経済産業省
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Ⅰ コロナショックと世界経済の状況

  • 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世界は戦後最悪の経済危機に直面。
  • この新型コロナウイルスの感染拡大による経済危機(コロナショック)の本質は、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの制限。感染拡大を抑制するために多くの国で感染の抑制を目的とした渡航制限や外出制限等が実施されたことに加え、国内においても人や物の交流が制限された。
  • コロナショックでは供給面からの経済停滞が発生。人同士のコミュニケーションの制限、人の移動の停滞により生産活動や物流が止まり、物資の不足が生じた。国際分業の進展により、国境を越えるサプライチェーンの途絶も発生。また、ロックダウン(都市封鎖)や営業自粛に伴って、不要不急のエンターテインメントサービスやレストランのイートイン営業も停止。
  • コロナショックでは、需要面からの経済停滞も発生。感染拡大の抑制のための外出制限や自粛、渡航制限の導入などに伴い、観光や宿泊、航空など、人同士が接点を持つ対面サービスでは前例の無い規模で需要が縮小。物についても耐久財の需要が急減。一方でオンライン消費や巣ごもり消費の拡大のように新たな消費の胎動も。
  • コロナショックは需給の両面のショックが相互作用して経済悪化が深刻化するものであり、主に供給面に影響した東日本大震災や主に需要面に影響した世界金融危機のような過去の経済危機とは異なる、全く新しい種類の経済ショックである。
  • さらに、コロナショックは所得・雇用面にも波及。対面接触を行うサービス業を中心に雇用へも大幅な影響を及ぼしており、米国では世界金融危機時を越え、1930年代の大恐慌時以来の失業率となっている。感染状況の先行きに関する不確実性や失業の増加、所得の低迷は、消費や投資を急速に縮小させ、危機の連鎖を生んでいる。
  • コロナショックによる需要減少は資源や金融市場にも影響を与えた。WTIの先物価格については、米国における貯蔵容量逼迫の懸念などから、一時-37.63ドルと史上最安値を記録した。その後、欧米諸国による経済活動再開の動きなどが見られる中で6月には原油価格は安定化している。原油市場の安定は非常に重要であり、生産国・消費国による認識の共有、協力が求められる。
  • 新型コロナウイルスの感染拡大は各国経済にも大きな影響をもたらしており、世界の人・物の動きや経済活動が強く制限されるなか、各国経済は前例のない低迷に陥っている。米国の失業率は戦後最高水準にまで達し、中国では初めてのマイナス成長となり、欧州ではGDPが2割減の国も見られる。
  • 新型コロナウイルスの感染は中国から欧米、新興・途上国へと深刻さを増しながら全世界に拡がっており、新興・途上国においても経済の停滞が見られ始めており、今後さらに深刻化の懸念。全世界で経済が低迷するという異次元の経済危機に発展している。感染と経済の両面において、国際協調の重要性を明らかに。

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