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産業技術メールマガジン/技術のおもて側、生活のうら側 第15号
◆技術のおもて側、生活のうら側 2009年8月27日 第15号
こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。
◆木づくりの車
エコ製品の普及が目覚ましい。地球環境に配慮した製品を見るにつ
け、世の中の進歩と意識の高まりというものを感じる。
軽くて、丈夫で、いろいろな形状に変えられる便利な素材として日
常生活のあらゆる場面で登場をするプラスチック。これまではほと
んどが石油から作られてきたが、近年、植物原料から作られたバイ
オマスプラスチックというものもよく耳にするようになってきた。
今回、杉の間伐材を主原料にしたバイオプラスチック製の自動車部
品が開発・製品化されたと聞き、三菱自動車工業さんを訪れた。
このバイオプラスチックは、石油原料から作られていた従来製品と
比較すると、CO2排出量の削減効果が期待できるとのこと。カー
ボンニュートラル。バイオプラスチックのエコたる所以だ。また、
食品向けではない非可食植物である木材を使い、食料と競合しない
という点も大きな特徴だ。
この技術の要諦は2つ。第1に、木材を液化する技術。木材にはリ
グニンと呼ばれる固有の成分が大量に含まれているが、これは非常
に複雑かつ巨大な分子で出来ている。液化するためには、このリグ
ニンを低分子化し、さらに均一化するための効率的な技術の開発が
求められ、結局、膨大な未利用資源となっていたのだ。
そこに、白石信夫京都大学名誉教授が、酸性触媒存在下において高
温で木材粉末にフェノールを反応させ、木材を液状樹脂に変換する
技術を開発。有望なシーズとして、三菱自動車に提案される。使い
道が限られる間伐材や廃材が、資源という宝に生まれ変わるかもし
れない。同社の目指す「環境に配慮した技術開発」と方向性が一致
した。
様々な関連企業と共同しながら、この技術シーズの製品化に着手。
この実用化部分が第2の関門だ。商品化に立ちはだかる様々な技術
課題(耐久性・耐衝撃性の改良、成型性の確保など)を2年半かけ
て克服。従来のプラスチック製品に劣らない性能を有した熱硬化性
樹脂材料を完成させる。
耐熱性・難燃性などの自動車部品の高い要求水準をクリアし、灰皿
やエンジンルーム内の耐熱性樹脂部品(オイルフィラキャップ、イ
ンシュレーター等)の実用化製品や試作品が生み出された。
開発担当者の想いとして、将来的には、車に使われている石油原料
由来のプラスチック製内装部品を全て植物由来の樹脂製品やリサイ
クル材に置き換えていきたいとのこと。全て植物由来!
ガソリンだって、バイオエタノールやバイオディーゼルが登場して
いるのだ。内装部品だけでなく、全ての車部品が植物由来のものに
置き換わる可能性だってあるのではないか。
ご対応いただいた前城氏は、いたって冷静だ。「車の外装、骨格、
エンジン本体といった部分については、内装部品以上に強度・耐久
性・安全性などの面で高いハードルがありますので、そこまではど
うなのでしょうか。」
残念。けれども、いつか夢ではなくなる日もくるのかもしれない。
「私の車は100%、裏の山で穫れた材料で出来ているのです。」
きっと森の香りが漂う、究極の緑の車が走る日が!
<取材協力> 三菱自動車工業株式会社広報部 前城正一郎氏
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発行:経済産業省産業技術政策課 担当/執筆:森澤、仲
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