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第3節 APECを通じた地域経済統合の推進と経済成長の促進

パプアニューギニア(PNG)が議長を務めた2018年のAPEC閣僚会議・首脳会議では、いずれも全エコノミーによる成果文書発出の合意が得られなかったため、PNGが、議長の責任の下で閣僚会議及び首脳会議の議長声明をそれぞれ発出することとなった。両議長声明で言及された主な内容は次のとおり。貿易障壁といった一層顕著なリスクと不確実性の存在を認識し、自由で開かれた貿易及び投資というAPECの目標達成のための課題解決と取組へのコミットメントが再確認された。また、ルールに基づく枠組をもたらす、十分に機能するWTOと、既に存在又は顕在化しつつある世界的課題に対処するために必要なWTO改革を支持すること、及びあらゆる不公正な貿易慣行を含む保護主義と闘うことが確認された。加えて、自由で開かれた貿易・投資に関するボゴール目標達成へのコミットメントが改めて強調された。

デジタル貿易については、情報及びデータの自由な流通を正当な国内政策目的を認めつつ可能とすることの重要性が強調された。連結性・質の高いインフラについては、「質の高いインフラ」の重要性を再確認するとともに、「インフラ開発・投資の質に関するガイドブック」の改定及び「水インフラの質に関するガイドライン」の作成が歓迎された。

2019年はチリがAPECの議長を務め、全体テーマ「人々をつなぎ、未来を構築(Connecting People, Building the Future)」の下、(1)デジタル社会(Digital Society)、(2)統合4.0(Integration 4.0)、(3)女性、中小企業及び包摂的成長(Women, SMEs and Inclusive Growth)、(4)持続可能な成長(Sustainable Growth)の4つの優先課題に取り組んでいる。

我が国としては、2010年の「横浜ビジョン」を基礎とした議論の流れを着実に引き継ぐとの方針に基づき、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を始めとするアジア太平洋地域の経済統合の実現、質の高いインフラ開発・投資の促進、持続可能かつ包摂的な経済成長実現及び女性による経済活動への一層の参画を促進するための取組の実施などを通じ、この地域の力強い成長力を取り込みつつ、我が国の経済に豊かさと活力をもたらすことを目指す。また、WTO発足時には貿易投資ルールの対象として想定されていなかったデジタル貿易・電子商取引分野に関する具体的な取組を進めていくとともに、市場歪曲措置の是正やレベル・プレイング・フィールドの確保にも取り組む。さらに、「ボゴール目標」の最終期限である2020年以降の新たなAPECビジョンの形成に積極的に関与していく。

第Ⅲ-1-3-1図 APEC閣僚会議

第Ⅲ-1-3-2図 APEC首脳会議

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