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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

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◆技術のおもて側、生活のうら側 2012年12月27日 第54号

こんにちは。今年一年、産業技術メールマガジンをご愛読いただき、
心より感謝いたします。このメルマガでは、身近な生活シーンから、
社会生活に密着した産業技術を生活者の目線で紹介していきます。
私たちの暮らしを支える産業技術を身近に感じていただければ幸い
です。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

◆新しい紙のカタチ

近年、メーカーや消費者の地球環境問題への意識の高まりとともに、
使用後に捨てられている生活雑貨、商品パッケージ、モバイル機器
ケースなどのプラスチック製品の代替として、環境負荷が小さく、
リサイクルができ、かつ、一般ゴミとして家庭で捨てられるパルプ
成形品の普及に関心が集まっている。

紙の成形技術の歴史は意外と古く、身近なものでは卵の紙パックが
あるが、これはパルプモールドと呼ばれる製法で、溶かした紙を金
型に流し込んでプレスするだけの簡単なもの。生活雑貨などのよう
に、形状が複雑な製品については、通常はパルプ射出成形によって
造られている。

ただし、これまで紙の成形技術では、プラスチック成形品において
普通に行われている、表面に多色加工による色柄を施す、「加飾」
と呼ばれる加工ができないのが現状であった。今回話をうかがった
日本写真印刷株式会社は、同社の得意とするプラスチック成形品の
加飾技術を生かし、紙の成形と同時に加飾を施すパルプ成形技術を
世界で初めて開発した。

今回開発したパルプ成形技術は、イタリアの企業が特許を持つ伸び
る板紙の採用や、国内企業が特許を持つ成形技術を取り入れるなど、
多方面からいろいろな技術を一つに集めて新しい成形品が造られて
いるが、加飾により、綺麗な色、絵柄をつけることは、これまで誰
にもできなかったことで、同社のノウハウの結晶だという。

また、同社のパルプ成形品の大きな特徴の一つは、9割以上が自然
由来の素材を使用して出来上がっていることだ。その主成分(9割
以上)は、パルプ、でんぷん、水という環境に配慮した材料で構成
されており、従来のパルプ成形品のように、石油材料や強度を保つ
ための添加剤などは使われていない。

さらに、プラスチックよりも硬く、2割弱プラスチックよりも軽い
という。また、量産化していくとプラスチックよりも安い価格で提
供できるという。その反面、プラスチックより曲げに弱く、過度に
負荷をかけると割れてしまうことがある。また、湿度の高いところ
に長く置いておくと水分を吸ってしまうという。

同社のパルプ成形品には、他の物質を混ぜても問題はなく、お香な
どの臭いがする成形品を造ることもできる。また、例えば炭を混ぜ
て消臭効果を出すこともできるうえ、抗菌剤を混ぜて抗菌性の高い
製品を造ることも可能だという。さらに、200度まで耐えられる
難燃性素材のため、建材用としても使うことができるなど、その用
途は意外と幅広いようだ。

将来的には、購入していただいたパルプ成形品が、利用者の協力を
得ながら回収ができ、もう一度この製品をパルプに戻して、また新
たな成形品として市場に出すという、環境負荷が極めて小さいエコ
サイクルを利用者の協力を得て構築したいという。この形になって
いる限りは、炭素が空気中に出ることはないためである。

そして、利用者が環境にやさしいこのパルプ成形品を使うことで、
自分がエコシステムに参加しているということを認識してもらえる
システムにしたいという。自分がエコ製品を使っていることにプラ
イドが持てるような製品に最終的にもっていきたいとのことである。

紙の良さは、人間が紙と付き合ってきた長い歴史そのものともう一
度遊べるというところで、そこに目を向けていきたい。自然に使っ
ていくうちに、こんなに良いものがあったのだと言ってもらえるよ
うに。特別すばらしいものにするということではなく、普通に売っ
て一般の生活の中にごく自然に同社のパルプ成形品を浸透させてい
きたいと語った。

<取材協力> 日本写真印刷株式会社
事業開発部 マーケティング二グループ 竹中 寛、木下 真弥
情報コミュニケーション事業部 新規ソリューショングループ ディレクター 佐藤 彰

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