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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側
◆技術のおもて側、生活のうら側 2011年2月24日 第33号
こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。
◆THIS IS JAPANESE FOOD.
「朝食は食べますか?」「パン派ですかご飯派ですか?」というのは、
一般的に良く耳にする質問だが、今後、そういった質問の回答に悩
む人が増えるかもしれない。
画期的なアイデアで発売前から注目を集めていた、お米からパンを
作るライスブレッドクッカー「GOPAN」について、開発を指揮してい
た三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社の滝口副統括部
長に話をお聞きした。
同社では、お米の消費拡大により日本の食料自給率をアップさせた
いという思いから、2003年に業界初となる米粉パンが作れるホーム
ベーカリーを販売したそうだ。この際、原材料となる米粉の販売も
行ったが、大規模店舗以外では宅配となるため、必要な時にすぐに
入手出来るようにして欲しいという消費者からの要望が多かった。
そもそも原材料となる米粉は、通常、店頭に並んでいないため購入
が難しい上、小麦粉に比べて値段が高いという悩みもあった。そこ
で、街の商店街やスーパー等で購入でき、普段から家に常備されて
いるお米を材料にしてパンを作れるような機器を開発しなければと
いう思いが強くなり、2005年から本格的に開発が始まった。
まずは、効率的にお米を粉にする技術の開発だったが、これが、製
品化を阻む一番の難題となった。生のお米は思いの外堅く、しかも
パンに使用する米粉はかなり細かくする必要があったため、粉砕に
必要な刃を特注し、臼で挽いたり、ローラーで潰したり等、様々な
方法を日々試し続けた。
滝口副統括部長は「最初はパンの形にもならなかったのが、3年後、
やっと外観上はパンに見えるものが焼けたのです。しかし、食べて
みると口の中でジャリジャリっという音がして...。米を削るのに使
用したセラミックも一緒に削れ、細かい欠片がパンと一緒に焼かれ
ていました。正直、もう手がなく、ギブアップするしかないと思いまし
た。」と当時の苦い体験を話してくれた。
そこで、開発は一時的に中断となったのだが、ある日の会議で、同
じ事業部の炊飯器の担当者から、お米を水に浸け、水分を含んで脆
くなったところで砕くというアイデアが示された。これが現在の製造
方法の元となる「米ペースト製法」だ。炊飯器を担当して数十年、ま
さに米を研究し尽くした人だから思いついた方法だった。このアイデ
アに開発チームは沸き立ち、新しい一歩を踏み出すこととなった。
次は、水に浸けた米を砕く動きと粉をねる動きを一連の流れで行う
ためのモーターや制御装置等の開発が必要だった。そこで、ミキサー
等を担当する事業部の技術的知見を借りるため、資料を準備し、直
接頼みにいったところ、その場で快諾してもらえたそうだ。こうして、
他の事業部をも巻き込みながら進んでいったこの製品開発は、い
つの間にか全社的なプロジェクトとなっていた。
その甲斐もあり、昨年11月の発売以来、当初の予想を遙かに超え
た購入希望により、現在、店頭から姿を消している状況だが、最終
工程の生産ラインを増設し、増産に向けた準備も整いつつあるとの
ことだ。
今回、事業部を超えて連携し、同社で培われてきた技術を集めて融
合することで開発したのは、単なるホームベーカリーではなく、新しい
日本の食文化なのかもしれない。
<取材協力> 三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社副
統括部長 滝口 隆久、
三洋電機株式会社コーポレートコミュニケーション
本部広報部 寺嶋 秀市
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