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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

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◆技術のおもて側、生活のうら側  2013131 第55号

こんにちは。ご愛読いただき、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じていただければ幸いです。

最高の光、最少の構造

遠目にはただのパイプにしか見えない、細くシンプルなLEDデスク
ライト。パソコンと調和し視界を邪魔しないデザイン。また、手暗
がりがなく広がりのある光は、とても目に優しく、しかも低消費電
力で長寿命。

このデスクライトを製造販売しているBsize(ビーサイズ)の八木
社長は、大手メーカーの医療機器部門で設計を担当していたある日、
商社が持ち込んだ手術用のLED照明の光に魅せられ、照明器具に応
用できないかと休日を利用して独自に製品化を進め、めどが立った
ところで会社を辞め、独立した。今回はそのオフィス兼自宅の一軒
家にお伺いさせていただいた。

そのスタイルは、照明器具のあるべき姿を追い求め、光の質と強さ
を第一に、無駄を極力削ぎ落とした本体を組み合わせたものとなっ
ている。本体は一見すると一本のパイプを曲げてLEDを付けただけ
に見えるが、しわなく美しく曲げるところに苦労したという。

パイプの曲げ加工の業者もなかなか見つからず、歩留まりが悪かっ
たり、曲げたはいいが表面がガタガタになったり、安定的に加工し
てもらうところが大変だった。大量生産ならコストを下げるためパ
イプを切った上で組み立てるのが通常だそうだが、そこは決して譲
れない一線で、あくまでこだわったところだという。

また、LEDのチップ自体がかなり発熱するので、いかに熱を逃がす
かということも大きな課題だったが、熱をとてもよく伝え、ゲーム
機や高性能パソコンなどにしか使われない熱伝導素材を用いること
で、外観を損なわずに問題を解決した。

最初は町工場を回って部品発注し、最初の100台は兼自宅の作業
部屋で自分の手で組み立て、これを外注した段ボールで梱包発送ま
で行った。今では、100台が1000台のオーダーになったので、
近くの工場に組立てを委託している。

この4月に次の新製品を発売予定とのことだが、製品のアイディア
は照明器具に限らないようだ。将来的には3つから5つぐらいの製
品が揃ったところで、海外でも販売してみたいという。世界的な賞
(レッドドットデザインアワード2012)も獲得したデザイン性と、
日本の高い技術を組み合わせれば、市場としては日本よりもはるか
に大きいとみている。

また、新製品の開発に当たっては、まずCADで作成した設計図を外
部の業者に転送して3Dプリンターで部品などを作ってもらい、それ
を元に試作品を製作するといった手法を取り入れ、開発に要する時
間やコストの大幅な圧縮につながっている。

開発や製造で実感したのが、パイプ曲げ技術など我が国の中小企業
の持つ技術レベルはかなりのものがあり、デジタルを使うベンチャ
ーと町工場の技術をうまく組み合わせれば日本の製品のすごさを世
界に伝えることができるという。これも技術のある中小企業が国内
にあるからできることで、果たして米国ではできるかどうか。意外
な国内起業のメリットを聞いた。

八木社長の起業の動機は、自分が欲しいものを造りたいという極め
て素朴なものだそうだが、初期投資が大きくリスク大な製造業でも
一人でできる時代になってきていることを実感させていただいた。
昔職人、今一人メーカー。八木社長のような人が現れてきたからこ
れからは製造業がもっと面白い時代になるだろう。

<取材協力> ビーサイズ株式会社 代表取締役社長 八木 啓太

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