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知的資産経営を開示・評価する意義

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企業が持続的な利益を目指す「知的資産経営」を続けていくためには、その企業の取り組みをステークホルダー(取引先、顧客、株主・投資家、従業員、地域社会など)に認知・評価してもらうことが重要です。

そのため企業は、財務諸表だけでは十分に表現することができない「知的資産」や知的資産を活用した経営手法について、ステークホルダーに対して情報開示を行う必要があります。

これが「知的資産経営に関する情報開示」です。

 

この情報開示によって、開示する側の企業にとっては、例えば以下のようなメリットがあります

(1)企業価値が増大する

ステークホルダーからの適切な評価を得ることができるので、企業が持つ実力を正しく評価してもらえます。

知的資産経営に関する情報開示によって、市場における過小評価が解消されれば被買収リスクも低くなるでしょう。

(2)経営資源が最適に配分される

情報開示のプロセスの中で、自社の知的資産を再認識することで、個々の企業の内部において価値創造につながる経営資源(人材、資金など)への最適な配分をもたらします。

つまり、企業ごとに固有の価値創造の方法に経営資源を集中投資することが可能となります。

(3)資金調達が容易になる

将来価値に対する確度や企業の信頼を高めることにより、幅広い投資家や金融機関からの評価を得て、資金調達が有利になります。

また、特に情報開示の機会が少ない中小・ベンチャー企業にとっては、知的資産経営報告を通じて自らの潜在力・成長性を銀行やベンチャーファンドに示すことができます。

(4)従業員のモチベーションが向上する

従業員が自社の強みや知的資産経営の内容を正確に認識することで、個人の仕事が自社の将来価値にどのように寄与するかが明確になるため、士気が向上します。

今後、団塊の世代の大量退職など、労働市場において人材の確保が困難となるとみられていますが、知的資産経営報告によって求職者に自社の強み・魅力をアピールし、優秀な人材の確保につなげることもできます。

(5)知的資産への再投資が可能となる

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企業価値の増大や資金調達が容易になることで、更なる知的資産経営の取り組みや強みとなる知的資産への投資が増大して、知的資産や価値創造のメカニズムのいっそうの強化、次なる情報開示につながります。

経験を重ねることで知的資産経営報告の内容・方法も洗練されていき、ステークホルダーの理解・信頼感も高まっていきます。

 

(参考)

知的資産経営に関する情報開示が進むと、開示する側の企業だけでなく、開示内容を評価するアナリストや投資家等の「企業評価者」にとっても複数のメリットがあります

(1)企業価値の分析精度が高まる

従来あまり詳しく評価されてこなかった知的資産経営の評価、つまり企業が中長期的にどのように将来の価値を生み出すのかという分析を行うことで、企業の本質的な価値を掴み、アナリストや投資家の分析精度は向上します。

(2)企業のリスクを評価できる

これまで、企業の経営に大きな影響を及ぼす「リスク情報」に関しては、開示されている定性情報の中でもとくに見えにくい部分でした。

企業の知的資産経営の開示内容を分析することで、企業がどのようなことに取り組み、逆に取り組んでいないのかを明確化でき、それらをたとえば業界内で比較することによって、企業の将来の事業リスクが鮮明に見えてきます。

リスクが将来的に顕在化する場合の業績を予測することが可能となれば、(1)と同様に、企業分析の精度が高まります。

(3)成長性の高い企業を見抜くことができる

知的資産経営に関する情報開示では短期的な利益等の情報ではなく、中長期的な企業価値を高めるための価値創造のプロセスが示されます。

投資家などの企業評価者にとっては、将来業績の予測に重要な影響を与える企業の先行投資に関する情報を掴むことができるため、企業の成長性を的確に見極めることができます。

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