経済産業省
文字サイズ変更
アクセシビリティ閲覧支援ツール

産業技術メールマガジン/技術のおもて側、生活のうら側 第113号

◆技術のおもて側、生活のうら側 2017年11月30日 第113号

こんにちは。ご愛読いただき、心このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産業技術を生活者の目線で紹介していきます。 今回は、産業技術の進展にとって重要になりつつある、研究開発のデータのマネジメントについて、経済産業省産業技術環境局総務課 課長補佐の秋山さんにご紹介いただきます。

◆研究開発におけるデータマネジメントガイドライン策定に向けて

「データ(data)」とは、「資料・情報」と一言で定義されます。
担当者として、研究開発データのガイドライン策定にあたり、データについて、改めてじっくり考えると、水のように掴み所がなく、マネジメントの対象とするには、手強い相手でした。
私の趣味は、東京湾での船釣りで、日本酒を呑みつつ釣った魚を食すことです。
さて、私の趣味が釣りというデータは、一体誰のモノで、どのように取扱うべきモノなのか…このような基本的な疑問がわいてきます。
研究開発においてもデータのマネジメントを怠ると、その所有や取扱いのルールが分からず、混乱の原因となる可能性があります。
したがって、研究開発データを適切にマネジメントすることが重要になります。
では、本題に入らせて頂きます。

ガイドライン策定の背景

経済産業省は、平成27年5月に、「委託研究開発における知的財産マネジメントに関する運用ガイドライン」を策定し、研究開発の成果に係る知的財産に対して、より適切なマネジメントを遂行できる環境を整えました。
他方、データは一般に知的財産権の対象として扱われていないことから、国の委託研究開発による研究開発データについては、その取扱いについて特に定められておりませんでした。
このような中、現在、IoT、ビッグデータ、人工知能などの技術革新を推進力とする第4 次産業革命が進展しつつあり、研究開発データの利活用を通じた新たな競争力の強化が期待されていることから研究開発データを自己で利活用することのみならず、他者と共有し、共同で利活用し合うことが重要となっています。
したがって、国の研究開発の成果を最大限事業化に結びつけるとともに、産業競争力の強化やオープンイノベーション推進の観点からも知的財産のマネジメントのみならず、研究開発データのマネジメントについてもマネジメントの対象とし、ガイドラインを策定するにいたりました。

ガイドラインの適用対象は、どの範囲なの?

平成30年4月より、経済産業省の予算により経済産業省又は経済産業省所管の独立行政法人(NEDOなど)が委託する研究開発事業に適用することを予定しております。
また、ガイドラインの公表は、2017年12月末を予定しております。

データマネジメントって、何が変わるの?

委託研究開発の公募要領に、データマネジメントに係る基本方針が提示されるようになるので、ガイドラインで定めたデータマネジメントをプロジェクト参加者が実施して頂く必要があります。
データマネジメントに係る基本方針に基づいて、プロジェクト参加者に実施頂く主な事項は以下のとおりです。

  1. プロジェクト参加者間でデータマネジメント実施体制の整備
  2. プロジェクト参加者間で研究開発データの取扱いに係るルールの作成
  3. データ内容・利活用方針等を記載したデータマネジメントプランの作成
  4. 国への研究開発データの提供(公募時に提示した研究開発データのみ)など

データ利活用に向けて

想定されるビジネスの態様等を踏まえ、研究開発で取得または収集される研究開発データをオープン(公開や他者への利用許諾契約を通じたデータ利活用)にする領域及びクローズ(秘匿データの自らによる利活用)にする領域を適切に使い分けることに留意する必要があります。
当然のことながら、プロジェクト参加者で共同研究を行う際には、得られた研究開発データの利活用及び提供の形態に関しては、互いの意識を共有して頂く必要があります。

担当者のつぶやき・・・

ガイドライン策定にあたり、産業界や大学の方とお話をすると、「研究開発データをマネジメントする部署って明確に決まっていないのです。」という声が聞かれました。
必ずしも、データは、知的財産権の保護対象にならないので、知的財産部が全てマネジメントしている状況でもないようです。
担当者としては、ガイドラインの策定により、データをマネジメントすることの機運が高まり、知財戦略において特許権等と研究開発データを併せたオープン&クローズ戦略が、これまで以上に推進されていくことを期待しています。

◆参考(検討会(2017年10月12日))

研究開発におけるデータマネジメントガイドラインに関する問合せ先

経済産業省産業技術環境局総務課
電話:03-3501-1773
FAX:03-3501-7908
(執筆者: 秋山誠)

技術のおもて側、生活のうら側

発行:経済産業省産業技術環境局総務課 執筆/担当 松本賢英、松本智佐子
〒100-8901東京都千代田区霞が関1-3-1
電話:03-3501-1511(代表)

お問合せ先

本ぺージに対するご意見、ご質問は、産業技術環境局 総務課
電話:03-3501-1773 FAX:03-3501-7908 までお寄せ下さい。

最終更新日:2017年10月4日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.