産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側
[お詫び]
メール配信版で一部間違いがありました。修正しお詫びいたします。
誤 八万・男山 → 正 八幡・男山
◆技術のおもて側、生活のうら側 2008年07月31日 第2号
こんにちは。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。
今回は、電球と同じ形の蛍光灯について東芝ライテック株式会社さ
んにお話を伺いました。
◆夏の“冷照明”、冬の“暖照明”~省エネしながら生活に潤いを
電力消費量が多く、短寿命な白熱電球を電球形蛍光灯(ランプ)に
切り替えようという動きが盛んだ。自宅を見回してみると、トイレ
や玄関などに白熱電球が付いている。ここを電球形蛍光灯に取り替
えてみた。明るくなるまで少々時間がかかるけれど、いったいどの
くらい省エネなのだろうか?
最新の製品では、白熱電球と比べて電気代は約5分の1、発熱量も
約5分の1、寿命はなんと12倍だ!
そもそも白熱電球と蛍光灯では何が違うのだろう? 中身を見てみ
よう。
エジソンが、京都・八幡男山の「八幡竹(はちまんだけ)」をフィ
ラメントに採用するまで、6千種類以上の素材で失敗したそう。現
在の白熱電球は高温に強いタングステンという金属で作られたフィ
ラメントに電流を流し、高温になると白熱化して発光する仕組みだ
が、エネルギーの大部分が熱になってしまい、光になるのはたった
2割程度らしい。
電球形蛍光ランプだって開発の努力はエジソン並みだ。デビューは
オイルショック直後の、なんと28年前。現物を見せて頂いたが、
電球ソケットに取り付けると重さで抜け落ちるんじゃないかと思う
くらい大きくて、重い。現在のものとは別モノだ。
蛍光灯の仕組みは、放電によって水銀から紫外線を発生させ、発光
管の内側に塗られた蛍光物質が紫外線を受けて発光する。白熱電球
に比べて電気エネルギーを効率よく光に変換できるのが特徴だ。そ
の蛍光灯を白熱電球と同じ形にしようと目指している。形を変える
だけだからそんなに難しくはないのでは? いやいやとんでもない。
白熱電球はシンプルな構造で、熱に弱いものを部品に使っていない。
いっぽう、電球形蛍光ランプはプラスチックに囲まれていたり、熱
に弱い回路部品等が使われていたりとぎっしりと複雑。部品メーカ
ーと共同開発しながら少しずつ小型化を進め、同時に長寿命化を図
ってきた。発光管の曲げ方や点灯スピードのアップなど、たゆまな
い品質改良の工夫と高度な技術の28年分がこの小さなあかりの中
にぎゅっと詰まっている。
白熱電球のように安価でシンプルな構造のものを置き換えていくの
って、簡単なようだけれど、実はとてもハードルが高いことなんだ
と実感した。
白熱電球とほとんど同じ形状のものが世の中に出たのは2005年。
口金の中にすべての回路を詰め込んで口金付近を“くびれ”させる
ことに成功。「既存の器具に必ず装着できる」という安心感が生ま
れた瞬間。「なんだか電球みたいで安っぽい!」というほめ言葉が
嬉しかったとしみじみと語って下さいました。
しかしまだまだやらなければいけないことは多い。100Wタイプ
を電球と同じ形状にするには技術的なハードルは相当高いし、スイ
ッチを入れた時の明るさ、周囲温度の低い時の明るさ、調光機能の
ついた機器への対応。たくさんある。これからもさらに技術を積み
重ねていくのだろう。
ところで、光の色によって体感温度が変わってくる。蛍光灯は、蛍
光物質の材料を変えることによって色を調整できるという強みがあ
る。暖かみのある電球色、自然な色の昼白色、涼しげな色の昼光色。
どちらかというと昼光色の方が活動的になるらしい。なぜだか地域
にもより、関西では昼光色が人気とのこと。
わたしの友人のK氏宅のリビングでは、夏の“冷照明”と冬の“暖照
明”を使い分けているそうだ。手軽に脱着、保管も省スペースとい
う利点を生かして、夏には、昼光色や昼白色の涼しげな光に、冬に
は電球色の暖かな光にと、手軽に取り替えている。電球一個で雰囲
気を演出。省エネ重視の考え方はもちろん重要だが、こんな、生活
の質を向上させるような暮らしの工夫って楽しいと思う。
我が家の玄関は夏の“冷照明”。疲れて帰宅したわたしを涼しげな
色でゆっくり包んでくれる。
<取材協力> 東芝ライテック株式会社
管球事業部 佐野浩氏、吉田美香氏、総務部 秋山泰輝氏
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