第1節 日米経済対話
安倍総理は2017年2月10日ワシントンDCにおいて、英国のメイ首相に次ぎ、外国の首脳としては2番目となる早さで、トランプ米大統領との首脳会談を行った。
会談において、両首脳は、今後、日米経済関係を更に大きく飛躍させ、日米両国、アジア太平洋地域、ひいては世界の力強い経済成長をリードしていくために対話と協力を更に深めていくことで一致し、麻生副総理とペンス副大統領の下で日米経済対話を立ち上げることを決定した。さらに、首脳会談後のワーキングランチにおいて、日米経済対話では、経済政策、インフラ投資やエネルギー分野での協力、貿易・投資ルールの3つを柱とすることで一致した。
2017年4月18日には、麻生副総理とペンス米副大統領を議長とする、日米経済対話初回会合が東京にて開催された(第Ⅲ-1-1-1図)。両議長は、日米経済対話を、貿易及び投資のルール/課題に関する共通戦略、経済及び構造政策分野での協力、及び分野別協力の3つの政策の柱に沿って構成することで一致し、自由で公正なルールに基づく貿易と投資は、日米のみならず、世界経済の成長と繁栄を実現するための不可欠の価値であり、行動原則であることを確認した。また、両議長は、第2回目となる次回会合を2017年内の双方の都合の良い時期に、米国にて開催することでも一致した。
第Ⅲ-1-1-1図 日米経済対話
参考 共同声明(2017年2月10日) 日米経済関係部分抜粋
日米経済関係
日本及び米国は、世界のGDPの30パーセントを占め、力強い世界経済の維持、金融の安定性の確保及び雇用機会の増大という利益を共有する。これらの利益を促進するために、総理及び大統領は、国内及び世界の経済需要を強化するために相互補完的な財政、金融及び構造政策という3本の矢のアプローチを用いていくとのコミットメントを再確認した。
両首脳は、各々の経済が直面する機会及び課題、また、両国、アジア太平洋地域及び世界における包摂的成長及び繁栄を促進する必要性について議論した。両首脳は、自由で公正な貿易のルールに基づいて、日米両国間及び地域における経済関係を強化することに引き続き完全にコミットしていることを強調した。これは、アジア太平洋地域における、貿易及び投資に関する高い基準の設定、市場障壁の削減、また、経済及び雇用の成長の機会の拡大を含むものである。
日本及び米国は、両国間の貿易・投資関係双方の深化と、アジア太平洋地域における貿易、経済成長及び高い基準の促進に向けた両国の継続的努力の重要性を再確認した。この目的のため、また、米国が環太平洋パートナーシップ(TPP)から離脱した点に留意し、両首脳は、これらの共有された目的を達成するための最善の方法を探求することを誓約した。これには、日米間で二国間の枠組みに関して議論を行うこと、また、日本が既存のイニシアティブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することを含む。
さらに、両首脳は、日本及び米国の相互の経済的利益を促進する様々な分野にわたる協力を探求していくことにつき関心を表明した。
両首脳は、上記及びその他の課題を議論するための経済対話に両国が従事することを決定した。また、両首脳は、地域及び国際場裏における協力を継続する意図も再確認した。
参考 麻生日本国副総理とペンス米国副大統領による日米経済対話に関する共同プレス・リリース(2017年4月18日)
本日、麻生副総理とペンス副大統領は、日米経済対話の立ち上げのため、東京にて会談を行った。2月にワシントンDCで会談を行った際に、安倍晋三内閣総理大臣とドナルド・J・トランプ大統領は、日米両国間に存在する強固な経済的な絆の深化に向けた取組として本経済対話に一致した。
両議長は、経済対話を、貿易及び投資のルール/課題に関する共通戦略、経済及び構造政策分野での協力、及び分野別協力の3つの政策の柱に沿って構成することで一致した。両議長は、本対話が近いうちに具体的な成果をもたらすことで一致した。
副総理と副大統領は、本年末までに再び本対話を実施することを期待している。
両議長は、本経済対話の下に以下の3つの柱に基づく取組の立ち上げを承認した。
貿易及び投資のルール/課題に関する共通戦略
日米両国は、この柱において、高い貿易及び投資に関する基準についての二国間枠組み、地域及び世界の貿易環境における日米両国の貿易及び投資イニシアティブの視座、及び第三国に関する懸念への対処について取り上げることで一致した。
経済及び構造政策分野における協力
日米両国は、この柱において、G7による3本の矢のアプローチ(相互補完的な財政、金融及び構造政策)の積極的活用、グローバルな経済及び金融の進展及び課題に関する協力、及び地域におけるマクロ経済及び金融課題に関する協力について取り上げることで一致した。
分野別協力
日米両国は、商取引の向上が両国において相互の経済的利益及び雇用創出を促進する具体的な分野を議論した。