スタートアップ企業と事業会社の連携

概要

大企業とスタートアップの連携により、チャレンジ精神のある人材の育成や活用を図り、我が国の競争力を更に向上させることが重要です。しかし、大企業とスタートアップが連携するに当たり、スタートアップからは、大企業と共同研究すると、特許権が大企業に独占されたり、周辺の特許を大企業に囲い込まれたりする、といった偏った契約実態を指摘する声がありました。

このような現状を踏まえ、経済産業省では、以下(1)~(3)の取組を実施しています。また、大企業とスタートアップの連携を通じて双方が大きく成長した事例を増やすべく、大企業によるスタートアップの製品・サービスの調達・購買の戦略的活用に着目し、以下(4)の取組も実施しています。

 

(1)スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針
公正取引委員会と共同して、スタートアップと連携事業者との間であるべき契約の姿・考え方を示すことを目的として、指針を策定しました。(2021年3月29日公表)
その後、出資に係る取引慣行の重要性を鑑み、「スタートアップとの事業連携に関する指針」を改正し、スタートアップと出資者との契約の適正化に向けて、「スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針」を策定しました。(2022年3月31日公表)

(2)研究開発型スタートアップ支援事業と事業会社とのオープンイノベーション促進のためのモデル契約書
特許庁と共同して、研究開発型スタートアップと事業会社の連携を促進するため、共同研究契約やライセンス契約などを交渉する際に留意すべきポイントについて解説した「モデル契約書ver1.0」を取りまとめました。(2020年6月30日)
更に、大学と研究開発型スタートアップ、大学と事業会社の連携を促進するため、新たに『モデル契約書(大学編)』を取りまとめました。また、モデル契約書(新素材編・AI編)について、利便性を高め、より契約実務に馴染むように改訂(ver2.0)しました。(2022年3月18日)

(3)事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き
事業会社と研究開発型スタートアップ企業による連携が上手く進んでいない現状を踏まえ、連携のための手引きを策定しました。(第三版:2019年4月22日公表)

(4)共創パートナーシップ 調達・購買ガイドライン
スタートアップの製品・サービスの調達・購買を通したオープンイノベーション促進のための、「共創パートナーシップ 調達・購買ガイドライン」を策定しました。併せて、具体的・実務的な活用を促進するため、「初期購買趣意書」及び「共創パートナーシップ 初期購買モデル契約書」を策定しました。(2025年4月22日公表)
※本ガイドライン等は、国立研究開発法人 新エネルギ―・産業技術総合開発機構(NEDO)「令和6年度『ディープテック・スタートアップの成長に資する事業会社との新たな協業に必要なモデル・手法等に関する調査』事業」において有識者等による研究会を立ち上げ、取りまとめたものを基に作成しました。

(1)スタートアップとの事業連携及びスタートアップへの出資に関する指針

主な特徴

スタートアップとの事業連携に関する指針では、NDA(Non Disclosure Agreement)、PoC(Proof of Concept)契約、共同研究契約、ライセンス契約の4つの契約に着目し、これらの契約において生じる問題事例とその事例に対する独占禁止法上の考え方を整理するとともに、それらの具体的改善の方向として、問題の背景及び解決の方向性を示しています。また、スタートアップへの出資に関する指針では、公正取引委員会の実態調査で明らかとなった出資契約に係る問題について、公正取引委員会が独占禁止法上の考え方等を示し、経済産業省が解決の方向性等を示しています。
本指針を通じて、契約や交渉に係るスキルが向上するのみならず、スタートアップと連携事業者の双方において、公平で継続的な関係を基礎としたオープンイノベーションが促進されることを期待します。また、事業者の独占禁止法違反行為の未然防止等に役立てるとともに、引き続き、独占禁止法を適正に運用してまいります。

   

参考情報

(2)研究開発型スタートアップと事業会社のオープンイノベーション促進のためのモデル契約書

主な特徴

  1. 共同研究開発の連携プロセスの時系列に沿って必要となる、秘密保持契約、PoC(技術検証)契約、共同研究開発契約、ライセンス契約に関するモデル契約書を提示しています。
  2. 仮想の取引事例を設定して、契約書の取り決め内容を具体化することで、交渉の勘所を学ぶことができます。
  3. 契約書の文言の意味を逐条解説で補足することで、当該記載を欠いた場合の法的リスクなど、契約に潜むビジネスリスクへの理解を深めることができます。


ダウンロード方法

 

モデル契約書の改訂について

特許庁および経済産業省では、モデル契約書の改訂にむけた作業を実施しています。
今回の改訂プロセスでは、モデル契約書のユーザー及び現在ユーザーではない方々とも広くコミュニケーションを行い、改善に向けたフィードバックを受けることを目的として、オープンな場で不特定多数が編集に携わることが出来るシステムの1つであるGitHub(注1)を用いた意見募集を実施しました。
(注1)GitHubとは、ソフトウェア開発のためのプラットフォームです。GitHub上には、様々なオープンソースソフトウェアが公開され、不特定多数の人たちが当該プログラムの開発に携わることができます。詳細は、こちらを御覧ください。
 
第1回 2021年5月17日~6月18日(終了) モデル契約書(新素材編、AI編)条文の修正内容とその背景について募集しました。
皆様のご意見を踏まえて、Markdown方式のモデル契約書作成、新たな論点での意見募集、ワークショップの開催等を実施しました。
第2回 2021年9月8日~10月29日(終了) モデル契約書(新素材編、AI編)条文の修正内容とその背景について募集しました。
第1回の改善点を踏まえて、ご意見をより有効なものとするため、Pull requestsによる意見提出ではなく、Issuesにより議論した上で、取りまとめます。

参考情報

(3)事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き

主な特徴

研究開発型ベンチャー企業と事業会社の連携を阻む「壁」が何であるかを明らかにした上で、そうした壁を乗り越えるための方策を双方が理解し、「共通言語」として広めることで連携を促進したいとの問題意識から、「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き」を作成しています。
初版では、事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携の実態や課題、先行事例等をアンケートやヒアリングを通じて調査し、産業界、学術界などの専門家の協力を得て分析を行いました。(2017年5月18日)
第二版では、特に事業会社側の課題にフォーカスし、企業ヒアリング、国内外の事例調査等を実施するとともに事業会社の社外連携責任者、ベンチャー企業の役員、大学関係者、法務・知財の専門家と共に検討を行いました。(2018年6月27日)
第三版では、さらに連携を進める方法の一つとしてコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)に焦点をあて、国内外の事例調査等を実施するとともに事業会社の社外連携責任者、ベンチャー企業の役員、大学関係者、法務・知財の専門家と共に検討を行いました。(2019年4月22日)
 

ダウンロード方法

以下のURLよりご参照ください。

(4)共創パートナーシップ 調達・購買ガイドライン

主な特徴

  1. 事業会社とスタートアップの協業手法のうち、スタートアップの製品・サービスの調達・購買を通したオープンイノベーション手法に注目する背景やメリットについて整理しています。
  2. スタートアップの製品・サービスの調達・購買を通したオープンイノベーション手法について、先行事例・インタビュー調査・有識者等による研究会での協議を通じて導出した想定論点、その解決に向けた考え方や望ましい在り方(プロセス・推進体制など)を整理しています。
  3. スタートアップの製品・サービスの初期購買・検証を行う際に活用できる「初期購買趣意書」及び「共創パートナーシップ 初期購買モデル契約書」について、概要や活用方法、ポイントとなる内容について整理しています。
 

ダウンロード方法

以下のURLよりご参照ください。

お問合せ先

イノベーション・環境局 イノベーション創出新事業推進課長 桑原
担当者:池谷、坂口
電話:03-3501-1628(内線 2536~2539)
メール:bzl-su-deeptech★meti.go.jp
    ★を@に変えて送付ください。
 

最終更新日:2025年5月1日