[令和6年12月26日]火薬類取締法施行規則の一部を改正する省令等について
本件の概要
2024年12月26日
火薬類取締法施行規則の一部を改正する省令等について
(技術基準の見直し)
1.背景
火薬類(火薬、爆薬、火工品)は、その有する爆発・燃焼という危険性から、火薬類取締法において、製造、販売、貯蔵、運搬、消費その他の取扱いについて規制されているが、火薬類を取り巻く技術の進歩や環境の変化、社会のニーズ等に応じ、安全を確保しつつ技術基準の見直しを行っている。
今般、火薬小委員会における審議等を通して「火薬庫等の変更工事における軽微な変更の工事の追加」や「片側垂直土堤の追加」、「安定度試験の見直し」について技術基準を見直しても保安に支障がないことが確認されたため、省令・告示等の改正を行うとともに、引用法令の条項ずれや規制内容に齟齬を生じているものについて所要の改正を行うもの。
2.概要
(1)火薬類取締法施行規則の一部改正
①軽微な変更の工事の追加
火薬庫等の変更工事を行う場合は、変更工事に係る許可を受けた後工事に着手するところ、火薬類による危害発生のリスクに鑑み、一部の工事については「軽微な変更の工事」として工事完了後の届出による手続きが可能となっている。火薬類による危害の防止を図りつつ、照明設備のLED化の導入ニーズ等に対し、軽微な変更の工事の対象の追加を行う。
(施行規則:第8条第1項第1号の2及び第1号の3、第14条第1項第1号及び第1号の2)
②内面が90度(垂直)の土堤の追加
火薬庫等は、火薬類が万一爆発した場合の危害の低減を図るために土堤の設置を義務づけているが、堤面角度45度の土堤が占有する面積は大きく、新たな施設建設を困難とする大きな要因の一つとなっていることから、保安上支障のない範囲においてその占有面積を縮小する方策として、これまでの土堤と同等以上の性能を有することを前提に、内面が垂直かつ土以外の材質等、新たな土堤を設置するための改正を行う。
(施行規則:第31条第4号、第4号の4、第5号、第6号、第7号及び第8号、第31条の2第1項、第1条の6第1項及び第4項、第1条の7、別表第2第16項第4号の4から第8号、第17項第1号、別表第4第16項第4号の4から第8号、第17項第1号)
③火薬類の安定度試験に関する技術基準の見直し
火薬又は爆薬を輸入した者、又は製造後一定の期間が経過した火薬又は爆薬を所有する者は、その火薬又は爆薬について、含有している硝酸エステルが経時変化することにより硝酸等の窒素酸化物が発生し、反応熱の蓄積により火薬類内部の温度が上昇して自然発火すること等を防止するために、安定度試験を行うこととなっている。一方で、硝酸エステルを含有しない爆薬は、強酸により爆薬が分解されることがあったとしても、それは局部的であり、ニトロ化合物のような爆薬が自然発火に至るまでの工程を経て温度が上昇することは考え難いため、当該爆薬に対する安定度試験を実施すべき期間を緩和するとともに、輸入火薬の国内製造火薬類と同等の試験内容への変更、JIS規格に則した安定度試験方法の指定や新たな耐熱試験方法の追加等を行う。
(施行規則:第57条から第63条)
④住民基本台帳法の改正に伴う見直し
火薬類取締法施行規則において引用している住民基本台帳法の条項について、平成25年法律第28号による住民基本台帳法の一部改正に伴い現行法の条項に合わせて改正を行う。
(施行規則:第78条第2項及び第3項)
(2)火薬庫の所属する事業所の事業の用に供する施設たる保安物件に対してとるべき保安距離の告示の改正
最大貯蔵量が0.2トン以下の火薬庫について、事業所の用に供する第3種、4種保安物件に対して取るべき距離が、事業所外のそれよりも長い距離を要することとなっているため、火薬庫(0.2トン以下の貯蔵量)からもっぱら当該火薬庫の所属する事業所の事業の用に供する第3種、第4種保安物件に対してとるべき距離について、現状所外物件に対してとるべき保安距離と同等の距離を確保するべく、火薬庫からもつぱら当該火薬庫の所属する事業所の事業の用に供する施設たる保安物件に対してとるべき保安距離を定めた告示(昭和49年通商産業省告示第59号)について所要の改正を行う。
(3)安定度試験機器等を指定する告示の廃止
上記(1)③の施行規則の改正において、安定度試験に使用する機器等はJIS規格に則したものとすることとなったため、試験機器等を告示で定めるとしていた施行規則第63条は削除することとなった。
これに伴い、安定度試験用の遊離酸試験器等を指定する告示(平成7年通商産業省告示第707号)を廃止することとする。
【令和6年1月17日追記】省令・告示の改正に合わせ、「火薬類取締法施行規則の機能性基準の運用について」の一部改正を行いました。
- 火薬類取締法施行規則の一部を改正する省令(PDF形式:413KB)
- 火薬類取締法施行規則第二十三条第四項及び第六項の規定に基づくがん具煙火貯蔵庫に係る防火壁の基準及び火薬庫からもつぱら当該火薬庫の所属する事業所の事業の用に供する施設たる保安物件に対してとるべき保安距離(昭和四十九年通商産業省告示第五十九号)の一部を改正する告示(PDF形式:376KB)
- 平成七年通商産業省告示第七百七号(火薬類取締法施行規則第六十三条の規定による安定度試験用の遊離酸試験器等)を廃止する告示(PDF形式:31KB)
- 「火薬類取締法施行規則の機能性基準の運用について」の一部改正について(PDF形式:1,229KB)
お問い合わせ先
経済産業省 産業保安・安全グループ 鉱山・火薬類監理官付
電話:03-3501-1511(内線4961)