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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

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◆技術のおもて側、生活のうら側  2013425 第58号

こんにちは。ご愛読いただき、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じていただければ幸いです。

◆未来空間のアパレルショップ
4月は、街行く人を覆う衣も変わる季節。アパレルショップの店内
には、もう初夏から盛夏向けの新作ウェアが並んでいる。ハンガー
やフックに掛けられた商品を手に取るとき、それらを身につけてコ
ーディネートした自分の姿を想像する人も少なからずいるはず。そ
れを頭の中だけの空想にとどまらせず、目の前のディスプレイに映
し出す - かつて手塚治虫が描いたような未来図を製品化した企業
が、ユカイ工学株式会社である。

同社は、現代表の青木俊介氏が大学在学中に立ち上げたロボットベ
ンチャー企業。本号で紹介するハンガーは、青木代表が創業メンバ
ーの一員であり取締役も務めるチームラボ株式会社及び広告代理店
と共同開発したもので、ユカイ工学はハンガーのハードウェア開発
を担当している。

ハンガーに手を掛けたとき、あるいはフックから商品を外して手に
取ったとき、その動きがBluetooth Low Energy(BLE)準拠の無線
通信を介して送信され、信号を受信したディスプレイに、その商品
をコーディネートしたモデルの写真やイラスト、動画が映し出され
る。最新の無線通信規格であるBLEの採用により、コイン型電池1つ
で約1年半使用できるという。

コーディネートした際のイメージを具体化して見せることにより、
購入意欲を喚起する効果が見込まれる。また、同時に、どの商品が
多く手に取られたかなど来客の購買行動をデータで把握することが
できるため、仕入れや商品の店内配置といったマーケティングへの
反映も期待される。

ユカイ工学の製品には、多くのメディアに取り上げられた“ネコミ
ミ”やこのシステムのように、他社との共同開発や顧客からの提案
を元に開発したもののほか、同社のイメージ・キャラクターを製品
化した手のひらサイズのロボット(PCと接続し、メールやTwitter
の情報を知らせてくれる。情報処理推進機構(IPA)の支援を得て
開発。)のような自社発案のものがある。青木代表は、創造開発型
企業として、自社発案型の商品をより増やしていきたいと語る。

商品開発の依頼元である顧客は、同社の技術力、創造性を買って
「こんな感じのものが作れないか?」と、漠然としたオーダーを携
えてくることもあるという。今後もそのような顧客を呼び込み、期
待に応えていく上でも、世の中をユカイにしていく新しい提案がで
きる企業であることを示していく必要がある、との認識だろう。

ユカイ工学の社名の由来は、ソニー株式会社の創業者の一人である
井深大氏が起草した、東京通信工業株式会社(ソニー(株)の前身)
の設立趣意書にある「真面目ナル技術者ノ技能ヲ、最高度ニ発揮セ
シムベキ自由闊達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設」という設立目的
にインスパイアを受けたものであるという(この言葉は、幾多のア
イデアスケッチとともにオフィスに貼られていた。)。また、便利
なだけでなくユカイなものを開発したいという思いも込められてい
る。

社会を変革するポテンシャルのある日本発のイノベーションが求め
られている昨今、現時点で最後の日本発イノベーションは、ユカイ
工学にインスパイアを与えたソニー(株)のウォークマンだと言われ
て久しい。ソニー(株)創業時の志を社名に引き継ぐユカイ工学には、
我々では想像もつかない新領域の開拓をぜひ期待したい。

おわりに、取材した青木代表から、本号で紹介したハンガーやフッ
クは国内約30店舗で導入されているので、「男性のみでは入りづら
い店舗ばかりだが、一度実例を見てほしい。」と、取材先近くの新
宿ルミネ内店舗を紹介された。男性読者の場合は、女性の方を同伴
するなど抵抗感を減らす工夫が必要かもしれないが、こんな身近に
ある未来的な空間を体感されてみてはいかがだろうか。

<取材協力>
ユカイ工学株式会社 代表 青木 俊介、取締役 神谷 雅史

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