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産業技術メールマガジン/技術のおもて側、生活のうら側 第27号
◆技術のおもて側、生活のうら側 2010年8月26日 第27号
こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。
◆羽根のない扇風機
「吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機」。このフレーズを聞
いて会社名が浮かばない人は少ないだろう。
そのダイソンが今までにない扇風機を発売したので、日本本社のあ
る千代田区麹町にお邪魔した。
エアマルチプライアーという新製品は、一言で言うと羽根のない扇
風機なのだが、これを見て、扇風機だとわかる人が何人いるのだろ
う?
通常、羽根があるはずの中心部は、ぽっかりと空間が空いており、
枠のみが存在している印象だ。しかし、スイッチを入れた瞬間、そ
の何もない空間からこちらに向かって風が吹いてくる。まるで手品
のようだ。
そして、風を受けていてふと気付くのは、風の心地良さだ。見た目
のインパクトもさることながら、質の良い風を作り出していること
に更に驚かされた。
羽根の回転により風を送るという構造を根本的に変えたことで、風
ムラがなくなり、スムーズな風が提供できるようになった。また、
独自の技術により、本体下部の吸気口から吸い込まれた空気の実に
15倍もの風量が生み出される。
きっかけは、空気の流れを研究していた中で気流が増幅するという
現象に着目したことによる。そしてこの独特の形状が、円形気流を
生み出し、周囲の空気を巻き込むことによって、吸い込んだ空気よ
り大量の風量を生み出すことを可能にした。
デザインエンジニアであるジェームズ・ダイソンが、1993年に
わずか10人程で立ち上げた会社は、現在では、ヨーロッパ主要国、
アメリカ、カナダ、オーストリア等の国々で、掃除機シェア1位を
誇る企業となった。
ダイソンのものづくりは、掃除機を見ればわかるように、機能が製
品の形状にあらわれている。また、根本的な技術の改善を伴わない
目先の変更では、新製品は発売しないというポリシーを持っている。
その姿は、老舗ののれんを守って生き続ける職人の背中に重なって
いるような気がした。事実、彼は日本のものづくりに深い敬意を払
っているという。
そんな彼と日本との関係は実は深い。会社を立ち上げる前の話だが、
サイクロン掃除機のアイデアを各国の人々に提案した際に、唯一そ
れをとりあげ、製品化にこぎ着けたのは、ある日本の会社だった。
この出会いがなければ、今頃はこの扇風機もなかったかもしれない。
今でもイギリス本社では、彼がチーフエンジニアを務め、開発部門
のトップとして製品開発に携わっている。設立当初から変わらない
物作りの理念が、生き続けているのである。
ダイソンが、次の新製品を発表する日はいつになるかわからないが、
次もきっと、私達の想像も及ばないユニークな製品がお目見えする
ことは間違いないであろう。扇風機で世間をあっと言わせたダイソ
ンが次は何を作ってくれるのか楽しみである。
<取材協力> ダイソン株式会社
神山典子PRマネージャー、石原恵梨PRエグゼクティブ
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発行:経済産業省産業技術政策課 担当/執筆:白井、金子
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