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第1章 拡大するデジタル貿易

現在、グローバル経済は3つの大きな転換点に直面している。1つ目はWTOに基づく自由貿易体制に対する挑戦、2つ目はデジタル貿易の拡大を含むデジタル変革の進展、そして3つ目は中国等の新興・途上国の台頭である。

昨年の通商白書では、特に上記転換点の1つ目に焦点をあて、BREXITや米大統領選挙の背景にある国内格差問題の現状や、貿易と格差の関係を分析した。今年の通商白書でも、第Ⅰ部において、米欧の通商政策の動向や、新興・途上国による地域経済連携強化に向けた動き等について分析を行っている。

第Ⅱ部では、上記転換点のうち残り2つをテーマとして取り上げる。まず、第1章では、世界で拡大するデジタル貿易について、現状を概括するとともに、デジタル貿易が抱える課題についても明らかにしていく。

また、第2章では、新興・途上国経済の台頭について、世界経済における新興・途上国の役割が大きく拡大してきていることを主要マクロ指標から確認するとともに、そうした新興・途上国の役割拡大と合わせて生じてきた素材産業の過剰生産能力問題について、中国の鉄鋼業及び半導体産業を例に分析していく。

さらに、第3章では、新興・途上国の中でも特に躍進著しく、急速に変化を遂げる中国経済について、伸び行く消費市場としての一面も含め、多面的に分析を試みる。

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