経済産業省
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第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題
第2章 ものづくり人材の確保と育成
第2節 人材育成に向けた取組

2.中小企業等の労働生産性の向上

(1)生産性向上人材育成支援センターの取組

生産性向上人材育成支援センター(以下「生産性センター」という。)は、中小企業等の労働生産性向上に向けた人材育成を支援することを目的として、2017年度から、機構が運営する全国のポリテクセンター・ポリテクカレッジ等(以下「機構各施設」という。)に設置された。

生産性センターでは、これまで機構各施設が行ってきた在職者訓練をはじめとする事業主支援業務の拡充・強化を図るとともに、中小企業等の労働者一人ひとりの生産性向上を支援するため、民間機関等を活用し、さまざまな分野の、幅広い職務階層の在職者を対象に、「生産管理」「品質管理」「マーケティング」など、企業の生産性向上に必要な知識やスキル等の習得を図る生産性向上支援訓練を実施している。生産性センターが実施する在職者訓練及び生産性向上支援訓練については、条件を満たせば、人材開発支援助成金(3(1)に後述)を受けることができ、本助成金の利用に必要な訓練実施計画の作成支援なども生産性センターが実施している。

コラム:生産性向上支援訓練を利用した品質管理の手法の習得・・・アズビル金門青森(株)

アズビル金門青森(株)(青森県青森市)は、アズビル金門株式会社の国内の生産拠点の一つとしてライフラインを支える水道メーターを製造している企業であり、水道メーターの国内トップメーカーとして日本全国の事業体へ納入実績を積み重ねている。

同社が製造している水道メーターは、常に高い品質水準が求められているため、生産ラインは自前で製作しているほか、2004年よりKPS(Kimmon Production System)改善活動を行い、工場における日々の改善活動に加え、現場指導会、自主研究会等を通じて、全社横断的な改善活動として展開している。「改善活動に終わりはない」という言葉を胸に、より高い次元の生産体制の実現と同時に、ものづくりに携わる社員一人ひとりが誇りを持つことのできる、明るく、楽しく、働き甲斐のある「夢工場」を目指しており、社員の人材育成にも積極的に取り組んでいる企業である。

松井代表取締役社長は、「当社製品の品質向上を図ることにより、製造工程でのやり直しやクレームの減少に繋げていきたいと日頃より考えていたところ、ポリテクセンター青森から生産性向上支援訓練の案内があり、受講を決めた。」と同訓練(品質管理実践)を利用したきっかけを話している。また、「訓練を利用した結果、初任層から中堅層の社員を対象にQC(Quality Control 品質管理)の基本から、QC手法による実践的な問題解決手法を習得させることができた。さらには、高品質な製品を製造していく上で大変重要である、社員一人ひとりの品質の向上についての意識を高めることができた。今後は、この訓練のグループワークで分析した、不具合の発生要因を解決するため、社員一体となり具体的な改善を図り、生産性の向上に繋げていきたいと考えている。」と抱負を語った。

写真: 水道メーター性能確認作業を行う永井さん

また、実際に訓練を受講した品質保証グループの永井 康生さんは、訓練受講の感想と今後の活用方法について、「所属している品質保証グループでは、製品の品質向上を目的として、各製造ラインの班長で構成する品質保証向上委員会を毎月主催し、毎月の工程内不良率や不具合について報告を行っている。各班長からは、工程内不良率や不具合のデータに関して様々な分析要望を頂いているが、これまで蓄積しているデータをうまく活用できなかったため、要望に応えきれていない部分があった。訓練を通してQC7つ道具を現場で活用する手法を学ぶことができたため、蓄積しているデータを幅広く活用し、現場の要望に応えられるのではないかと感じている。不具合が発生した場合の解決手法も学ぶことができたため、品質向上のために活用していきたい。」と語った。

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