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ADnewsletter 2022年7月号(諸外国の貿易救済措置発動状況/各国の貿易政策)

CONTENTS


1.諸外国における貿易救済措置の発動状況
2.各国の貿易政策の状況
3.国内セミナーのお知らせ
4.相談窓口
5.FAQ
 
 

1.諸外国における貿易救済措置の発動状況

 2022年6月の諸外国における貿易救済措置の発動状況をお伝えします。

  実施状況詳細


  アンチダンピング(AD)

2022年6月は、EUがアンチダンピング措置の調査を開始しました。調査対象国は中国でした。
 
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  補助金相殺関税(CVD)

2022年6月は、該当する事案はありませんでした。
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  過去の調査及び措置の状況

過去の主要国の発動状況は、当室のHPで確認することができます。
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/trade-remedy/caseinfo/index.html  
 

2.各国の貿易政策の状況

米国における太陽光発電関連製品への課税(カナダからの太陽光発電関連製品に対するセーフガード措置停止と
東南アジア4か国に対するAD/CVD課税の迂回課税の保留)

 2022年7月に、米国はカナダ産の太陽光発電関連製品に対する米国のセーフガード関税を撤廃することでカナダと合意しました1
 トランプ前大統領は2018年1月、輸入太陽光パネル製品に対するセーフガード関税を課しました。これは主に、中国及び世界中の中国生産者による太陽電池及びモジュールの過剰生産能力に起因し、中国の非市場的慣行によって悪化した輸入競争に適応しようとする国内太陽電池産業の取組を支援するための対応2でしたが、カナダのメアリー・エング貿易相によると、関税はカナダから米国への太陽光発電関連製品の輸出を82%削減する影響があった3と指摘しています。バイデン大統領は2022年2月に関税をさらに4年間延長しました。カナダはこれらの処置がUSMCAの条件に違反しているとして、両国間で解決のための協議が実施されていました。

 また、先月のADニュースレターでも紹介したとおり、2022年6月6日発行『国内におけるクリーンエネルギー関連の製造力強化のための施策(公布10414号)』において、迂回輸入調査が行われている、カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナムからの太陽光発電関連製品の輸入については、一定の期間、迂回輸入に関連するアンチダンピング関税(ADD)又は相殺関税(CVD)をかけずに輸入を認めるとしました4
 これを受け、米商務省は2022年7月1日、カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナムの東南アジア4か国からの太陽光発電関連製品に対する迂回輸入の調査に基づくあらゆるADD又はCVDの徴収を一時停止する規則を発表しました。この「一時停止」が有効な期間(最長2024年6月6日まで)、これらの国からの太陽光発電関連製品の輸入者及び購入者のAD/CVD関税責任について、免除されることになります。
 

 

1.https://www.canada.ca/en/global-affairs/news/2022/07/statement-by-minister-ng-on-agreement-to-remove-us-solar-safeguard-tariffs-on-canadian-solar-products.html
2.
https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/press-releases/2022/july/united-states-and-canada-announce-memorandum-understanding-trade-solar-products
3.https://www.canada.ca/en/global-affairs/news/2022/07/statement-by-minister-ng-on-agreement-to-remove-us-solar-safeguard-tariffs-on-canadian-solar-products.html
4.https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/06/06/declaration-of-emergency-and-authorization-for-temporary-extensions-of-time-and-duty-free-importation-of-solar-cells-and-modules-from-southeast-asia/


 

EU域内市場を歪める外国からの補助金: 理事会と欧州議会の暫定的な政治合意(EU補助金関連の立法の動き)

 欧州理事会と欧州議会は2022年6月30日に、外国からの補助金に関する規則(FSR :Foreign Subsidies Regulation)について、暫定的な政治的合意に達しました 5
この規制は、EU域内市場で活動する企業に対する、非EU加盟国からの補助金によって生じる歪みを是正することを目的としています。これにより、欧州委員会は、EU域外の国の公的機関が、EU域内で活動する企業に対して実施した補助金から恩恵を受けている活動を調査するための枠組みが確立され、以下の3つの手段で調査ができるようになります。

1)非EU加盟国政府から購入者に補助金支援がなされている5億ユーロを超える合併に対し、事前届出を義務化
2)非EU加盟国政府から補助金を受けた入札者が関与する2億5,000万ユーロを超える公共調達に対し、事前届出を義務化
3)それ以下の金額の合併や公共調達に関しては一般的な市場調査を随時実施

 事業者が合併や公共調達手続における補助金について届出義務を怠った場合、欧州委員会は罰金を科すことができます。また、欧州委員会は、EU域内市場を歪めている非EU加盟国からの補助金について、同規則の施行から5年間遡及して調査する権限を持つことになります。

 暫定合意は、理事会及び欧州議会の承認を得る必要があります。同規則は、欧州連合官報に掲載されてから20日目に発効されます。
 

 

5.https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2022/06/30/foreign-subsidies-regulation-political-agreement/

 

中国からの特定のアルミニウム箔に対し、米国がAD/CVD課税の迂回調査開始

 2022年7月、米商務省は、中国産のアルミニウム箔についての迂回の職権調査を開始しました。2018年4月、米商務省は、中国産のアルミ箔に対してADとCVDを課す決定を行いました。この調査では、中国で製造されたアルミ箔の原料を使用して、韓国及びタイで完成した製品の輸入が、中国からのアルミホイルに対するADとCVDを迂回していないかを判断するものです6
 米商務省が予備的肯定判断を下した場合、米税関・国境警備局(CBP)に対し、照会開始日以降に消費のために入庫又は出庫した対象商品の各未清算品について清算を停止し、適用税率でのAD及びCVDの見積額の徴収を要求するよう指示することになります。米商務省は、連邦官報に迂回調査開始の通知が掲載された日から300日以内に最終決定を下す予定です。
 

 

6.https://www.federalregister.gov/documents/2022/07/18/2022-15204/certain-aluminum-foil-from-the-peoples-republic-of-china-initiation-of-circumvention-inquiries-of

 
 

3.国内セミナーのお知らせ

 
令和4年度 貿易救済セミナー
~ 会社を守る”攻め“の一手!アンチダンピング制度活用のすすめ ~ のご案内



経済産業省特殊関税等調査室では、貿易救済措置に係る普及啓発を目的とし、9月1日(木)14時~16時に令和4年度貿易救済措置セミナーをオンラインにて開催いたします。
今年度は、申請に向けて有用な情報を提供することに力を入れ、皆様にとって価値のある情報をお届けする予定です。

 
 

今年度の注目点①:経験談が聞ける

今回、プログラムの1つとして アンチダンピング措置の制度を実際に利用した企業によるディスカッションを予定しており、リアルな経験談を聞くことができます。
 

今年度の注目点②:情報が入手できる

当省HPにて公開している、輸入モニタリングシステム等のWEBコンテンツの効果的な使い方をセミナー内で学べます。
 

今年度の注目点③:その場で質問できる

アンチダンピング措置の制度を含め、貿易救済措置に関して気になる点があれば、その場でご質問いただき、当省より回答をお返しいたします。
 

より多くの皆様にご参加いただき、貴社における経営戦略の一つとして、貿易救済措置制度の活用をご検討いただく契機としていただければ幸いです。皆様お誘いあわせの上、ぜひご参加ください!

 

 概要

■開催日時
9 月 1 日(木)14:00~16:00

■開催方法
オンライン(WEB)

■プログラム
①経済産業省からAD・CVD措置の概要説明
・貿易救済措置(アンチダンピング(AD)措置や補助金相殺関税(CVD)措置)の概要と効果の解説

②モニタリングシステムの紹介
・特殊関税等調査室の各種モニタリングシステムの効果的な使い方紹介、分野別モニタリングシステムの紹介

③AD申請者による経験共有
・申請経験者から、アンチダンピング(AD)措置申請に至るまでの経緯、申請に当たっての留意点、課税後の状況等を紹介
・質疑応答

④申請の仕方について
・ADモデル申請書、CVDガイダンスについて紹介

■セミナー詳細
https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/trade-remedy/seminar/20220901_seminar.html

■参加申込
https://mm-enquete-cnt.meti.go.jp/form/pub/tokusyukanzei01/tr2022

■参加料
無料

■問い合わせ先
qqfcbk@meti.go.jp (経済産業省 特殊関税等調査室)

 
 

4.相談窓口

 経済産業省では、皆様からのアンチダンピング調査に関する個別相談を常時承っております。アンチダンピング措置は、海外からの不要な安値輸出を是正するためWTOルールにおいて認められた制度です。公平な国際競争環境が担保された中で、日本企業の皆様が事業活動を展開できるようにするためにも、アンチダンピングを事業戦略の一つとして捉えていただき、積極的に御活用いただきたいと考えております。 申請に向けた検討をどのように進めればよいのか、複数の事業者による共同申請はどのようにすればよいのかなど、相談したい事項がございましたら、まずは気兼ねなく経済産業省特殊関税等調査室まで御連絡ください。
 
<相談窓口>

 経済産業省 貿易経済協力局 特殊関税等調査室 
TEL:03-3501-3462
E-mail:bzl-qqfcbk@meti.go.jp
 

5.FAQ

 以下のURLから、アンチダンピング申請等について、皆様からよく寄せられるご質問及び回答情報をご参照いただけます。ご活用いただけますと幸いです。
  よくある質問

 

最終更新日:2023年12月8日