CONTENTS
1.諸外国における貿易救済措置の発動状況
2.日本の貿易政策の状況
①アンチダンピング関税に係る迂回防止制度の創設を含む関税定率法の改正案を国会に提出
3.各国の貿易政策の状況
①韓国がダンピング行為を遮断する体制を本格稼働したと発表
②EUが中国の電気自動車メーカーからの価格約束を受入れ
③米国が中国産油井管に対する迂回防止調査の結果を発表
1.諸外国における貿易救済措置の発動状況
2026年1月~2月の諸外国における貿易救済措置の発動状況をお伝えします。実施状況詳細
アンチダンピング(AD)
2026年1月~2月は、以下の調査が開始されました。
補助金相殺関税(CVD)
2026年1月~2月は、以下の調査が開始されました。

2.日本の貿易政策の状況
①アンチダンピング関税に係る迂回防止制度の創設を含む関税定率法の改正案を国会に提出
財務省は、令和8年2月20日、アンチダンピング関税(不当廉売関税)の課税逃れに対応する迂回防止制度の創設を含む「関税定率法等の一部を改正する法律案」を国会に提出しました1。改正案が国会における審議を経て可決・成立した場合、当該迂回防止制度の創設に関連する規定は、令和8年4月1日に施行されます。
アンチダンピング関税に係る迂回防止制度は、供給国や品目の切替え等により、既存の不当廉売関税(原措置)の課税を回避する「迂回品」に対して、従来の課税調査よりも迅速な調査手続によって、原措置と同等の割増関税を課すことを可能とするものです。また、原措置にかかる供給者との関連が無く、合理的な経済活動を行っている者による除外申請や還付請求等を認めることにより、適正な課税を確保することとしています。
迂回防止制度の創設により、実質的な課税回避行為に対する抑止力が強化されるとともに、不公正な貿易行為への対抗措置としてのアンチダンピング関税が、これまで以上に適正に運用されることを通じて、わが国の国内産業における公正な競争条件の確保が図られることが期待されます。
1.https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/221diet/kz20260220y.html
3.各国の貿易政策の状況
①韓国がダンピング行為を遮断する体制を本格稼働したと発表
2026年2月3日、韓国関税庁は、ダンピング行為を国境段階で遮断する体制が本格的に稼働したことを発表しました2。この取組みは、世界的な供給過剰と各国の保護貿易主義の強まりのなかで、低価格品の輸入が継続している状況があり、国内産業を保護するための調査が増加傾向にあることを背景としています。 同庁は2025年に「アンチダンピング企画審査専担班」の組成により、供給者・品目番号の虚偽申告等を通じた428億ウォン規模のアンチダンピング関税の回避行為を摘発した実績を踏まえ、スポット的な取締から常時対応へ移行するため、2025年12月30日付で、主要税関(ソウル、釜山、仁川)に合計4つの専担チームを新設し、データに基づく常時監視体制を稼働させたとしています。
問題発生の都度実施していた従来の取締にとどまらず、アンチダンピング関税措置の対象を通年で取り締まる「定期審査制度」を導入し、新規品目や鉄鋼・石油化学などの重点品目に対する審査を強化して、取締の穴を塞ぐとしています。
さらに、迂回防止制度の適用範囲の拡大(2025年1月1日に供給国内での軽微な変更が追加、さらに、2026年1月1日からは供給国・第三国・国内(保税区域)での軽微な変更や、第三国での組立・完成に拡大)を受け、迂回行為のモニタリングを強化するとともに、アンチダンピング関税措置の発動前後の輸入数量、価格、供給国の変化、外為取引の分析を強化するとしています。
関税庁長官は、こうした取組みを通じてダンピング製品の流入を国境で阻止し、韓国企業の公正な競争を確保する「経済安保の最前線」としての役割を果たすと述べています。
2. https://www.ktc.go.kr/noticeList.do (同ページの案件番号212番を参照)
②EUが中国の電気自動車メーカーからの価格約束を受け入れ
2026年2月9日、欧州委員会は、中国産の電気自動車(BEV)に対する補助金相殺関税に関して、当該措置の対象製品を生産するVolkswagen (Anhui) Automotive Co., LtdとEU域内の関連輸入者であるSEAT S.A.が提示した価格約束を受け入れ、特定のモデルについて、最低輸入価格以上での販売を条件に関税の免除を認めました3。
価格約束の受入れに関する決定文書4によると、当該最低輸入価格は、同等モデルの補助金無の価格をベースに、外装・内装や装備差等を考慮して設定されました。加えて、年間輸入量の上限やEU域内での投資の促進もコミットしています。
価格約束の受入れは、中国産BEVに対する補助金相殺関税(7.8〜35.3%)が発動された後、2025年12月4日に開始した部分的中間審査(約束の受入れ可能性と実行可能性の検証)を経て決定されたものです。
当該約束に関しては、EU域内での販売状況に関する四半期ごとの報告によって遵守状況を確認できるようにするとともに、約束違反等の事実が確認された場合には、委員会は価格約束の受入れを撤回し、遡及して関税を適用するとしています。
3. https://policy.trade.ec.europa.eu/news/commission-accepts-price-undertaking-chinese-electric-car-producer-2026-02-10_en
4.https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=OJ:L_202600328
③米国が中国産油井管に対する迂回防止調査の結果を発表
2026年2月27日、米国商務省は、中国で生産された鋼ビレットを使用してタイで完成されたシームレス油井管(OCTG)の輸入が、中国産のOCTGに対するアンチダンピング関税および補助金相殺関税の迂回行為に該当する旨、最終決定をしたと公表しました5。
本件に関する迂回防止調査において、商務省は、鋼ビレットの生産に必要な投資、生産設備、生産プロセスの水準は、シームレスOCTGの生産に必要なそれらの水準よりもはるかに広範であることを認めたうえで、タイの製造事業者が行うシームレスOCTGの完成プロセスが「軽微なものであるか、又は重要ではない」かどうかを評価する際に、タイにおける投資水準、研究開発のレベル、生産プロセスの性質、生産設備の範囲及び加工作業の価値を考慮したとしており、これらすべての要素が、タイにおける組立又は完成の工程が「軽微なものであるか、又は重要ではない」ことを裏付けるものであると結論付けています6。
この最終決定に基づき、迂回防止調査の開始日である2024年12月18日以降に米国向けに輸入された対象製品について、保証金の預託(デポジット)が指示されます。
5. https://www.federalregister.gov/documents/2026/02/27/2026-03972/oil-country-tubular-goods-from-the-peoples-republic-of-china-final-affirmative-determination-of#footnote-12-p9812
6. 調査に関連する決定文書等はACCESSから入手が可能 https://access.trade.gov/public/FRNoticesListLayout.aspx
4.相談窓口
経済産業省では、皆様からのアンチダンピング調査に関する個別相談を常時承っております。アンチダンピング措置は、海外からの不要な安値輸出を是正するためWTOルールにおいて認められた制度です。公平な国際競争環境が担保された中で、日本企業の皆様が事業活動を展開できるようにするためにも、アンチダンピングを事業戦略の一つとして捉えていただき、積極的に御活用いただきたいと考えております。申請に向けた検討をどのように進めればよいのか、複数の事業者による共同申請はどのようにすればよいのかなど、相談したい事項がございましたら、まずは気兼ねなく経済産業省特殊関税等調査室まで御連絡ください。
また、「日本企業がアンチダンピング調査の調査対象となった場合」の御相談は、経済産業省国際経済紛争対策室まで御連絡ください。
経済産業省 貿易経済安全保障局 貿易管理部 特殊関税等調査室
TEL:03-3501-1511(内線3256)
E-mail:bzl-qqfcbk@meti.go.jp
経済産業省 通商政策局 国際経済部 国際経済紛争対策室
TEL:03-3501-1511(内線 3056)
E-mail:bzl-wto-soudan@meti.go.jp
5.FAQ
最終更新日:2026年3月30日