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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

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◆技術のおもて側、生活のうら側  2008年08月28日 第3号

こんにちは。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。

今回は、みなさんも毎日必ず目にしている“携帯の文字”について
株式会社リムコーポレーションの間淵副社長にお話を伺いました。
同氏の趣味の一つはサーフィン。次にくる波を予想してつかむ。そ
のまんま経営に活かされているように感じました。

◆フォントエンジンで老後も安心

文字の力は偉大だと思う。想いを伝えることはもちろん、文字のデ
ザインで時代を感じることだってできる。

携帯電話を持つ前は、手紙で季節ごとに便せんや切手を変えたりし
て楽しんでいたが、最近はすっかり電子メールに依存している。そ
の情報の早さと手軽さを武器に、日常の情報伝達手段として確固た
る地位を確立した携帯電話。小さな画面に表示された、小さな文字
が、情報の伝達士だ。

同じ「文字」であっても携帯電話の文字と紙上の文字とでは使われ
方が相当異なる。携帯電話の文字は画面で読むだけで印刷されるこ
とはない。そこで、美しい文字を追求することより、いかに読みや
すくするか、情報が正しく、早く伝わるか。ここに焦点が絞られ、
携帯電話の進化と並行して、文字も人知れず進化してきた。

第2世代。携帯電話はデジタル化され、液晶ディスプレイが搭載さ
れ始めた頃。解像度が低かったため、漢字を表現するのが難しかっ
た。ミニチュアサイズの碁盤に碁石を並べて漢字を表現するような
ものだ。画数が多い漢字は黒い固まりにしかならない。ここで生ま
れたのが「線を間引いた漢字」。なんてだいたんな発想なんだろう。
漢字の試験だったらまちがいなく赤点だ。人間の感性で線を間引く
のではなく、人間の感性を元にプログラミングされたソフトウエア
で線を間引くことによって、文字の統一感を確保しているのが特徴。

第3世代。液晶の解像度も高くなった。大きな碁盤に、碁石ではな
くペンで文字を描けるようになった。文字のデザインをソフトウエ
アというペンで描く。絵を描くように。組み込まれた小さなフォン
トエンジンによって、文字の大きさも自由に変えられるようになっ
た。

ここで核となっているのは、文字のデザインとそれを表現するため
のフォントエンジンだ。

携帯電話という特殊な環境の中でいかに見やすく、疲れず、情報が
的確に伝わるか。そんなユーザーへの心遣いたっぷりなデザインは、
人が目で見てどのように見えるか、目で見てどう頭で思うか、とい
うような認知科学の理論を駆使して開発されている。高齢者視覚ス
トレスにも配慮された万人にやさしいデザインだ。

そして小さなフォントエンジン。日本語の形に線を描くソフトだ。
平面上の、点と点の間を直線で結んだり曲線で結んだり。各ポイン
ト間の距離を計算したりする。モバイルという特性を考慮し、CP
Uに負担がかからないよう、コンパクトで、容量は軽く、早さも求
められる。文字のデータサイズを抑えながら、世代に合った文字サ
イズを自由に選択できるつわものだ。

そういえば母の携帯を使った時にはびっくりした。異様にデッカイ
文字が表示されているのだ。しかもくっきり綺麗な文字で表示され
ている。

この小さなフォントエンジンは2004年のベンチャーフェアで発
表され、第3世代という波をつかんだ。波につっこんでいく勇気と
タイミング。「マイクロソフトウエア業界でのリーダーシップをと
る」という社名に込められた強固な意志を感じる。

そして携帯電話の文字はさらに進化する。書体も商品のデザインの
一つととらえたサービスがはじまり、好みの書体に替えられるよう
になった。ユーザー側にまた新しい選択権が生まれたのだ。フォン
トエンジンと、書体のデータが別々にあるから可能なのだそう。実
際に替えてみると驚くほど印象がかわる。

手元の携帯電話の文字をさっそくいじってみる。自分の好みの書体
で、小さくしても大きくしてもとても綺麗だ。これなら満員電車で
後ろから覗きこまれる心配もないし、老後だって心配がない。ます
ます電子メールに依存してしまいそうだ。

<取材協力> 株式会社リムコーポレーション 間淵雅宏氏

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