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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

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◆技術のおもて側、生活のうら側  2008年06月26日創刊号

こんにちは。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。

今回はこれからの季節に大活躍をする洗濯機のお話です。

◆おばあさんは山でも洗濯を。

私は山暮らしなので週末毎に土だらけの洗濯物を大量生産している。
そんな我が家ではつい最近まで二層式洗濯機が活躍していた。動か
なくなるまで使うつもりだったが、持ち主に似たのか、酷使にも動
じず、ガオンガオンと大きな音で元気に働く。諦めてついに買い換
えを強行した。狙ったのはもちろん最新のドラム式洗濯乾燥機だ。
目標は高く。現実は分相応なところに落ち着いたのだけれど。

ちょっと悔しい気持ちも抱えながら、洗濯機の最先端技術がどこま
で進んでいるのかを取材をしに行った。お邪魔した先は三洋電機さ
ん。内藤さんと石川さんにお話を伺った。

洗濯機は“成熟家電”であるそうだ。「汚れ落ち」はもちろん、
「節水」、「省電力」、「省洗剤」、「乾燥まで一台でこなす」、
いろいろなニーズに応えて技術は相当進歩してきた。ダイナミック
な技術革新というのはなかなか難しい分野でもあるようだ。

そうした中で、今回紹介頂いた最新機種には革新的技術が二つある。
一つはオゾンを使った新しい洗い方。もう一つが水の循環(再)利
用だ。

オゾンとは何だろう。オゾンで洗うって?

オゾン(O3)は3個の酸素原子からできている。洗濯機の中には
オゾン発生装置が組み込まれていて、これは大気中の酸素を取入れ
電気の力でオゾンを生成するもの。雷が落ちたときにもオゾンが発
生するらしいが、原理は同じだ。この3個の酸素原子からなるオゾ
ン(O3)はとても不安定で1個の酸素原子を放出して酸素(O2)
に戻ろうとする性質がある。放出された1個の酸素原子が汚れの元
となる有機物等とくっつくことによって除菌や消臭の効果があるこ
とは以前から知られ、水道水の浄化やカット野菜の洗浄等にも利用
されてきた。さらに今回はこのオゾンを洗濯物の汚れ(有機物)の
分解にも活用することを追求した。オゾンの通り過ぎたあとには、
酸素(O2)だけが残るというわけだ。

このオゾンを利用して、水を使わず、靴や枕などを除菌、消臭でき
るほか、すすぎ水にオゾンを加えて洗浄力のアップを図ることを可
能にした(すすぎ時にオゾンを利用することによって残った汚れは
もちろん、残った洗剤成分も分解される。なぜ洗濯時に使わないの
か? 使うと洗剤も分解してしまうからだ。)。そしてここで使う
水は、お風呂の残り湯。大切な水資源として、キレイに浄化して洗
濯からすすぎまでお風呂のお湯を再利用する、アクアループ機能と
いう水のリサイクル技術。

このオゾンは水に入れると気体だから泡になる。大きい泡だとあっ
という間に浮上してしまって、汚れとくっつく暇がない。そこでマ
イクロバブルという非常に細かい気泡にすることによって水中での
滞在時間を延ばす。ちなみにこのマイクロバブル技術は(独)産業
技術総合研究所と共同開発されている。

こんな技術が生まれたその背景もぜひ紹介したい。

水は人類共有の貴重な資源。次の世代にきれいな水を残したい。そ
のために目指すべきは、水の循環型社会の実現だ。家庭の中だけを
考えても、炊事、トイレ、洗濯。これらを上手に使いまわすことに
よって節水できるのでは。家庭内での水循環、という発想だ。限り
ある水資源を大切にしたいという精神が、ここある。家庭でできる
循環利用は、太陽光発電やゴミコンポストだけではないということ
だ。

製品化した時の気持ちを伺うと、「やっとか」だそうだ。「やった
~」ではないのか。家庭用洗濯機で初めてオゾンを使い、水のリサ
イクル技術も取り入れた。オゾンってどういうものなのか、知識、
ノウハウの蓄積、オゾン技術の構築。耐久性、濃度、効果、状態、
全てゼロから各分野の専門家に相談しながら蓄積していった。プ
レッシャーとも戦い、尋常じゃない苦労だった、と振り返る。独創
と最先端の世界に立つ開発者の生みの苦しみを実感する声というこ
とだろうか。

ふだん当たり前のように使っている家電製品も、こうした智恵と努
力の上で私たちは様々な新技術の恩恵を受けている。

我が家のおばあさん(母だが)は今日も元気に山で洗濯を。 

<取材協力>三洋アクア株式会社ランドリー販売企画部内藤正浩氏、
三洋電機株式会社コーポレートコミュニケーション本部石川ひとみ氏

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