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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

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◆技術のおもて側、生活のうら側  2012年6月28日 第48号

こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。

◆伸びて縮んでお腹にフィット

発売時に布のオムツとの違いを際だたせるためだったのか、現在、
一般的に使用されているオムツは、紙オムツと言われている。しか
し、紙と言いつつ、このオムツの素材は不織布で、触り心地も紙と
いうよりも布に近い。 

また、赤ちゃんが成長してくるとテープで止めるタイプよりも、脱
ぎ履きがさせ易いパンツ型が人気なようだ。このように急激な進化
を遂げてきた紙オムツは、製品としてはかなり完成されているため、
現在は、快適性をより高めるような開発が進められている。                                                             

今回、ユニ・チャーム株式会社G開発本部の丹治氏から、2010
年の夏に発売が始まったソフトレッチと呼ばれる伸縮する不織布を
使用したパンツ型紙オムツについてお話を伺った。                                                              

通常、伸び縮みはしない不織布に、あえて伸縮性を持たせたのには
もちろん理由があるそうだ。これまで、パンツ型オムツのお腹周り
と足の付け根部分は、漏れを防ぐために伸縮素材のゴムで締め付け
ていたという。

しかし、締め付けられた箇所にゴム跡・ギャザー跡がついて、赤く
なったり、かぶれたりすることもあったそうだ。そこで、ゴムを使
わないためには、不織布そのものに伸縮性を持たせるしかないと考
え、1998年に開発に取り掛かったのだった。

当初、伸縮する不織布の製造からパンツ型オムツへの製品化まで、
全て自社で行うつもりで進めていたが、なかなか完成しなかったと
いう。そこで、前から付き合いのあるサプライヤーと共同で、伸び
る繊維と伸びない繊維をまぜ合わせて素材の不織布を開発し、これ
に社内である加工を施すことで伸縮性の高い不織布を完成させたの
だった。

5年をかけて開発した伸縮性のある不織布だが、伸縮性があり柔ら
かいが故に、単体でオムツに使うには強度が十分ではなかったそう
だ。そこで、伸縮性はないものの薄くて強度がある不織布を外側に
重ねることで、オムツとして最適な形に仕上げたのだった。

まずは、大人用の介護パンツに導入してみたところ好評を得たそう
だ。しかし、赤ちゃん用に使うには、更に高いハードルを超えなけ
ればならなかった。というのも、大人用に比べてお腹周りが小さい
赤ちゃん用となると、オムツの脱ぎ履きの際には、2倍の伸縮率が
求められるのだ。

それから、伸縮率を上げるための更なる開発が始まったのだが、実
は、ここが1番苦労したらしい。製造方法自体を変更した訳ではな
いが、原材料から見直し、加工の程度についても変更したそうだ。
また、赤ちゃん用ということで、外側に使用する不織布も大人向け
より柔らかく触り心地の良いものを新たに開発したそうだ。

現在は、紙オムツ以外にインフルエンザや花粉の季節に大活躍のマ
スクにも、この不織布が使われているそうだ。耳にかける部分に伸
縮性のある不織布を使うことで、緩んで隙間が空くようなことや、
耳の後ろがすれて痛くなったりすることもないという。今後、様々
な分野で使われていくであろうと期待されている。

ストレスの多い現代社会だからこそ、せめて赤ちゃんの間ぐらいは、
ストレスを感じない生活を送らせてあげたいではないか。

<取材協力> ユニ・チャーム株式会社 G開発本郡シニアマネー
ジャー 丹治 浩之、グローバルマーケティング本部MC部広報担当
マネージャー 別所 映子

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発行:経済産業省産業技術政策課 担当/執筆:白井、金子
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