経済産業省
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第2部 令和元年度においてものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策
第3章 ものづくり基盤産業の育成に関する事項
第3節 戦略分野(自動走行、ロボット等)での産業育成

1.戦略分野における基盤整備

(1)ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(1100億円)

各国で商用サービスが始まりつつある5Gに対して、更に超低遅延や多数同時接続といった機能が強化された「ポスト5G」に対応した情報通信システムの開発・製造基盤を強化するため、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」を立ち上げた。

(2)高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発事業(84億93百万円)

IoT社会の到来により増加した膨大な量の情報を効率的に活用するため、ネットワークのエッジ側で動作する超低消費電力の革新的AIチップに係るコンピューティング技術や、新原理により高速化と低消費電力化を両立する次世代コンピューティング技術(量子コンピュータ、脳型コンピュータ 等)等の開発を実施した。

(3)次世代人工知能・ロボット中核技術開発(48億74百万円)

社会課題の解決のために実世界の様々な分野に人工知能技術を適用させることを目的として、人工知能技術に加えて、センサやアクチュエーターなどロボット関連要素技術を組み合わせた研究開発とともに、「生産性」、「健康、医療・介護」、「空間の移動」分野における人工知能技術等の社会実装を目指した研究開発を行った。また、人工知能技術の実世界への適用において特に重要な課題となっている人工知能技術の説明性や信頼性を向上させるための研究開発について、2019年度から新たに着手した。

(4)健康・医療情報を活用した行動変容促進事業(7億円)

糖尿病等の生活習慣病領域では、各個人の生活習慣や行動を効果的に変容させられるかが大きな課題。このため、IoT機器(ウェアラブル端末等)やその取得データを活用し、糖尿病等の予防・改善を図る実証研究を2017年度から、2019年度まで行動変容を促すアプローチの方法や、その高度化に向けた基礎的なデータ解析手法等の研究開発を実施。

(5)ロボット活用型市場化適用技術開発プロジェクト(5億60百万円)

ロボットの導入コストの2割削減に向け、ロボットの本体価格やシステムインテグレーションコストを引き下げるべく、汎用的な作業・工程に使えるようなコンセプトのもとロボットの開発(ハードウェア、ソフトウェアの機能要素を共通化)を実施。

(6)ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト(36億円)

物流やインフラ点検等を効率化できるロボットやドローンの性能評価基準、運航管理システム、衝突回避技術等を福島県のロボットテストフィールド等を活用し開発。その成果を国際標準化につなげるとともに、世界の最新技術を日本に集め日本発のルールでロボットの開発競争を加速させる仕掛けを構築。

(7)高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業費(42億円)

世界に先駆けて車両の効率的な走行を可能とする自動走行技術の社会実装を実現し、省エネルギーを推進するため、安全性評価手法の研究開発を進めるとともに、高度な自動走行システムの実証等を実施。

(8)次世代自動車等の開発加速化に係るシミュレーション基盤構築事業(10億円)

世界各国で進む環境規制の高まりや自動走行などの新たな技術領域への対応など、自動車設計・開発現場の高機能化・複雑化が進む中、自動車開発の上流工程の効率化が重要であり、自動車の開発・性能評価のプロセスをバーチャル・シミュレーションで行うMBD(モデルベース開発)の推進が不可欠である。

このため、自動車メーカー、サプライヤー、エンジニアリングメーカー等が参画するモデルベース開発の研究会を開催し、新規分野での協調領域に関するモデル流通のガイドラインの整備やアカデミアとも連携した協調領域のモデル開発等を進めている。2019年度は熱・運動性のモデルの高度化を図るとともに、新領域としてEVの電力マネジメント及び熱マネジメントのガイドラインを構築した。

(9)産業系サイバーセキュリティ推進事業((独)情報処理推進機構運営費交付金のうち19億28百万円)

重要インフラや我が国経済・社会の基盤を支える産業における、サイバー攻撃に対する防護力を強化するため、(独)情報処理推進機構(IPA)に設置する産業サイバーセキュリティ推進センターにおいて、官民の共同によりサイバーセキュリティ対策の中核となる人材を育成。また、制御システムの安全検証等を実施。

(10)研究開発税制(再掲 第2部第1章第1節1.(1)①参照)

2.サイバーセキュリティの強化

(1)産業系サイバーセキュリティ推進事業(再掲第2部第3章第3節1.(9)参照)

(2)サイバーセキュリティ経済基盤構築事業(20億96百万円)

(独)情報処理推進機構(IPA)サイバーレスキュー隊が、高度標的型サイバー攻撃を受けた企業等に対し、被害状況の把握や被害拡大を防ぐための初動対応支援(被害状況の把握や再発防止策策定)を実施。また、深刻なサイバー攻撃の温床となっている複数の国にまたがったサイバー攻撃基盤を駆除するため、標的型攻撃に関する情報を収集するとともに、各国のサイバー攻撃対応連絡調整窓口の間で情報を共有し、共同対処を行った。

(3)IT人材育成の戦略的推進(独立行政法人情報処理推進機構運営費交付金の内数)

(独)情報処理推進機構(IPA)において、ITを駆使してイノベーションを創出することのできる独創的なアイデア・技術を有する人材の発掘・育成を実施。また、若手情報セキュリティ人材の育成・排出するための倫理面も含めたセキュリティ技術と最新ノウハウを、第一線の技術者から伝授する場である「セキュリティ・キャンプ」を開催。

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