産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側
◆技術のおもて側、生活のうら側 2010年11月25日 第30号
私こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。
◆微細な動きもしっかり計測
私達は1日にどの位のカロリーを消費しているのだろう?
仕事や家事といった日常生活はもちろん、眠っている時でも少しず
つ消費されている。これを手軽に知ることが出来れば便利なのだが、
年齢、性別、身長・体重といった体の組成によっても異なる消費カ
ロリーを知ることは簡単ではなかった。
そもそも、この値を正確に計測するためには、ヒューマンカロリー
メーターと呼ばれる大がかりな呼気分析装置が必要となる。この装
置は、内部が密閉された1つの部屋となっており、この中で24時
間生活することで計測出来るのだが、国内に5台しか存在せず、気
軽に利用できるものではない。
誰でも簡単に消費カロリーを知ることが出来るよう、名刺の約1/3
の大きさで25gにも満たない活動量計を開発した会社がある。健
康計測機器メーカーである株式会社タニタである。
この機械は、まず初期設定で年齢、性別、身長、体重、体脂肪を入
力することで、使用者の生命活動を維持するのに必要なエネルギー
量を計測してくれる。これに加え、その人の生活によって日々変わ
る身体の動きを計測し、運動量に応じた消費カロリーに加え、歩行
距離や脂肪燃焼量等も教えてくれる優れものだ。
同社は、携帯電話等にも使われている3D加速度センサーの応用方
法を考えていた際に、これを人体の動きの計測に使えないかと考え、
2006年から研究を開始した。筑波大学にあるヒューマンカロリー
メーターを用いた実験により、センサ-の動きと人体の活動量に相
関関係があることを発見したのだが、ここからが大変だったという。
センサーで計測した動きと消費カロリーの相関関係を独自のアルゴ
リズムにするため、半年間をかけて収集したデータの解析を行い、
作成したアルゴリズムの精度を高めるべく何度も検証・修正を重ね、
完成までに4年の歳月を費やした。
その甲斐あって、このアルゴリズムで計測した消費カロリーを
ヒューマンカロリーメーターでの計測値と比較すると、非常に高い
相関関係にあることがわかる。
こうして完成した活動量計は、胸ポケットに入れておくだけで、内
蔵されている3D加速度センサーが計測し、解析した上で画面に表
示してくれる。ユーザーからは、1日の活動リズムがわかることで、
運動や摂取カロリーを意識するようになり、自然にやせたという声
が多く寄せられるようだ。
しかし、バスケやサッカーといった激しい運動時、バイク・自転車
乗車時や重い荷物を持っての歩行等といった体に負荷がかかる動き
等については、改善すべき点がまだまだあるらしい。今後は、更な
るデータ収集を行い、計測方法の見直し等も含め正確に計測できる
範囲を広げていくそうだ。
「使用される方は、表示された活動量が正しいかを確認することが
出来ません。だからこそ、精度にはこだわっているんです。当社で
は、精度が高くないと製品化へのオッケーは出ません。」と少し誇
らしげに話す商品・販売企画課の加藤さんの言葉は、製品への信頼
を何よりも高めてくれたのだった。
<取材協力> 株式会社タニタ ヘルスケア事業部商品・販売企画課
加藤 純、広報室 横田 洋子
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