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産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

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◆技術のおもて側、生活のうら側  2008年09月25日 第4号

こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。

このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。

今回は、“光触媒”について、TOTO株式会社広報部の藤田氏にお
伺いしました。

◆セルフクリーニングの魔法

真っ白なシーツに包まれて朝寝するのは至福の時。白いタイル、白
いテーブルクロス、白い光を浴びながらのゆったりとした休日の朝
食。こんな素敵な時間を過ごすため、白いものを白いまま保つのに
はそれなりの努力が必要だ。

セルフクリーニングという言葉を、最近良く聞く。エアコン、お掃
除ロボット、食器洗い機などなど。最新の住宅の外壁やお台場の大
型テントもセルフクリーニングになっているらしい。セルフクリー
ニングとネットで検索すると、光触媒という言葉がたくさんヒット
した。

光触媒。消臭グッズなどでよく見かけるが、どういうものなのか・・

消臭どころではない、壮大な、日本発の世界に誇る技術だった!

一口に光触媒と言っても、消臭、抗菌、防汚などなど身近な機能も
あれば、エネルギー生成機能までとても幅広い。製品群を見ても、
造花、塗料、タイル、送電線まである。

触媒とは、自身を変えずに化学反応を促進する物質のことであり、
「光が当たることで生み出される働き」が光触媒作用だ。植物の光
合成も一種の光触媒作用。葉緑素を触媒として水・二酸化炭素から
酸素やでんぷんを作り出す。葉緑素自体は何も変化しない。

TOTOが光触媒技術のリーディングカンパニーとして自信と誇り
をもって送り出しているのが、ハイドロテクトという技術。主に酸
化チタンという物質を触媒として、光が当たる表面に「分解力」と
「親水性」(撥水の反対で、水が表面になじむこと)が生み出され
る。酸化チタン自体は何も変化しない。ちなみに酸化チタンは、白
色塗料、ホワイトチョコや日焼け止めなど、広く使われている安全
な物質だ。

分解力と親水性のもたらす効果は、防汚、抗菌、防臭、防曇など。
光触媒のこうした効果は随分昔からわかっていた部分もあるけれど、
実際の製品として使用するには様々な障害があった。

まずはTOTOが得意とする焼物の分野での応用からスタート。タ
イルだ。効果を最大限に発揮させるために、光触媒を効果的に物質
の表面に並べたり、剥げ落ちないように定着させるための材料設計
や加工技術で様々な試行錯誤を行いながら、タイルから建材、車の
サイドミラー、家庭用消臭剤と様々な製品が世に出始めたのは1998
年ごろから。そして、光触媒の効果を最もよく活用した最新の製品
は塗料だ。塗料メーカーのノウハウとTOTOの光触媒技術が結集した。

酸化チタンの表面に発生した活性酸素が様々な有機物を分解し、汚
れが取れやすくなっているところに、親水性によって雨水が汚れの
下に入り込み、汚れを浮き上がらせて洗い流してしまう、という仕
組み。セルフクリーニングだ。その上空気も浄化されることがわかっ
た。

酸性雨や光化学スモッグの原因ともなる窒素酸化物(NOx)などの大
気汚染物質が、ハイドロテクトの分解力で浄化されるのだ。ポプラ
は大気浄化能力に長けているそうだが、最新のハイドロテクト塗料
の浄化力は塗装面1,000?あたりポプラ95本分だ! 戸建て住宅
(150?)の場合は約15本分になる。

クリーンな太陽エネルギーを使って、キレイな外観を保ち、空気も
洗う。

こんな魔法のような技術だけれど、「劇的なドラマがあったわけで
はない」という。「お客様や世の中のニーズに沿った形で、技術を
商品に活かしていくという、ものづくりとしてあたりまえのことを
追求してきた結果」だと、にこやかに語って下さいました。

ところで、化粧品にも酸化チタンが使われているものがある。いつ
か「キレイな外観を永く保つ夢のセルフクリーニング化粧品」が出
来るかもしれない。ただ、光触媒は光に顔をさらす必要があるので、
日焼けと美白のせめぎ合いになる危険性はある。かなりリスキーだ。
毎日顔を洗ったほうがいいか。

<取材協力> TOTO株式会社広報部 藤田健史氏

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