経済産業省
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第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題
第2章 ものづくり人材の確保と育成
第2節 ものづくり産業における人材育成の取組について

6.キャリア形成支援

(1)キャリアコンサルティング

持続的な経済成長のため、労働者の適職の選択と主体的な職業能力開発を通じた生産性の向上が不可欠であり、キャリアコンサルティング注11に対する社会的期待が一層高まっている。

注11 キャリアコンサルティングとは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことを言う。

2016年4月よりキャリアコンサルタント国家資格制度を創設し、「キャリアコンサルタント」を、キャリアコンサルティングを行う専門家として位置づけた。これにより、キャリアコンサルタントは登録制の名称独占資格となり、5年ごとの講習受講による資格更新制度、守秘義務・信用失墜行為の禁止等の規定と相まって、その質を担保し、労働者が安心して職業に関する相談を行うことのできる環境を整備している。

なお、キャリアコンサルティングの技能・知識の水準として、より上位の試験に位置づけられるキャリアコンサルティング職種の技能検定(1級・2級)注12も実施している。

注12 技能検定制度については5(1)を参照。

また、企業等に対しては、労働者のキャリア形成における「気づき」を支援するため、年齢、就業年数、役職等の節目において定期的にキャリアコンサルティングやキャリア研修を受ける機会を設定する仕組みである「セルフ・キャリアドック」を普及拡大するため、企業訪問等による勧奨や相談・研修等の実施を通じて導入及び取組定着の支援等を行っている。

令和2年度から、高齢期も見据えたキャリア形成支援を推進するため、労働者のキャリアプラン再設計や企業内の取組を支援するキャリア形成サポートセンターを新たに整備し、労働者等及び企業に対しキャリアコンサルティングを中心とした総合的な支援を実施することとしている。

(2)ジョブ・カード制度の活用

ジョブ・カード制度は、フリーター等職業能力を高める機会に恵まれないため正社員になれない者等に対して、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングの実施や、企業における実習と教育訓練機関等における座学とを組み合わせた訓練を含む実践的な職業訓練の受講機会の提供等により、求職者と求人企業とのマッチングや実践的な職業能力の習得を促進し、安定的な雇用への移行等を促進することを目的に実施してきた。

ジョブ・カードの活用の大半が公的職業訓練によるもので、その活用が一過性のものになりがちであったこと、また、個々の労働者の状況に対応したキャリアアップ、必要な分野への円滑な就職等の支援のため、職業能力の「見える化」や職業生活設計に即した自発的な職業能力開発を支援するツールが不可欠であることなどから、ジョブ・カードを「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」のツールとして見直し、2015年10月から職業能力開発促進法に基づく新制度として実施している。

なお、2008年の制度創設から2019年12月末現在のジョブ・カードの作成者数は約240万人であり、今後もジョブ・カード制度の普及・促進を図っていくこととしている。

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