日本企業の海外展開を踏まえた国際課税制度の在り方に関する研究会について
趣旨・背景
近年、日本企業については、生産拠点を中心に海外展開が進展するとともに、海外からの資金還流が拡大するという傾向が顕著になっています。この傾向は、国際収支統計等のデータからも明らかであり、今後もこのような「海外で稼ぐ」という形態が更に活発になっていくことが予想されます。税制面においては、こうした経済実態に合わせ、平成21年度に日本企業が海外で稼得した利益の国内還流促進に寄与する外国子会社配当益金不算入制度が導入されているところです。
他方で、国際的には租税回避行為防止を目的とするBEPS(Base Erosion and Profit Shifting、税源浸食と利益移転)プロジェクトが立ち上がっています。移転価格税制については、多国籍企業における文書化の義務づけが合意され、また、CFC税制についても9月に最終的な勧告が公表予定であることから、これを受けて我が国においても大幅な制度見直しが行われる可能性があります。
しかし、我が国においては、法人実効税率を今後数年で20%台まで引き下げることを目指しており、これに伴って日本企業の租税回避の誘因は低減すると考えられるため、こうした実態を踏まえた租税回避防止措置の在り方が求められています。
かかる状況を踏まえ、研究会を開催し、①日本企業の海外事業活動の進展の実態と整合的で、②移転価格税制の強化や法人税引下げ等税制全体を展望した国際租税の在り方について、CFC税制を中心に検討を行うこととしました。
本研究会での議論を踏まえて、「平成27年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(対内直接投資促進体制整備等調査(BEPSを踏まえた我が国のCFC税制等の在り方に関する調査))」の受託事業者である税理士法人プライスウォーターハウスクーパースによって、今年度末までに報告書がとりまとめられる予定です。