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令和7年度税制改正について(再投資期間の延長及び保有期間の設定)

令和7年度税制改正では、エンジェル税制について以下の2点の改正が行われました。
令和8年1月1日以降に取得した株式がこれらの措置の適用対象となります。

①再投資期間の延長
⇒株式譲渡益が発生した年分の確定申告時の手続き等を前提に、株式譲渡益が発生した翌年末(最大2年間)までに投資をした場合にエンジェル税制の適用を受けられることとなりました。

②保有期間の設定
⇒非課税措置について、健全な利用促進を図りつつ、スタートアップへのリスクマネー供給を後押しする観点から、株式を取得した翌年末までの保有期間を設定することとなりました。ただし、 IPOやM&A等の一定の場合の譲渡を除きます。

詳細については、今後改訂を予定しているガイドライン等をご参照ください。

エンジェル税制とは

エンジェル税制とは、スタートアップへ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度です。

令和5年度の改正により、従来の要件に加え一定の要件を満たす設立間もないスタートアップへの投資や、自己資金による起業について非課税措置の対象としています。

スタートアップの起業、およびエンジェル投資の詳細についてはこちらからご確認ください。

令和5年3月31日までの投資については優遇措置の内容が異なります。こちらをご確認ください。

エンジェル税制の概要


①投資時点
措置の種類 控除対象 控除先 措置内容 控除上限額 設立年数 外部資本比率
起業特例 企業設立時の自己資金による出資額全額 その年の株式譲渡益から控除 非課税 上限なし
(非課税となるのは20億円の出資までで、それを超える分は課税繰延)
1年未満 1/100以上
優遇措置A (対象企業への投資額全額-2,000円) その年の総所得金額から控除 課税繰延 総所得金額×40%
と800万円のいずれか低い方
5年未満 1/6以上
優遇措置A-2 1/20以上
優遇措置B 対象企業への投資額全額 その年の株式譲渡益から控除 上限なし 10年未満 1/6以上
プレシード・シード特例 非課税 上限なし
(非課税となるのは20億円の出資までで、それを超える分は課税繰延)
5年未満 1/20以上

②株式売却時点:譲渡損失の繰越控除

未上場スタートアップ株式の売却により生じた損失を、その年の他の株式譲渡益と通算(相殺)できるだけでなく、その年に通算(相殺)しきれなかった損失については、翌年以降3年にわたって、順次株式譲渡益と通算(相殺)ができます。

※スタートアップが上場しないまま、破産、解散等をして株式の価値がなくなった場合にも、同様に翌年以降3年にわたって損失の繰越ができます。
※スタートアップへ投資した年に優遇措置を受けた場合には、その控除対象金額のうち、課税繰延分を取得価額から差し引いて売却損失を計算します。

有償新株予約権の取扱について(令和6年4月1日以降の新株予約権取得のみ対象)

令和6年度税制改正により、個人投資家が発行会社の株式を取得した時点(新株予約権の行使日)で、エンジェル税制の全ての要件を満たす場合、一定の新株予約権の取得に要した金額も、税制の対象である株式の取得に要した金額に含めることとされました。
ここで、一定の新株予約権とは、その取得時に払込みを行う新株予約権(いわゆる有償新株予約権であり、J-KISS等)です。

なお、2024年4月1日以降に新株予約権を取得した場合のみ対象となりますので、ご注意ください。(2024年3月31日以前に権利取得した場合は対象となりません。)

また、経済産業大臣の認定を受けた少額電子募集取扱業者(ECF)経由の投資について、当該事業者が確認書を発行する場合は、令和6年度税制改正による本措置の適用を受けることはできませんのでご注意ください。

投資から確定申告まで

エンジェル税制を利用するためには、まず、スタートアップが都道府県等へエンジェル税制適用対象企業であること、投資が行われたこと等の確認申請を行います。 申請を受けた都道府県等は、確認後、スタートアップへ『確認書』を交付します。この確認書をスタートアップは投資家へ提出し、投資家が確認書を確定申告の際に税務署へ提出して手続きが完了します。

直接投資の場合

個人が直接スタートアップの株式を取得する場合はこちらになります。
(経済産業省の認定を受けていない投資事業有限責任組合経由も含みます)
事前確認制度を利用する場合としない場合で申請手続きが異なります。下の例は事前確認制度を利用する場合です。

直接投資の場合のフロー図

認定投資事業有限責任組合(LPS)経由による取得の場合

経済産業大臣の認定を受けた投資事業有限責任組合を経由した場合はこちらになります。

LPS経由またはECFの電子募集取扱業務による取得の場合のフロー図

認定少額電子募集取扱業者(ECF)の電子募集取扱業務による取得の場合

経済産業大臣の認定を受けた認定少額電子募集取扱業者の株式投資型クラウドファンディングにより株式を取得した場合はこちらになります。

LPS経由またはECFの電子募集取扱業務による取得の場合のフロー図

エンジェル税制の活用事例

想定されるエンジェル税制の活用事例をご紹介します。

お問合せ先

エンジェル税制について、疑問や質問がある方は、以下をご確認の上、お気軽にお問合せください。

最終更新日:2025年4月1日