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植物素材が創る新しい価値と絆
産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側
◆技術のおもて側、生活のうら側 2014年10月30日 第76号
こんにちは。ご愛読いただき、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じていただければ幸いです。
◆植物素材が創る新しい価値と絆
一般に我が国の中小企業は、より規模の大きな企業の下請・孫請に
組み込まれ、そこで収益を得ていることが多い。人材の限界もあっ
て、高い技術力を有していても、収益性の高い独自商品を持つこと
は容易ではない。
本号で紹介する株式会社ユニオン産業は、顧客のオーダーに応じた
プラスチック製品の加工販売を主要業務としつつ、15年ほど前から、
植物系バイオマスを配合したプラスチック素材/製品を自社開発し、
新たな業務の柱に据えた展開を図っている。
多いものになると、植物系材料が重量比で半分近くを占めるため、
全量が化石燃料由来のプラスチックに比べ、焼却時の二酸化炭素発
生量は当然低い。燃焼カロリーも低いため発熱量は木材と同程度で、
炉を傷めることもない。
環境関連商品が溢れている現状をみると、単に「環境にやさしい」
だけでは商品力が乏しいが、このプラスチックには、明確な抗菌性
という、もう一つの特徴が備わっている。
同社森川代表取締役は、「開発したのは15年ほど前ですが、外食産
業での不幸な事故が大きく報道されたためか、この2、3年で引き
合いも一気に増えました。」と語る。
最初に配合を手がけたのは、川崎市内でも管理が問題になっている
「竹」だったが、15年の間に、多種多様な植物系バイオマスを配合
したプラスチックを次々と試作した。検査は公的検査機関に依頼し、
そのほとんどで抗菌性が確認されているという。
竹やヒノキには、以前から抗菌性があることが知られているが、
「ほとんどの植物素材で」と言われると納得できないところもある。
その点を確かめると、実は特許の審査書類にも記載しなかった、製
造上の秘密があるという。さすがに教えてはいただけなかったが、
この点が抗菌性発揮の肝だという。
新商品は全て森川社長の発明だが、そもそも、どのような視点から
「植物を混ぜよう」という発想が生まれたのか。
森川社長は、若い頃からの発明好きで、プラスチック加工成形を受
注する傍ら、オリジナル製品を少しずつ試作しては、各所に売り込
みを行うことに熱心だった。それがやがて海外に及び、カナダ企業
に営業をかけた際、逆に「我が社の商品を日本で売れないか。」と
提案され、カナダの企業と日本とをつなぐ商社的な仕事を手がける
ことになった。
そうして関わったカナダ製品の中に、トウモロコシを原料とする生
分解性プラスチックがあった。森川社長も関心を持ち、ユニオン産
業でも取り扱ったが、素材も製品も時間の経過とともに分解が進む
ため在庫として保有することが難しく、管理しやすく環境にもやさ
しいプラスチックができないものかと考え、植物素材を配合する発
想につながった。
対環境性能の発想から植物系素材の配合に取り組んだわけだが、抗
菌性が確認されたことでビジネスの可能性が拡大した。医療機関向
けの食品容器やランチボックスに敷くプレートなどプラスチック製
品としての展開に加え、流通時に農産物の鮮度低下を抑制する観点
から、流通容器に敷く薄膜や段ボール内側への塗布といった応用も
進んでいる。
段ボール塗布の実現には、竹をミクロンレベルの粉体まで破砕する
技術が必要であったが、阿南工業高等専門学校 地域連携・テクノ
センター(徳島県)と微粉砕機を共同開発し、実用化を果たしてい
る。
現在、森川社長が目指しているのは、自社の技術を活用し、地域活
性化に貢献すること。地元・川崎市とは日頃から協力し合う関係に
あるが、技術がマスコミに取り上げられるようになって以降、日本
各地から、地域の資源を活用できないかとの問合せが続々寄せられ
ている。
森川社長が特に力を注いでいるのが、防虫効果があると目されてい
る沖縄の植物「月桃」の活用。県や現地企業と共同し、古窯を営む
芸術家のデザインを取り入れた器の試作も進め、製造業が乏しい沖
縄の経済に貢献できれば、と夢を膨らませている。
<取材協力> 株式会社ユニオン産業 代表取締役 森川 真彦
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