■アジア諸国の取り組み事例 |
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●フィリピン |
1. |
廃棄物行政・関連法規制 |
廃棄物に関係する法令としては、1975年の大統領令第825号(PD825 ; Providing Penalty for Improper Disposal of Garbage and Other Forms of Uncleanness and for Other Purposes)が廃棄物の不法投棄に関する罰則を定め、同第856号衛生法規(PD856 ; Code on Sanitation)が地方自治体の廃棄物の処理責任を規定している。この第856号では、ごみ処理等の基準を定め、1977年制定の大統領令第1152号では、廃棄物処理計画及び廃棄物処理の方法を規定している。 産業廃棄物については、共和国令第6969号(Republic Act ; RA6969 ; Toxic Substances and Hazardous and Nuclear Wastes Control Act of 1990)が1990年に制定された。 2001年には「環境適合的固形廃棄物管理法(共和国法No.9003)」(Ecological Solid Waste Management Act of 2000)が制定され、以下の内容が規定されている。 ○ 環境適合的固形廃棄物管理法の規定事項
- 固形廃棄物管理計画実行の監督と政策策定を任務とする国家固形廃棄物管理委員会(NSWMC)を設置
- 全国エコロジー・センターをNCWMCのもとに設置
- 共和国法第7160または地方自治体規程として知られる同法の当該条項により地方自治体(LGUs)は、それぞれの管轄内においてESWMAの条項の実行・施行に主要責任を負う
- 固形廃棄物の分別・収集は、特に土壌還元・堆肥生成・再使用が可能な廃棄物については、バランガイ(barangay:地方自治体の最小単位)単位で実施し、再利用不可の素材や特殊廃棄物の回収は、市町村の責任とする
- 国内の全州に州知事が議長を勤める州固形廃棄物管理委員会を設置し、担当地域の州固形廃棄物管理計画の開発をその任務とする。同様に、市町村の固形廃棄物管理委員会を設置する
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2. |
廃棄物処理・リサイクル状況 |
(1) |
廃棄物の発生状況 |
2000年におけるフィリピンの廃棄物発生量および2010年の推定量は下表のとおりとなっている。
表 フィリピンの廃棄物発生量
廃棄物発生率:国家首都圏:0.71kg/人/日、都市部:0.5kg/人/日、郊外:0.3kg:/人/日と想定して算出 都市人口は、所得水準の向上により毎年1%ずつ廃棄物発生量を増加させていると考えられる(GHK/MRM 国際報告に基づく)。 都市人口、郊外人口及び地域別生長率は国家統計質2000年データに基づく。 出所:World Bank Office, Manila “Philippines Environment Monitor 2001”
地域 |
2000年 |
2010年 |
100万トン/年 |
合計(%) |
100万トン/年 |
合計(%) |
国家首都圏 |
2.45 |
23 |
3.14 |
22.3 |
全国 |
10.67 |
100 |
14.05 |
100 |
フィリピンでは、経済発展と人口増加による廃棄物発生量の増加が問題となっている。環境資源省(DENR:Department of Environment and Natural Resources)によると、マニラ首都圏での都市ごみ発生量は6,720トン/日であり、そのうち83%が収集されている。廃棄物発生量は毎年1%以上の増加率となっている。 |
(2) |
リサイクルへの取組み |
廃棄物処理は地方自治体が行うことになっているが、実際には、民間の回収会社が地方自治体の請負業者として廃棄物の回収・輸送を行っている。環境適合的固形廃棄物管理法の成立により、廃棄物の削減、リサイクルなどを含む廃棄物管理が推進されている。 50のモデル地方自治体(LGUs)を指定し、LGUsが環境適合的固体廃棄物管理法に沿って固体廃棄物管理を実施していくための事業を行っている。これらモデル事業では、排出元での分別、分別収集、各バランガイへのリサイクル施設設置、堆肥化施設の設置を推進している。 |
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