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産業技術メールマガジン/技術のおもて側、生活のうら側 第26号

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◆技術のおもて側、生活のうら側  2010年7月29日 第26号

こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。

◆無から有を生む石臼

ダイヤモンド以外のあらゆる物質を粉砕するという超微粉砕技術。
この技術を使って、鶏ガラなどをカルシウム、リン脂質やコラーゲ
ンなどの栄養素を多く含む食材に変えてしまうという増幸産業は、
かっての鋳物の町、埼玉県川口市にある。

粉砕の原理は石臼と同じ。砥石と砥石ですり潰すだけだ。もちろん
タダの砥石ではない。世界12カ国の特許を持ち、30カ国に輸出
されているスーパー砥石なのだ。

このスーパー砥石は、食物、バイオエタノールの生産工程、果ては
スペースシャトルの外壁材まで、細かくしたいというニーズに応え
続け、その用途は幅広い。いったい普通の砥石と何が違うのだろう
か。

まずは、孔だ。普通の砥石は40%程度の気孔が存在し、水をかけ
ると瞬間的に浸透する。もちろん原料が生ものの場合には肉汁等が
内部に浸透するが、このスーパー砥石は気孔がないため、水も肉汁
も内部に浸透しない。表面を水洗いするだけで雑菌の繁殖を防ぎ、
実に衛生的だ。

また、無気孔にしたことによって、砥石自身の強度が増し、砥石ど
おしが接触した状態での運転にも破損することなく耐え、圧倒的な
超微粒化が可能となった。

例えばコーンなども、従来は裏漉しして原料の10%程度が廃棄さ
れていたが、皮ごと超微粒化できるため100%利用可能だ。さら
に、実と皮の間にあるという天然の旨味、甘みが丸ごと味わえると
いうおまけもつく。

さらに、すり潰すことによって糖化が促進され、甘みが増すという
こと。ご飯を噛んでいると甘くなってくるのと似ている。この糖化
促進作用は木材からバイオエタノールを生産する際にも威力を発揮
する。バイオエタノールは、原料から得られた糖を酵母等で発酵す
ることにより製造するのが一般的だが、そのためには、木材中のセ
ルロース等を加水分解し、糖化する必要がある。このスーパー砥石
を使うことによって、糖化のスピードが早まり、生産量が大幅にア
ップするという研究結果もある。

いやはやこのスーパー砥石の活躍の場は、想像以上に裾野が広いよ
うだ。

ふと会議室の壁を眺めると増幸産業の社員の方々の写真が少し貼っ
てある。精鋭社員だけ貼ってあるのだろうか。

「これが全社員です」!? なんとたった25人で30カ国に輸出
する事業を廻している!

改めて目の前で穏やかな笑顔を見せる増田社長に訊ねてみる。これ
だけの人数でどうやって?

「粉砕に特化し、どこでも作れるものは作らない」 機械の外側部
分は全て外注するが、砥石などの心臓部は絶対に外に出さないとい
うことだ。そして・・

「製品に品質があるように、人にも“人質”があります。自分自身
を成長させようと思う心がなければならない。」

取材を終え、工場内を拝見させて頂いた時、社員の誰もが、「いら
っしゃいませ」と誠に美しい姿勢で挨拶をして下さった。社長の言
う“人質”が、この会社の質の高さを醸し出しているように感じた。

<取材協力> 増幸産業株式会社 増田幸也代表取締役社長

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発行:経済産業省産業技術政策課 担当/執筆:白井、仲
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