産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側
◆技術のおもて側、生活のうら側 2010年9月30日 第28号
こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。
◆どこでもトイレ
日々、様々な場所で人々は働いている。タワークレーン、掘削中の
地下トンネル、果ては南極観測隊や宇宙飛行士のように過酷な環境
もある。これらに共通する問題。
それはトイレ。
建設資材の販売からスタートした日本セイフティー株式会社にお伺
いし、個包装式の自動ラップ式トイレの話をお聞きした。
同社では、仕事柄、工事現場と接することが多く、トイレの利便性
が思いの外問題であることを認識していた。更に、奥様がお母様の
介護をしている姿を会長が日常見ており、介護現場の苦労を会長自
身が実感していたことが開発のきっかけとなった。
フィルムを機械にセットし、電源を入れれば、後は、使用する毎に
事前に凝固剤を投入し、スイッチを押すだけだ。水分を吸収し固形
化したものは、フィルムに包まれ、熱圧着により個包装され、約
80秒後に下から出てくる。
使用しているフィルムは、防臭性樹脂を2層の接着性樹脂とポリエ
チレン樹脂で挟んだ5層構造で、匂いを外に漏らさず、焼却しても
有害ガスが発生しないものとなっている。凝固剤の主成分はおから
で、トイレ等に流しても配管を傷めないことを確認済みだ。
本体に内蔵されたシール機は、ヒーター部分の温度変化で圧着させ
るだけでなく、個包装されたフィルムが自然に切り離されるような
構造となっており、筐体についても、座り易さや立ち上がり易さに
ついて人間工学等の観点から検討し、現在の形が生まれた。
一見簡単に見えるこの機械も、当初から開発に携わっている桜井課
長によれば、例えば座高の設定や筐体の構造だけでも相当の改良を
重ねたという。特に、フィルムをシールするシール機のヒーター部
分の開発には2年も費やした。口数の少ない方だが、微笑をたたえ
て淡々と語られるとかえってその苦労がしのばれる。
3年前の能登半島地震及び中越沖地震の際に、被災した高齢者を中
心に使用いただいた。大変役に立ったという評価をもらうとともに、
実践の場を得て更なる改良のための貴重なノウハウを得ることが出
来たそうだ。
その後、現地での声をふまえ、小型化・軽量化しつつ、組立前は段
積みが出来るよう箱形に改良し、工具なしで組み立てられる構造に
した。現在は、この組立式の製品が販売の主力となっている。
自動ラップ式トイレは、建設、介護、災害に加え、環境、レジャー
と今も新たなシーンでの用途を広げている。近い将来、皆さんもど
こかでお世話になる日が来るかもしれない。
<取材協力> 日本セイフティー株式会社
ラップポン営業促進部部長 佐久間 快枝、
技術開発部技術課課長 桜井 康雄
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発行:経済産業省産業技術政策課 担当/執筆:白井、金子
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