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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

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◆技術のおもて側、生活のうら側  2013530 第59号

こんにちは。ご愛読いただき、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じていただければ幸いです。

◆日本を真の“ロボット大国”に!
日本はロボット大国―こんなキャッチフレーズを記憶する方は多い
のではないだろうか。自動車の製造ラインの写真や動画を添えて、
多くのメディアが取り上げてきたこのフレーズに対し、ロボット大
国化の一翼を担ってきたはずの株式会社安川電機・林田広報・IRグ
ループ長は、個人の意見でなく会社の認識と前置きして「まだまだ」
と語る。

2年前のメディアのインタビューでは、「ロボット大国とは全然思
っていない」と語り、昨年のインタビュー記事では「ようやく自動
車製造業以外の導入が増えてきた」と話されていた。それが今日に
至り、「まだまだ」と言いつつも「食品産業や製薬業への導入が進
んでいる」というお話を伺うことができた。

ロボット大国ではないと言い切る根拠は、上述のとおり、自動車製
造工程でしかロボット化は進んでいないという現実にある。安川電
機製ロボットの7~8割は自動車産業が納入先と説明されてきたが、
最新の実績では、自動車産業向けが7割を下回る水準に至ったとい
う。林田氏の発言の変化には、社の業績という裏付けがあるわけだ。

企業の業績は、社員の開発/営業努力の結果であるのは当然だが、
ビジネスの流れに変化を起こさせたという点では、同社が2010年に
開発したソフトクリーム製造ロボット「やすかわくん」の貢献も大
きいかもしれない。

「ゆるキャラ」的な外観から、遊び心で造られたような印象を受け
るが、林田氏によれば「大真面目で造った」とのことである。顔以
外は同社の産業用双腕ロボットがそのまま生かされているし、効率
だけ考えればもっと簡単に自動化できるとのお話だったので、いか
に人がソフトクリームを作る動きをロボットに再現させられるかと
いう点が、重要な開発要素だったのだろう。

消費者と直接接しない製品の販売が主体の安川電機としては、人の
生活との接点をどう表現してみせるかは課題だった。イベント用リ
ース商品としての引き合いも強い「やすかわくん」だが、企業とし
ての狙いは、人の生活とロボットとの接点を展示することにより新
たな用途の提案を呼び込むこと。実際、「こういうことができない
か?」といった提案含みの商談も増えたという。

「やすかわくん」は、同社の双腕ロボットをベースに開発された。
安川電機では、この双腕ロボットや7軸単腕ロボット(軸は可動関
節数)を「新世代ロボット」と位置付け、顧客に対し、既存の製造
ラインで人が行っていた作業をそのままロボットに置き換える提案
をしている。双腕ロボットや7軸単腕ロボットは、人の動きの自在
性を再現するために開発された技術だ。

人の代替となると、ロボットが人間の雇用を奪う可能性も懸念され
る(「鉄腕アトム」にも、そのようなエピソードがある。)。だが、
同社のロボットビジネスの根底には、労働負担の大きい部分はロボ
ットに置き換え、人は人でなければできない仕事をする、という考
え方がある。同社のロボットが得意とする自動車のアーク溶接は危
険な作業であり、新世代ロボットが担う箱の開梱作業などは、連続
して行うにはつらい単純作業だ。

独立行政法人産業技術総合研究所等と共同で開発したヒト型汎用ロ
ボット「まほろ」も、病原性微生物や放射性物質を扱うなど時に危
険が伴うバイオ系ベンチワークを、人に替わって行うコンセプトで
ある(しかも、熟練研究者以上の高精度で作業を行うことができる。)。

ロボット開発に携わる者の多くが目指すように、安川電機でも、ロ
ボットが医療や介護などの各種サービスに進出する社会を描いてい
る。現在、同社の製品の多くは工場の中でしか見られないが、いつ
か街中や家庭で普通に出会えるような日が来るのかもしれない。

<取材協力>
株式会社安川電機 東京管理部長 兼 広報・IRグループ長 林田  歩
         東京管理部 広報・IRグループ  元長 彩乃

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