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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

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◆技術のおもて側、生活のうら側  2014年6月26日 第72号

こんにちは。ご愛読いただき、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じていただければ幸いです。

◆遊びの中から飛び出す次世代人材

玩具の「レゴブロック」を知らないという方は、おそらく少数派だ
ろう。だが、教材向けの製品群をレゴ社が用意していることは御存
じだろうか。

レゴブロックの教育効果に着目し、授業で活用する教師が見られる
ようになったことなどを踏まえ、レゴ社では1980年に教育製品部門
を設置。米マサチューセッツ工科大学との協力活動を開始した1989
年前後から、コンピュータのプログラミングを教育玩具に取り込む
ようになり、1998年には、ユーザーがプログラムを打ち込むことに
より様々な動きを制御できるロボット玩具を発売した。

2013年に発売された第三世代機では、iOS・Android対応など最新の
ICT環境に対応できるスペックを備えるだけでなく、初号機に比べ
多数のセンサーを装備するなど性能の向上が図られ、多様なプログ
ラミングと様々な動作の制御を可能にしている。

ロボットを制御するためのプログラムは、キーボードでC言語を打
ち込むのではなく、アイコンをドラッグ&ドロップすることで、ま
るでレゴブロックを積み上げるようにプログラムを組み立てられる
ため、初心者でも取り組みやすい。

プログラミングを記号化したことにより、プログラムの組み立てか
ら設計変更(アイコンの追加)、動作確認といった一連の工程に迅
速に取り組めるようになり、授業という限られた時間の中で学習を
完結させやすくなった。

ロボットの動作は、ライン上を正確にトレースしたり、センサーを
駆使して色の違いや障害物の存在を捉え、曲がったり止まったりす
る動きが中心。ロボットの形状を工夫すれば、物をつかんだり運ん
だりもできる。

具体的な動作を想定してプログラムを構築(=アイコンの組合せ)
し、実際に動かしてみた結果、想定どおりの動きではなかったり、
もっと速く、もっと正確に動かしたいと考えたりすれば、なぜ想定
どおりにならなかったのかを検証し、その結果を踏まえ改善したプ
ログラムで再挑戦することになる。ロボット遊びを繰り返すことに
より、理工系の知識のみならず、PDCAサイクルで物事を考え実行す
る手順が自然と身についていく。

レゴジャパンの江口マネージャーにお伺いしたところ、初号機発売
から現在までに、学校や科学館など国内約6,000の教育機関がこの
ロボットを活用しており、世界に目を向ければ、60か国・5万の教育
機関で実績があり、最近は特に東南アジアやロシア、中東での需要
が伸びているという。

日本の場合、中心的なユーザーは工業高校・高専・大学工学部とい
う専門教育分野であるが、海外では逆に、初等教育である小中学校
が主流。また、小中学校の導入実績をみると、日本では私立学校が
多くを占めるのに対し、上述の需要が伸びている諸外国では、国や
地方公共団体が積極的に公立教育機関への導入を推進している。

国内における行政主体の取組としては、福井市や山口市で積極的な
活用が進んでいるほか、大阪市阿倍野区では、大阪教育大学の協力
も得て、小中学校における実験的な教育の取組が始まっている。

このロボット玩具は、簡易なプログラミングなど利用し始める上で
の敷居が低い一方、創意工夫により多様で絶妙な制御を実現できる
深さもある。このような特性を活かせる世界的なロボコンが、教育
現場やレゴ社の枠を超えて開催を重ねており、日本の小中高校生も
幾度か世界大会で上位入賞を果たしている。

これらロボコンの会場での公用語は英語で、競技場面では通訳も保
護者も同伴できない。参加者は英語でコミュニケーションする必要
があり、時には審判のジャッジの間違いを指摘して修正したり、交
渉を要したりすることも必要になる。特定のテーマに対する発表の
得点が加算される大会もあり、その場で児童・生徒は、当然英語で
プレゼンをしなければならない。

大会への参加は、理工系のスキルアップのみならず、物事を論理的
に組み立てる思考力、生きた英語によるプレゼン・コミュニケーシ
ョン・交渉能力をも育てる機会になる。

日本では、東京オリンピック開催に併せ、様々な国際イベントを招
致しようという気運が高まっている。その一つとして、これらロボ
コンを誘致し、我が国の未来を背負う子どもたちが飛躍できるステ
ージを用意するのも一案であろう。

<取材協力>
レゴジャパン株式会社
セールス&マーケティングマネージャー 江口 敬介

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