経済産業省
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規制対象の見直しや新冷媒の普及に向けた規制見直しなど

1.高圧ガス保安のスマート化に向けた検討・改正について

  昨今、高圧ガスの安全な利用技術や新たなガス開発が進展している中、このような動向を踏まえ、効率的・効果的な規制とよう所要の検討、見直しを行います。
 具体的には、平成28年3月に、産業構造審議会保安分科会高圧ガス小委員会にて、高圧ガス保安のスマート化のための報告書が取りまとめられており、新技術等の出現・普及に円滑に対応する制度への見直しを行うため、高圧ガス保安法施行令の他関係法令の改正をしました。

2.平成28年11月1日改正について

 高圧ガス保安のスマート化を行うため、平成28年11月1日に、規制対象の見直しや新冷媒の普及に向けた規制見直しなどについて、以下の高圧ガス関連法規の改正を行いました。
 

(1)高圧ガス保安法施行令の一部を改正する政令(平成28年10月25日閣議決定、平成28年10月28日公布、平成28年11月1日施行(新認定事業者制度については平成29年4月1日))

  • 高圧ガスを巡る安全・環境技術は日々進歩しており、新技術を活かした製品や検査手法の開発・投入も着実に進んでいます。こうした中、高圧ガスの製造・販売等を規制する高圧ガス保安法について、所要の政令改正を行い、より効率的・効果的な規制とすることで、安全レベルの維持・向上とイノベーションの一層の促進を目指します。
  • 具体的には、①少量の高圧ガスを利用する製品(エアバッグ等)の適用除外、②環境負荷の小さい微燃性の新冷媒の利用手続の簡素化、③IoT等により高度な自主保安を行うプラントを対象とした自主検査の有効期限の延長、を行います。

(2)容器保安規則等の一部を改正する省令(平成28年11月1日公布、施行)

  • 地球温暖化係数の低い新たな冷媒の普及を促進するため、地球温暖化係数が低いフルオロカーボンのうち燃焼性がわずかにある新冷媒(フルオロカーボン32、フルオロオレフィン1234yf、フルオロオレフィン1234ze)について、一定の要件を課すことで不活性ガス(これらの3つのガスを「特定不活性ガス」としております。)扱いとし、さらに、これまで整備されていなかった冷凍設備及び新冷媒を製造する設備や充塡するための設備の技術基準を新たに整備しました。
  • 様々な形態の水素スタンドの導入を可能とするため、これまで小規模水素スタンドの技術基準にのみ整備していた水電解水素発生昇圧装置の基準について、大規模水素スタンド用の技術基準を新たに整備するとともに、これまで整備していなかった高圧ガス設備を地盤面下に設置するための技術基準を整備しました。
  • 毒性ガスとして掲名してあるガス以外のガスについては、これまで、毒性ガスとして規制する対象に係る指標を、じょ限量としておりました。しかしながら、長時間の漏えいを前提とする慢性毒性の考え方を、長時間の漏えいを許容していない高圧法において指標とすることは適当でないことから、今後、急性毒性の観点から毒性ガスを規定することとし、「毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)第2条で規定する毒物」を毒性ガスの指標と致します。
  • スクーバダイビング呼吸用として用いられる、空気より酸素の濃度が高いガス(いわゆるナイトロックス)は、酸素濃度100%のガスと同様に、販売主任者の選任が必要となっているが、当該ガスは、十分な使用実績があり、事故の発生も見られないことから、酸素濃度40%未満であるスクーバダイビング呼吸用のガスについては、通常の空気と同様に販売主任者の選任を不要と致します。
  • その他、冷凍設備の指定設備認定が無効にならない工事の見直し、容器を移動する際の基準に係る緩和要件の変更などの改正を行いました。

(3)製造施設の位置、構造及び設備並びに製造の方法等に関する技術基準の細目を定める告示及び高圧ガス保安法施行令関係告示の一部を改正する告示(平成28年11月1日公布、施行)

  • 地球温暖化係数の低い新たな冷媒の普及を促進するため、地球温暖化係数が低いフルオロカーボンのうち燃焼性がわずかにある新冷媒(フルオロカーボン32、フルオロオレフィン1234yf、フルオロオレフィン1234ze)について、省令の改正により、不活性ガスの一部とし特定不活性ガスとして位置づけることとしました。これに伴い、告示で定める個別の措置について、次の項目について所要の改正を行いました。
    • 特定不活性ガスを製造する設備の技術基準の整備
    • 人体用エアゾールの噴射剤として使用することができる可燃性ガスの見直し
    • 適用除外の対象となるフルオロカーボン回収装置内の高圧ガスの見直し
    • 適用除外の対象となるエアゾール製品等の表示の見直し
  • 政令の改正により、設備内の高圧ガスの容積が0.15m3以下のうち経済産業大臣が定めるガスは、高圧ガス保安法の適用除外となります。改正政令に基づき、以下の高圧ガスを適用除外の対象として定めることとしました。具体的な要件については告示を参照してください。
    • 分析機器内の高圧ガス
    • エアバックガス発生器内における高圧ガス
    • 空気銃、準空気銃及び放水銃並びにこれらに充塡するための設備内における高圧ガス
    • 冷凍設備へ高圧ガスを充塡するための設備内における高圧ガス

(4)高圧ガス保安法及び関係政省令の運用及び解釈について(内規)一部を改正する規程(平成28年11月1日施行)

  • 高圧ガスの処理量の合算規定の見直しとして、同一事業所内における独立非連結の処理量100m3以下の設備等について合算しなくてもよいこととします
  • 高圧ガスの貯蔵量の合算規定の見直しとして、容器間に障壁等がある場合等の合算すべき距離について明確化しました。
  • 液化ガスの対象の再整理を踏まえた見直しとして、大気圧下の沸点が40℃を超える液体が、実際の圧力が1メガパルカルを超える場合が液化ガスとなり、当該液化ガスの蒸気圧が0.2メガパスカルを超える場合を高圧ガスの対象と致します。
  • 毒性ガスの対象の再整理を踏まえた見直しとして、省令改正にて、掲名しているガス以外のガスについて、急性毒性の観点から毒劇法の毒物として定義したことに伴い、高圧法の対象となる毒性ガスの解釈を明確化しました。
  • 新冷媒の普及に向けた規制の見直しを踏まえた対応として、保安用不活性ガスの定義について明確化しました。
  • 法の適用除外となる設備について、その対象を明確化などしました。
  • その他、省令改正による冷凍設備の指定設備認定が無効とならない工事の見直し、水素スタンドの技術基準の見直しに伴い、所要の改正を行いました。

(5)一般高圧ガス保安規則の機能性基準の運用について等の一部を改正する規程(平成28年11月1日施行)

  • 今般、地球温暖化係数の低い新たな冷媒の普及を促進するため、地球温暖化係数が低いフルオロカーボンのうち燃焼性がわずかにある新冷媒(フルオロカーボン32、フルオロオレフィン1234yf、フルオロオレフィン1234ze)について、省令改正を行うことにより、新冷媒の冷凍設備及び製造設備の技術上の基準を整備することから、一般則例示基準、コンビ則例示基準及び冷凍則例示基準について改正を行う。
  • また、水素スタンドの技術上の基準についても、水電解水素発生昇圧装置の技術上の基準の整備等を行う省令改正に伴い、一般則例示基準及びコンビ則例示基準を改正する。加えて、水素スタンドで使用可能な鋼材(耐熱鋼の温度条件の拡大)に係る性能基準を整備するために、一般則例示基準、コンビ則例示基準及び特定則例示基準について改正を行う。

(6)指定設備の認定要領について(平成28年11月1日施行)

  • 今般、冷凍保安規則(昭和41年通商産業省令第51号)の改正により、特定不活性ガスを冷媒とする冷凍設備には、冷媒が漏えいした際に滞留しないような構造を求めていることから、指定設備通達についても、所要の改正を行う。
  • なお、現行指定設備通達は通商産業省立地環境局の番号の通達であることから、当該通達を廃止し、新たに制定し直すこととする。

(7)高圧ガス保安法施行令関係告示(平成9年通商産業省告示第139号)第2条の運用及び解釈についての一部を改正する規程(平成28年11月1日施行)

  • 今般、告示が改正され、高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)の適用除外となるフルオロカーボン回収装置に特定不活性ガス回収装置が追加されたことに伴い、当該運用及び解釈の改正を行う。

(8)高圧ガス保安法の適用除外となるエアゾール製品等の通関の際における取扱いについて(平成28年11月1日施行)

  • 今般、省令改正により可燃性ガス及び毒性ガスの定義が見直されたこと並びに財務省関税局による通関のペーパレス化に対応するため、エアゾール通達の見直しを行う。
  • なお、今回の見直しにあたり、現行エアゾール通達は通商産業省立地環境局の番号の通達であることから、当該通達を廃止し、新たに制定し直すこととする。廃止された通達に基づく成績書又はその写しが添付されているエアゾール製品等については、従前どおり、適用除外品とみなします。

(9)高圧ガスを封入した緩衝装置、自動車用エアバッグガス発生器又は消火器に係る輸入の通関の際における取扱いについての一部を改正する規程(平成28年11月1日施行)

  • 今般、省令改正により、新たに輸入検査の適用除外となる高圧ガスとして、航空法第10条の規定に適合する耐空証明を有する容器内の高圧ガスを追加することから、輸入適用除外通達の所要の改正を行う。
  • また、告示改正により、容積0.15m3以下のエアバッグ発生器は適用除外となるため、輸入適用除外通達にて通関の確認が必要となるエアバッグ発生器を0.15m3超の自動車用エアバッグ発生器として、所要の改正を行う。

(10)平成28年11月1日改正に関する解説及びQ&Aについて

お問合せ先

商務流通保安グループ 高圧ガス保安室
電話:03-3501-1511(内線)4951~4955

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