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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

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◆技術のおもて側、生活のうら側  2011年5月26日 第35号

こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。

◆暮らしの中の宇宙の技術

この夏のキーワードは何と言っても節電だろう。東日本を中心に電
力不足が心配され、暑い夏を少しでも快適に過ごすための様々な商
品が世間をにぎわしている。そんな中、屋根、外壁、内壁等に塗る
だけで、室内の温度上昇を押さえる断熱効果の高い塗料があるそう
だ。

開発者である株式会社日進産業の石子代表取締役にお話をうかがっ
たところ、この塗料の効果はこれだけではなく、防音、消臭効果に
加え、冬場には断熱効果で暖房効率も上昇するという。

同社は、元々、工場の製造ラインの設計・製造等を行っていたが、
今から23年前、納品先から倉庫の断熱処理を依頼されたことから、
塗料による断熱処理を手がけることとなった。18年前には、断熱
効果のあるセラミック塗料を製品化し、販売を始めたが、当時の製
品は、現在のものとは技術的には大きな差があったという。

転機は、今から6年前の話になる。独立行政法人宇宙航空研究開発
機構(JAXA)が、ロケット打ち上げ時の熱から機体を守るため
に開発した高性能断熱素材を、民生用として広く活用してもらうた
めの事業者を募集した際に、同社が手を挙げたのだった。

石子氏は、大手企業からの応募も多数あり、正直言って、こんな中
小企業が手を挙げても無理だろうと思っていたと言う。ところが、
製品への展開が大きく期待される点に加えて、長年培ってきた断熱
塗料に関する知識と経験が認められ、並みいる候補者の中から見事
に選ばれたのだ。

その後、JAXAのアドバイスを受け、断熱素材を塗料に応用させ
るべく研究開発を行ったところ、特殊なセラミックを非常に細かい
ビーズ状にして塗料の中に大量に含ませることに成功したそうだ。
これを塗装して乾燥させると、わずか1mmにも満たない塗膜の中
でセラミックが多重の層を形成する。これにより、既存製品に比べ
て、断熱性はもとより様々な機能性も20%程度UPしたのだった。

夏には、日差しを反射させ、建物内への熱の侵入を抑えるだけでな
く、塗装面から熱エネルギーを遠赤外線に変換して逃がす。逆に冬
には、塗装した壁面の温度が室内の温度と近くなることで暖気が外
部に逃げていくのを抑え、結露を防ぐ効果も高い。これらにより、
年間を通じ2割強の省エネルギー効果が実証されている。

また、音を多方向に反射させ、侵入してきた音の振動を軽減するこ
とで防音効果があるだけでなく、空気中の水分に遠赤外線が作用し
てマイナスに帯電させることで、プラスに帯電したタバコの煙等の
匂いを抑えることも出来るのだ。

石子氏は「こういった製品は、使用していく中で、問題が発生する
こともありますが、長く使用していただいて初めて良さが分かるも
のでもあります。ですので、ずっと同じ方に使用していただける一
般住宅にこそ、この製品を使用していただきたい。それが、製品に
対する当社の自信であり、誇りなんです。実際、販売量の約7割が
戸建住宅の塗装に使用されているんです。」と胸を張って話してく
れた。

宇宙に行くために開発された技術は、同社の手を経て、私達が地球
上で快適に過ごすための塗料へと姿を変えた。そして、この塗料が
各家庭のエネルギー使用量を無理せず抑え、人間だけでなく地球に
も快適な未来を作ってくれると期待を寄せている。

<取材協力> 株式会社日進産業代表取締役 石子 達次郎
             営業統括部業務グループ長 河崎 義之

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発行:経済産業省産業技術政策課 担当/執筆:白井、金子
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