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産業技術メールマガジン/技術のおもて側、生活のうら側 第112号
◆技術のおもて側、生活のうら側 2017年10月26日 第112号
こんにちは。ご愛読いただき、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支える産業技術を身近に感じていただければ幸いです。
【あらゆる液状食品をしっかり、便利に届ける技術】
- 液状の飲料や食品は、何らかの容器に入れられ流通しているが、その包装容器の素材はガラスや缶以外にも、耐水性のある紙、合成樹脂などでできた容器、ペットボトル、フィルムなどが開発されるなど、その進歩の歴史はめまぐるしい。また、容器の形状やデザイン、品質、機能も多様化・高度化し、私たちの身の回りのあちこちで活用されている。このように包装容器は多様に発展してきた。
- 今回は、包装容器に充填包装する機械の開発・販売を早くから手がけ、日本の液体包装の発展を支えてきた企業である「四国化工機株式会社(本社:徳島県板野郡北島町)」を紹介する。
- 同社の設立は1961年。創業当社は食品産業向けのステンレスタンク製造メーカーとしてスタートした。
- その数年後の1965年頃に、大手乳酸菌飲料メーカーが、配送の効率化を目的に、宅配用の飲料容器を重いガラスビンから軽いプラスチックボトルへと転換するため、自動充填機の開発コンペを行った。その大手乳酸菌飲料メーカーにステンレスタンクを納入していた関係で、大手の機械開発メーカー7社とともにコンペに参加。当時、規模の小さかった同社は相当な苦労を要するも、大量の小型容器を整立させる装置や、高速でも超軽量な容器を倒さずに搬送する機構、プラスチックにアルミ箔のフィルムで蓋をする高周波シール技術など、様々な技術開発を行い、1967年に「小型プラスチックボトル充填シール機」の採用を勝ち取った。現在においても、この大手乳酸菌飲料メーカーと同社の取引は続いているという。
- この大手乳酸菌飲料メーカーの発展とともに、同社も機械メーカーとしてその後の成長の礎を築くことができるようになった。
- 現在の同社の事業の柱は、「機械事業」「包装資材事業」「食品事業」の3本柱となっている。
- 「機械事業」については、「小型プラスチックボトル充填シール機」の開発をはじめとして、1977年には、当時海外メーカーによる機械が市場を独占していた牛乳パック等を製造する「屋根型紙容器成形充填機」の開発にも成功。海外大企業メーカーから国内シェアを奪うべく、顧客の要望に応じて新機種を多数開発するとともに、性能の向上やアフターケアにも力を入れた。このような努力により国内でのシェアを拡大し、現在では、国内シェアトップの約7割を占めるに至っている。また世界シェアも約1割、世界50カ国以上に輸出するに至っている。
- 同じく紙容器であるレンガ型の成形充填機も開発。レンガ型は屋根型の紙容器に比べて、積載効率が高く、製造過程でも無菌下での紙容器の成形が可能なため常温での流通にも適している。このため、世界的にはレンガ型紙容器の製造・流通が多いという。この他、同社ではカップ充填機やボトル充填機などの開発・販売も行っている。
- 同社は、無菌充填技術を活かした機械の開発を得意とし、高度に減菌・無菌化した容器や液体食品を、無菌環境下で充填・密封できる機械も開発。このほか、機械内の殺菌・洗浄を自動で行う装置も開発している。
- 同社で開発された機械によって充填されている液体食品は、牛乳、ジュース、お酒、カップアイス、プリン、ヨーグルト、ジャム、マーガリン、味噌、茶など多岐ににわたり、正確なシェアは不明ながらも、国内のスーパーやコンビニに並ぶ液体食品のかなりの割合が同社の機械により充填されたものだという。
- また、「包装資材事業」も手がけており、顧客の扱う商品やニーズに合わせた新しい素材、形状、デザインの容器や蓋、外包装などの開発も行っている。
- グループ会社とともに、紙やプラスチックの容器のほか、紙とプラスチックの複合容器など、付加価値の高いオリジナル容器を開発するとともに、充填機にマッチングした最適な形で顧客に一括提案を行うことにより、積極的な市場開拓にも取り組んでいる。
- さらにもう一つの主力事業の「食品事業」は、1973年から開始。「さとの雪」ブランドとして有名な豆腐や油揚げ、厚揚げなどの生産を行っている。
- 1982年には、にがり100%の充填豆腐の機械による製造技術を確立し、日本で初めて賞味期間7日間(現在では最長で22日間まで延長)を保証した充填豆腐の量産化に成功。
- また、1989年には、保存料無添加でありながら、長期保存が可能な紙パック入りの無菌充填豆腐を開発するなど、豆腐製造の全自動化、量産化、賞味期限の延長、広域流通化を実現した。作りたての豆腐の風味を損なわないよう、空気や光を通さない特殊な紙容器の中で豆腐を作るという発想から生まれたものだ。賞味期間は、実に180日間(要冷蔵)を実現した。
- このように食品事業でも業界をリードする商品開発を絶えず行っており、現在では、日産約40万丁の業界トップクラスの生産を誇っている。
- 同社の今後の目標の一つは、海外事業活動のさらなる飛躍である。昨年には、タイとドイツにある駐在員事務所を現地法人化し、機械のメンテナンス体制を拡充するとともに、営業拠点としての販促活動にも注力している。さらに、北米市場への再進出も決定し、ハーフガロンをはじめとする様々な容器サイズに対応した屋根型紙容器成形充填機の開発にも取り組んでいる。
- 現在、機械事業における同社の輸出比率は3割程度であるが、世界のライバル会社に負けない自由な発想と技術力、機動力で、世界中の食文化の発展のため、安全、安心でおいしく、健康な食品をこれからも提供してくれることを期待したい。
取材協力
四国化工機株式会社
機械・包材営業本部 営業企画推進室
室長 田中 弘之
課長 助石 昌孝
四国化工機株式会社ウェブサイト〈外部リンク〉
技術のおもて側、生活のうら側
発行:経済産業省産業技術環境局総務課 執筆/担当 松本賢英、松本智佐子
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最終更新日:2017年10月4日