国際租税
外国子会社合算税制の適用除外基準である管理支配基準の判定(株主総会等のテレビ会議システム等の活用について)
外国子会社合算税制の適用除外基準である管理支配基準の判定
(株主総会等のテレビ会議システム等の活用について)
(株主総会等のテレビ会議システム等の活用について)
【照会の要旨】
内国法人である当社が100%出資するA社はS国に本店を有し、当社製品を近隣諸国に販売する法人ですが、S国はいわゆる軽課税国であるため、A社は租税特別措置法第66条の6第1項に規定する特定外国子会社等(以下「特定外国子会社等」といいます。)に該当します。
A社の現地における概況は次のとおりです。
① A社には4名の役員(W、X、Y及びZ)が就任していますが、そのうちW及びXは日本国内に居住し、当社とA社の役員を兼任する一方、Y及びZはS国に居住し、営業担当者に対する指揮監督等、それぞれA社のみの役員としての業務を行っています。
② A社には10名の従業員が存在し、Y及びZの指揮監督下においてA社の営業業務等に従事しており、その職位に応じて、得意先との価格交渉等に対して一定の裁量権を有しています。
③ A社の会計帳簿の作成及び保管等は、A社の本店事務室内において行われています。
当社の法人税申告に当たり、A社は、外国子会社合算税制の適用除外基準のうち管理支配基準については、従来から、以下の点を勘案し、当該基準を満たすものと判定していました。
● S国においてY及びZが役員としての職務を執行していること
● S国において会計帳簿の作成及び保管等を行っていること
● A社の株主総会及び取締役会の開催に当たっては、株主及び取締役の全員がA社に招集されており、A社本店内の会議室において開催されていること
ところで、A社では、今年以降の株主総会の開催に当たり、出張旅費等のコスト削減等の観点からテレビ会議システムを導入し、議長であるYはA社内において、また、当社から議決権行使の権限を委任されたWは当社内において、テレビ会議システムを利用して同総会に参加することとしました。
また、今年以降の取締役会についても、A社は株主総会と同様にテレビ会議システムを利用し、議長であるY及びZはA社内において、W及びXは当社内において会議に参加することとしました。
なお、開催案内の送付や議事録の作成等、株主総会及び取締役会に関連する業務は全てA社が実施しました。
この場合、我が国の外国子会社合算税制の適用上、当社の特定外国子会社等に該当するA社は適用除外要件のうち、管理支配基準を満たすと考えてよろしいでしょうか。
【回答の要旨】
標題のことについては、ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。
【理由】
内国法人に係る特定外国子会社等がその本店又は主たる事務所の所在する国又は地域において、事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること(管理支配基準)の判定は、当該特定外国子会社等の①株主総会及び取締役会の開催、②役員としての職務執行、③会計帳簿の作成及び保管等が行われている場所、④その他の状況を総合勘案して行うこととされています(措置法通達66の6-16)。
ご照会の趣旨は、従前A社は①から④までを総合勘案した結果、管理支配基準を満たしていたところ、このうち、①の株主総会及び取締役会の開催に当たりテレビ会議システム等の情報通信機器を利用した場合に管理支配基準を満たさなくなってしまうのかという点にあるかと思われます。
この点、ご照会の事実関係によれば、A社の株主総会及び取締役会の開催場所については、次の理由により、たとえ株主や役員がテレビ会議システム等の情報通信機器を利用して出席したとしても、株主総会及び取締役会自体はS国で開催されたものと同様と認められますので、その開催場所が本店所在地国等である場合と同様に取り扱って、管理支配基準の判定を行って差し支えありません。
イ 開催案内の送付や議事録の作成等、株主総会及び取締役会に関連する業務はすべてA社が行っていること
ロ 役員として職務執行を行う等A社における一定の権限を有しているYが株主総会及び取締役会において議長を務めていること
ハ 株主総会の場合には議長であるYがA社内において出席していること
ニ 取締役会においては、議長であるY及びZがA社内において出席していること
以上
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最終更新日:2014年1月7日