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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

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◆技術のおもて側、生活のうら側  2009年1月29日 第8号

こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。

このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。

今回は、株式会社バルダンの後藤氏にお話を伺いました。

◆「あたりまえ」という幻想

わたしの上司は千葉ロッテマリーンズのファン。奥さんはタイガー
スファン。お子さんは西武ファンと、ソフトバンクのファンだ。上
司の野球帽には当然「M」と刺繍がしてある。奥さんのユニフォー
ムはすごいらしい。どれだけすごいのかはご自由に想像して下さい。

昔、刺繍はとても高価なものだったそうだ。これを身近なものにし
た仕掛け人は、日本・一宮市の縫製メーカー。

「多頭式ミシン」という、4つのヘッド(針部分)が同時に動く刺
繍ミシンを日本で初めて作ったのが約50年前。それまでと同じ工
程で4倍の成果があがるようになった。

当時多頭式ミシンは海外製のものしかなかったのだが、これを米国
から取り寄せ、2年半かけて複製。ちなみに普通の刺繍ミシンは
「一頭式ミシン」といって日本にもあった。

さらに。針が3本になった。

つまり、3色の糸をはじめからセットできるので、糸を付け替える
手間がなくなったということ。どのくらいすごいかというと、糸を
手動で付け替えるためには、一度ミシンを止めなくてはならない。
ミシンが動いている時間が1分なのに対して、ミシンを止めて糸を
交換するのにかかった時間は10分。

この作業は当時「あたりまえ」だったので、誰も大変だとは思わな
かったのだ。だから刺繍はとても手間がかかる、高価なものだった。

この「自動色替え」によって、模倣からはじまった国産刺繍ミシン
は、一気に世界へと躍り出る。

発案者は刺繍ミシンを作る機械メーカーではなく、ユーザー側の縫
製メーカー。ユーザー側の視点からこの自動色替えの「発想」は生
まれた。そして今、この元縫製メーカー、バルダンが作る刺繍ミシ
ンは、世界にある刺繍ミシンのおよそ三分の一を占める。柔軟な発
想とそれを支える技術力。日本の中小企業の力強さを改めて感じま
した。

以来、ユーザーのニーズを製品の形にするため、常にお客様の声に
耳を傾け続け、日本の刺繍技術は、進化しながら、刺繍ミシンを通
じて世界に発信されている。

こうして、輝くスパンコールの刺繍や、まるで絵画のような刺繍、
そして「虎」の文字刺繍。

わたしたちの日常生活を美しく華麗に彩っている。 

<取材協力> 株式会社バルダン 営業支援部 後藤龍太郎氏

■公募のお知らせ
経済産業省は、独立行政法人産業技術総合研究所を通じて、博士号
取得者(ポスドク)をはじめとする若年研究人材に対して、正規就
業を促進する取組を実施します。
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