多くなると見込まれるが、同社の高い開発力と技術力で、これからも我々の冬のインフラを支え続けてほしい。
<取材協力>
株式会社 協和機械製作所 代表取締役 藤枝 靖規
協和機械製作所ウェブサイト:http://kyowa-kikai.co.jp/
技術のおもて側、生活のうら側について
発行:経済産業省産業技術環境局産業技術政策課 執筆/担当 松本、大和田
〒100-8901東京都千代田区霞が関1-3-1
電話:03-3501-1511(代表)
お問合せ先
本ぺージに対するご意見、ご質問は、産業技術環境局 産業技術政策課
電話 03-3501-1773 FAX 03-3501-7908 までお寄せ下さい。