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産業技術メールマガジン/技術のおもて側、生活のうら側 第43号
◆技術のおもて側、生活のうら側 2012年1月26日 第43号
こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。
◆プチ自給でエコ自足
来週は立春。暦の上では春が訪れつつあるのだが、まだまだ寒い日
が続いている。散々着込んだ上に、マフラー、手袋、ニット帽と完
全装備で外出しても、時間と共に徐々にやってくる足先の冷えには
お困りの方も多いだろう。
そんな悩みを解決してくれるのは、福岡県久留米市に本社を構え、
今年で創業139年を迎える総合靴・履物メーカーの株式会社ムー
ンスターだ。2006年に社名変更する前の月星化成株式会社とい
う名称を覚えておられる方も少なくはないだろう。
同社技術開発部技術開発課課長の秋満氏に、2011年秋冬向けに
販売を開始した、発熱クッションを搭載した靴について話をうか
がった。
昔から年配の女性を中心に、冬の外出時に足が冷えて辛いという話
は耳にしていたそうだが、良い解決方法は見つかっていなかったら
しい。靴用カイロは販売されていたが、使用者からは、低温火傷の
心配に加えて、使い捨てがもったいないと言われていた。
そこで、振動・収縮により熱を発生する素材を靴に用いれば、歩行
により熱を発生させ足を温めることができるのではと考えたのが開
発のきっかけだったという。
元々、オーディオ機器やモーターなどの吸音、防音、また家屋に使
われている制振材は、振動の運動エネルギーを吸収し、熱にかえて
外部に発散することで、音や振動を低減するメカニズムとなってい
る。このことは、技術開発部のメンバーも認識していたので、素材
である高分子ポリマーを研究し、熱への変換効率の高い配合比を探
し出すことから始めたそうだ。
次に、発熱クッションの厚さ、形状等の基本設計を決めたのだが、
この時、素材を発泡させることで変形度合いを高めることに成功し
たそうだ。これで、いっそう効率的に熱エネルギーを発生させるだ
けでなく、内部の気泡により、高い蓄熱構造も生み出したのだとい
う。
さらに、こうして完成した発熱クッションを靴に搭載する際にも、
効率的な発熱位置は勿論、靴のデザインを阻害せず、作りやすさ等
も十分考慮した上で、搭載位置を決定するという念の入れようだっ
た。これらの努力により、構想も含め5年近い年月をかけて、発熱
クッションを搭載した靴は販売へと漕ぎつけたそうだ。
実験によると、この靴を履いて歩くと、搭載されてない靴で歩いた
時に比べて、10分後の足の温度が3度高くなるという結果が出て
いる。しかも、歩き出して1分後には温度が上昇し始めるという速
効性も検証されているのだ。
いざ販売を始めると、当初想定していなかった外回りや工場で作業
する男性、若い女性等からも、仕事の時に履けるようなデザインの
ものが欲しいという声が多く寄せられ、冷えに悩んでいる人の潜在
的な多さにとても驚いたそうだ。
秋満氏は「デザイン重視のものも中にはありますが、どんな靴にで
もその靴なりの快適性があるので、私達はそこを目指して開発して
います。例えば、軽量化、防水性、滑りにくさ等もその1つですが、
弊社で製造しているほとんどの靴は、機能を強く訴えていないもの
でも、何らかの技術を搭載して機能性、快適性を保つように努力し
ています。」と靴作りに対する真摯な思いを語ってくれた。
この冬はウォームビズに努めている方も多いと思うが、手間をかけ
ず、お財布や地球にも負担をかけずに足元が暖められる靴を履けば、
一足先に春の気配を探しに出かけたくなるかもしれない。
<取材協力> 株式会社ムーンスター技術開発部技術開発課課長
秋満 茂喜、東京本社マーケティング部マーケティング課革靴・婦
人靴広報担当 西山
美紀
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発行:経済産業省産業技術政策課 担当/執筆:白井、金子
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