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「製品事故」の定義

「製品事故」とは

消安法第2条第5項において、『製品事故』とは、消費生活用製品の使用に伴い生じた事故のうち、

  1. 一般消費者の生命又は身体に対する危害が発生した事故
  2. 消費生活用製品が滅失し、又はき損した事故であって、一般消費者の生命又は身体に対する危害が発生するおそれのあるもの

のいずれかに該当するものであって、消費生活用製品の欠陥によって生じたものでないことが明らかな事故以外のもの(他の法律の規定によって危害の発生及び拡大を防止することができると認められる事故として政令で定めるものを除く。)と規定されています。
「消費生活用製品の欠陥によって生じたものでないことが明らかな事故以外のもの」とは、製品の欠陥によって生じた事故でないことが誰の目から見ても明々白々な事故は、この法律における製品事故には該当しないということです。

例えば、

  1. 包丁という消費生活用製品を使用して、故意に人体に危害を加えたような場合
  2. 自転車という消費生活用製品を使用して、背後から来た自動車に追突され転倒し大けがをを負ったような場合(すなわち、使用している消費生活用製品は健全に機能しているが、当該製品とは関係ない原因事故が誘発された場合)

については、消安法の製品事故には該当しません。ただし、この「消費生活用製品の欠陥によって生じたものでないことが明らかな事故以外のもの」には、製品の欠陥によって生じた事故は勿論ですが、製品の欠陥によって生じた事故か不明なものも、消安法における製品事故に含まれることを意味しますので十分に注意が必要です。

他方、「消費生活用製品の欠陥によって生じたものでないことが明らかな事故」かどうかを判断することは極めて難しい場合があります。例えば、消費者による消費生活用製品の誤使用や目的外使用によって引き起こされた事故は、それが本当に製品の欠陥によって生じた事故ではないことが明白な事故か否か、極めて慎重に個別の事故事例で判断することが求められ、事故原因を安易に消費者の過失であると結論付けることは避けなければなりません。

【事故事例】家庭用シュレッダー事故

例えば、ホームセンターで売られている比較的安価なシュレッダーにおいて、家庭で子供の手指を切断するといった事故がありましたが、これを単に使用者の誤使用(過失)と判断して、消安法の製品事故ではないと結論付けることは極めて早計な判断であり不適切です。
なぜなら、メーカーは、個人情報保護法の施行などを背景に、家庭でのシュレッダーの需要が増加していることを知って、家庭で使用されていることを把握していながら、製品の仕様(投入口の幅や投入口から刃の位置)については業務用の仕様を改めることなく、子供などがいる家庭での使用を考慮した設計・製造の変更をせずに売り続けました。この結果、投入口が幅広で、また、刃の位置も子供の手でも十分届く位置にあり、また、投入口の材質が柔らかく、たわんで指が入るなど、製品の欠陥がないことが明白とは必ずしもいえません。したがって、こうした事例は、消安法における製品事故に該当すると判断することとなります。
安易に、子供の行動を常に監視していない使用者(親)の誤使用であると結論付けることは、適切な判断とはいえません。

また、製品の欠陥については、民事上の賠償ルールである製造物責任法(PL法)と、国による安全規制である消安法とでは、その捉え方に若干の違いがあります。すなわち、製造物責任法(PL法)においては、製品の出荷時における技術水準等を考慮して、当該製品が通常有すべき安全性を欠いていることを「欠陥」と捉えているのに対して、消安法においては、製品の不具合が生じた時点において、当該製品が通常有すべき安全性を欠いていることを「欠陥」と捉えています。
なお、欠陥の類型としては、一般的に、

  1. 製造上の欠陥(製品の製造過程で粗悪な材料が混入したり、製品の組立に誤りがあったなどの原因により、製品が設計・仕様どおりに作られず安全性を欠くような場合)
  2. 設計上の欠陥(製品の設計段階で十分に安全性に配慮していなかったために、製造される製品全体が安全性に欠ける結果になるような場合)
  3. 指示・警告上の欠陥(有用性ないし効用との関係で除去し得ない危険性が存在する製品について、その危険性の発現による事故を消費者側で防止・回避するに適切な情報を製造事業者等が分かり易い方法で与えなかったような場合)

が含まれます。

最終更新日:2017年4月3日
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