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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側
こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じていただければ幸いです。
◆夢は大地へ、軽量折りたたみ自転車“YS-11”
地球環境問題や大都市における帰宅難民の問題などを背景に、電車、
バスなどの交通手段の代替として、地球環境に優しく、手軽な移動
手段である自転車の需要が伸びている。また、健康志向の高まりか
ら、若者のみならず高齢者の間でも自転車への関心が高まっている
という。
こうした中、自動車や航空機の技術を使ってエコロジー時代を先取
りした自転車を開発する動きが進んでいる。今回、軽量でコンパク、
折りたたみが簡単な次世代折りたたみ自転車YS―11を製造して
いる(有)バイク技術研究所のショールームを訪ね、白井社長にお
話を伺った。
白井社長は、戦後初の国産旅客機YS―11の製造会社(日本航空
機製造)で足回りの耐久試験やメンテナンスを担当し、またその後
の大手自動車会社では30年以上に亘ってブレーキの先進技術の開
発に携わったが、その時の経験、ノウハウのすべてがこの折りたた
み自転車の開発に生きているという。そしてYS―11がそのまま
製品名として名付けられた。
自転車の開発を始めたきっかけは、車に積み込み、出かけた先でサ
イクリングできる折りたたみ自転車を開発して社内ベンチャーを立
ち上げたこと。製品化はできたが、黒字化には至らず、ベンチャー
をたたんで同社長も定年退職した。しかしその思いを捨てきれず、
再チャレンジしてこの製品発売に至った。
特徴はその軽さで、独自に開発したアルミフレームは、JIS規格
をクリアする十分な強度、剛性を持ちながら7kg台の超軽量化の
大きな要素となっている。また、フレームの溶接は、職人技による
手仕上げで、その溶接部はロボットではまねできない非常に美しい
仕上がりである。
特にYS-11は、“軽量で折りたたみ簡単”を新しいコンセプト
としてスタートし、超軽量かつコンパクトで、片手でも運べる軽さ
となっている。公共交通機関とリンクして、通勤、通学、旅行など
で、電車、バスなどに折りたたんで持ち込むことを想定した設計に
なっている。
ユーザーの年齢については、若い方から70歳過ぎの方まで、年齢
に関係なくニーズがあり、女性の方も買いに来られるという。最近
の傾向では、50代以降の方が会社をリタイヤした後に購入し、例
えば四国のお遍路巡りなどの観光の際に利用しているようだ。
意外なのは、都会よりも地方の方の購入者が増えていること。地方
に行くと、バスなどの公共交通機関が未整備で、病院に通う時など、
電車、バスの乗り継ぎが悪く、無駄な時間がかかってしまう。この
ような交通機関の現状を補うために購入した方もいるという。
白井社長は、将来自転車が社会インフラの代わりにもなるのではと
考えている。今後高齢化が進むことを考えると、交通機関の整備よ
りもむしろレンタル自転車を整備した方がはるかに低コストになる
という見方を語っておられた。
これまで、自転車販売店や通信販売などのルートからの誘いも多数
あったが、中間マージンを省いて少しでも安価に提供したいという
ことと、販売体制が追いつかないということで全て断っているとい
う。実際大量に売れているというわけではないが、一度自転車を買
った方は、次に違うタイプの2台目を、また、2台目は奥さんにと、
ユーザーのリピーター率はかなり高いという。
性能面だけ求めるのであれば、他にも良いものはあるかもしれない
が、試乗してみると、折りたたみ自転車は思ったよりはるかにスム
ーズであり、手作りのよさが伝わる乗り心地がある。それ以上に、
自転車そのもののデザインがいいことと、他の交通機関と組み合わ
せる何か新しいライフスタイルを感じさせるものがあった。
この程度の重量の自転車では、1g下げるのに100円かかる
(100gで1万円)と言われているほど、軽量化は難しいことだ
という。実際、チタン製のパーツを使うと軽量にはなるものの非常
に高価なので実用的ではない。
より安価な製品が出てくるだろうが、更なる軽量化、乗りやすさを
追求していくことには変わりがないし、できるだけ多くのユーザー
に夢を提供していきたいと同社長が尽きない思いを語る姿は、第二
の人生で技術が花開くのはこういうことだと強く印象づけられた。
<取材協力>
有限会社 バイク技術研究所 代表取締役社長 白井 健次
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発行:経済産業省産業技術環境局産業技術政策課 担当/執筆:白井、小金澤、木村
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