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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

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◆技術のおもて側、生活のうら側  2009年2月26日 第9号

こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。

このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。

今回は、日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社が展開する
「農業とIT」について伺いました。

◆宇宙ブランドの小麦

7月下旬。十勝平野の北部に位置する士幌町は、小麦の刈り入れ時
期を迎えて黄金色に色づく。日本を代表する小麦の産地だ。

小麦の品質の善し悪しは、小麦を刈り取る「タイミング」に大きく
左右されるという。その「タイミング」は成熟期を迎えてから一週
間程度と極めて短期間だ。さらにその間に雨が降ると商品価値は著
しく低下するという。徹夜で刈り取り作業を行うこともある。

視界一面に広がる小麦畑の、どの畑から刈り取っていくか、その順
番を決めるのに相当な労力と神経を使ってきた。なぜ順番を決める
必要があるのか? 小麦を刈るコンバインはとても大型で高価なの
で、集団で共同利用する。しかし、同じ小麦を同じ地域で育てれば
だいたいが同じスピードで成長するだろう。そう、同じタイミング
で刈り入れ適期がやってくるのだ! その中で、微妙に異なる成熟
度の差から順番を決めなくてはならない。 

広大な畑を見回って、目視や感触で成熟度合いを確かめながら、相
談して決める。小麦の刈り入れ適期は、水分が35%を下回った時点
だが、誰もが納得できる時ばかりとは限らない。最後の畑を刈り取
るまで、一粒の無駄もなく、いいものを収穫したい。

ところで、全米工学アカデミーが選んだ20世紀を代表するイノベー
ションの一つに、「農業の機械化」がある。馬や牛がトラクターに
変わり、最近では工場で野菜を作ることに驚いた記憶も新しいが、
農業の進化はそれだけではなかった。なんと、地上500キロ、つ
まり宇宙規模で行われていたのだ。

今回ご紹介するのは、人工衛星からの衛星画像を使って、小麦畑の
成熟度を解析するシステムだ。GIS(地理情報システム)技術を
応用し、農業現場における様々な情報を地図と関連付けて分かりや
すく管理・活用する。

このシステムは、植物が太陽光の中で赤色領域を吸収し、近赤外領
域を強く反射するという性質と、その成熟度毎に反射率が異なるこ
とを利用している。この2つの領域の反射率を解析することによっ
て、広大な小麦畑は、成熟度ごと、畑ごとに色分けされ、誰の目に
も一目瞭然となる。

赤く表示されている所ほど成熟が進み、青くなるにしたがって成熟
が遅れているという風に、成熟の違いを客観的に視覚的に共有でき
るのだ。これによって順番を決めるための労力とストレスが大きく
削減され、また、適期に収穫することで小麦の乾燥コストも低減、
品質の向上も図られるという。

平成17年から一部の地区で試験的に利用され始めたこのシステム。
毎年少しずつ利用が拡大し、今では十勝地域のほぼ全域で利用され
ている。

こうした画期的な技術革新によって、国産小麦を使ったパンやうど
んがもっと身近になるかもしれない。北海道ブランド小麦だろうか
それとも宇宙ブランド小麦だろうか。がんばれ、日本の小麦!

<取材協力> 日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社 公共
社会システム事業部 西口修氏、山形典子氏、CSR本部 竹橋徹氏

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