経済産業省
文字サイズ変更

産業技術メールマガジン 技術のおもて側、生活のうら側

めるまが登録

◆技術のおもて側、生活のうら側  2009年12月24日 第19号

こんにちは。ご愛読頂き、心より感謝いたします。
このメルマガでは、身近な生活シーンから、社会生活に密着した産
業技術を生活者の目線で紹介していきます。私たちの暮らしを支え
る産業技術を身近に感じて頂ければ幸いです。

◆守るものは何ですか?

株式会社ワイピーシステムは、東村山駅から20分ほど歩いた穏や
かな街並みの中にあるめっき会社だ。今回お届けするのはこのめっ
き会社から生まれた「消火具」。念のために断っておくが、消火器
をめっき加工しているわけではない。

「めっきの処理工程で出る廃液をなくせないだろうか」

吉田社長は会社設立後に大学院で再勉強をし、圧力をあげることに
よって溶解力を持つという二酸化炭素の特性を利用した洗浄機を開
発した。ノズルの先端から二酸化炭素を吹きつけて金属素材等の汚
れや錆を落とす。シンナーなどと違ってガスマスク等も必要ない。
無味無臭で廃液が出ることもない。

この洗浄機は思わぬ所で別の用途に使われた。洗浄機を使っていた
ある企業でボヤが起きた時に、とっさにこの洗浄機で二酸化炭素を
かけたところ、見事に鎮火。しかも消火剤で機械設備が損傷・汚損
することもなく、大変感謝されたという。

吉田社長はここでさらに考えを発展させる。無味無臭で周辺を汚す
こともなく、消火作用のある二酸化炭素を使って消火具を作ろう。
大気中に存在する気体であるから、電気製品や精密機器にもためら
いなく使用できる。コンセプトは女性や高齢の方でも扱いやすい消
火具だ

めっき会社であるから当然ガスもボンベも金型も成型もできない。
吉田社長はそういった経営資源、設備を持った複数の企業を巻き込
みながら、「誰でも使えてどこにでもおける」新しい消火具を作っ
てしまった。

家庭用のもの、自動車車載用のものなどがあるが、どちらも20セ
ンチ程度の長さでちょうど懐中電灯のような形状と大きさ。自動車
車載用のものは技術要求水準が高いといわれる自動車メーカーの純
正用品にも採用されている。この自動車車載用のものは、消火具と
してだけではなく、脱出用のシートベルトカッターやガラス粉砕機
能がついていて、機能的だ。

「まず避難、それから消火です」なるほど。「自分の緊急時だけで
なく、他人の緊急時にも救出に使って欲しい」と静かに話される吉
田社長は、「何よりも守らなければならないのは人の命です」とさ
らに静かな口調で話された。

ところでここで使われる二酸化炭素は、コンビナートや火力発電所
等から排出される高濃度の排ガスを回収して精製したものだ。本来
大気中に排出されるはずであった二酸化炭素を液化状態にしてガス
ボンベに詰め込むことによって、大気中への二酸化炭素排出削減に
寄与するという仕組み。

気体から液化された時にその体積はおよそ800分の1になるそう
だ。見た目は小さくてもそこにつめられた二酸化炭素の量は見かけ
の800倍だ!

自分の命を守るために、さらには人の命を救うために。「身近にお
いて頂いたら必ずお役に立ちます」と吉田社長。幸いにして使う場
面がなかったとしても、大気中の二酸化炭素をぎゅぎゅっとガスボ
ンベに詰め込んで保管しておくだけでいい。

環境面で貢献できますから!

<取材協力> 株式会社ワイピーシステム 吉田英夫代表取締役、
須山泰敬技術担当部長

■PCからの配信登録・配信中止
/policy/economy/gijutsu_kakushin/innovation_policy/m-magazine.html
■携帯からの配信登録
https://wwws.meti.go.jp/honsho/policy/innovation_policy/merumaga/k_index.html
■携帯からの配信中止
https://wwws.meti.go.jp/honsho/policy/innovation_policy/merumaga/k_kaiyaku.html
■記事へのご意見
innovation-policy@meti.go.jp

 

発行:経済産業省産業技術政策課 担当/執筆:森澤、仲
/policy/economy/gijutsu_kakushin/innovation_policy/index.html
〒100-8901東京都千代田区霞が関1-3-1
電話:03-3501-1511(代表)

 

問い合わせ先

本ぺージに対するご意見、ご質問は、産業技術環境局 産業技術政策課
TEL 03-3501-1773 FAX 03-3501-7908 までお寄せ下さい。

 
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.