経済産業省
文字サイズ変更

産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

めるまが登録

◆技術のおもて側、生活のうら側  2013627 第60号

こんにちは。ご愛読いただき、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じていただければ幸いです。

◆日本発!国際EVバイクベンチャー
創業からわずか2年で、電動バイクの国内トップシェアを達成した
ベンチャー企業としてメディアで取り上げられることも多いので、
Terra Motors株式会社の社名や、徳重徹代表取締役のお名前を耳に
した方もおられるのではないだろうか。

同社のビジネススタイルが関心を呼ぶ要因の一つに、徹底した理詰
めの経営がある。創業者である徳重代表取締役は、米国のEVベンチ
ャーであるテスラ・モーターズの成功にインスパイアを受けつつ、
自動車でなくEVバイクをビジネスにすることを選んだ。

国内バイクメーカーによる先行商品もあったが、内燃機関のバイク
に比べEVは部品点数が少なく、先進的なコア技術も要さないことか
ら、後発でも十分に勝算があると捉えた。既存の商品と食い合いに
なりかねないリスクがあるため、大企業の本格参入はない、との読
みもあり、それが的を射た結果となった。

知名度不足をカバーして販売を確保する手段として低価格戦略を選
び、その戦略を実行するために、企画・開発は国内で行うが生産は
中国企業に委託する国際水平分業体制とした。先行する大企業製品
に対抗していくため、デザインに安物感は持たせない。購入者に安
心感を与えるため、全国的なメンテナンス体制を創業初期から整備
した。

お話を伺った広報担当の大橋さんによれば、購買層についてはさす
がに読み通りにはいかなかったという。環境意識が高く新しいもの
に関心が高い都市住民や、騒音に気を遣う住宅地の業務需要を想定
していたが、集合住宅の駐輪場にはコンセントがない、数十kgを運
ぶ新聞配達にはパワー不足との問題もあって都市部の販売は伸び悩
んだ。一方、都市部に比べ燃料価格が高かったり、ガソリンスタン
ドの廃業が進み燃料が調達しづらくなった地方での販売は予想以上
に伸びた。最近は6割が地方販売だという。

広大な工場の敷地内移動用にと、複数台をまとめて購入した法人顧
客もあった。購入企業の担当者によれば、単に移動の利便性だけで
なく、CSRの観点からもEVバイクを購入する意味があるとのことで、
事前には全く見通せなかった需要だったと大橋さんは笑う。

日本での活躍著しい同社だが、経営戦略において、保有台数30万台
の日本はメイン・マーケットではない。最大の狙いは、5,000万台
以上のEVバイクを保有する、中国からインドにかけてのアジア諸国
にある。先行他社の状況など各国の市場を調査した上で、ベトナム
及びフィリピンへの進出を決め、年内には製造ラインが動き出す予
定である。

各国の経済水準を考え、日本で成功した低価格商品を持ち込むかと
思いきや、最初の商品として市場投入するのは、より高級な新製品
だという。高価格EVバイクのマーケットは、ベトナム等にも確実に
存在するが、パイとしては低価格帯の製品の方が当然大きい。それ
でもあえて高級路線から入るのは、低価格ブランドとして認知され
てしまうとアッパー・マーケットへの進出は難しくなるが、高価格
ブランドが市場投入する廉価品は、むしろ受け入れられるという読
みがあるためだ。

過去の日本人の努力の結果として、アジアの多くの国では「日本製
品」というだけで高いブランド力を持つので、それを存分に生かし
たビジネス展開を図るのだという。

件の新製品は、間もなく発表される見込みである。斬新なデザイン
や品質的な高級さだけでなく、アジア諸国でも急速に普及が進んで
いるスマホと連動させられる、業界初の機能も持たせている。

国内市場を忘れているわけではない。上記の新製品のほか、最大積
載量は80kgにも及ぶとされる、新聞配達業務にも耐えられる高出力
モデルも準備を進めている。

考え抜いた経営戦略で新たなマーケットを切り開いていくTerra Motors。
静かさが売りの製品とは逆に、今後もいい意味で経済社会を騒がせ
てくれるに違いない。

<取材協力> Terra Motors株式会社 事業開発グループ 大橋 哲也

■バックナンバー
http://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/innovation_policy/mmagazine.htm

■PCからの配信登録
https://wwws.meti.go.jp/honsho/policy/innovation_policy/merumaga/index.html

■携帯からの配信登録
https://wwws.meti.go.jp/honsho/policy/innovation_policy/merumaga/k_index.html

■PCからの配信中止
https://wwws.meti.go.jp/honsho/policy/innovation_policy/merumaga/kaiyaku.html

■携帯からの配信中止
https://wwws.meti.go.jp/honsho/policy/innovation_policy/merumaga/k_kaiyaku.html

■記事へのご意見
innovation-policy@meti.go.jp

発行:経済産業省産業技術環境局産業技術政策課 担当/執筆:島津、小金澤、木村
〒100-8901東京都千代田区霞が関1-3-1
電話:03-3501-1511(代表)

問い合わせ先

本ぺージに対するご意見、ご質問は、産業技術環境局 産業技術政策課
電話 03-3501-1773 FAX 03-3501-7908 までお寄せ下さい。

 
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.